道教委、道教大 教員基礎探究学校実習 未来の教師への第一歩 高校生が授業 やりがい実感(道・道教委 2024-07-11付)
教員基礎探究学校実習
道教委、道教育大学による高大連携事業「教員基礎探究」の学校実習が2日、道教育大学附属札幌中学校と当別町立とうべつ学園の2会場で行われた。うち附属札幌中の会場には、札幌北陵高校など3校から計10人が参加し、中学1年生の道徳「いつわりのバイオリン」の授業を展開。教壇に立った高校生は、中学生たちと全力で向き合い、教員として仕事のやりがいや大変さを実感した。
道教委と道教育大は、4年度から教員志望の高校生を対象に教員としての素養や意欲を高めるプログラムを提供する「みらいの教員育成プログラム」を開始。3年生を対象とした「教員基礎探究」、2年生対象の「教員基礎」を設置し、道教育大との連携による各教育プログラムを展開している。
今回実施した教員基礎探究では、小学校や中学校で行われる教育活動の体験や実習のほか、教育課題を生徒が各自で設定。情報収集や収集した情報を整理し、各課題の解決方法を表現する活動を展開する。
道央圏では、札幌北陵高など道立高校の生徒12人が附属札幌中ととうべつ学園の2会場に分かれて実習。うち附属札幌中の会場には10人が参加した。
高校生たちは、中学校での初の授業実習に備え、教務主任の小川原周太教諭から教育課程について、研究主任の柏敬太教諭から授業についての講義を受講。
小川原教諭は「思いつきで子どもを育てるのではなく、根拠に基づいて計画的に子どもに力を付けていくのが教育課程。例えば、生徒指導等で何かが起こってからではなく、事前に体制を整備し組織的な対応ができるようにしておくことが大切」などと説いた。
柏教諭は、生徒たちに対して、今まで受けてきた授業の中で、印象的に残っている道徳の授業について問い「きょうはその時とは視点を変え、教師の立場で授業をしてもらいたい」と呼びかけた。
各学年の授業観察、中学生との交流のあと、1学年の各クラスで道徳の授業「いつわりのバイオリン」を指導。
授業では、バイオリンづくりの弟子が作った作品を自分のものと称して著名な演奏家に提供してしまった主人公の葛藤や行動を通し、誰もが持っている人間らしさを認め、弱さに負けず、自分に恥じない生き方を見いだそうとする道徳的心情を育むことを目指した。
高校生は、物語を範読したあと、自分のラベルに貼り替えた時の「主人公の気持ちが分かるか」「その行動は正しいか」と発問。①気持ちは分かるし、仕方がない②気持ちは分からないけれど、仕方がない③気持ちは分かるれけど、やってはいけない④気持ちは分からないし、やってはいけない―の4象限で板書し、中学生に自身の気持ちと合う意見の個所にネームプレートを貼るよう伝えた。
その上で「主人公はどの時点でどうすれば良かった?」と再度発問。中学生の意見をもとに、誤った行動のポイントを挙げ、人間の弱さや醜さに触れた。
最後に「自分なら弟子にどのような手紙を書くか」「手紙の返信をもらった主人公はどう思ったか」など自分たちで考えた発問を中学生に投げかけ、主人公の心情について考えを深めさせた。
授業後は、授業の振り返りを実施。高校生たちは「板書するスピードや見やすい工夫が必要。生徒の反応にもっと的確に応えてあげるべきだった」「時間配分がうまくいかなく、焦ってしまったので、つぎはもっと冷静に授業を進めたい」など、より良い授業づくりに向け、今後の反省点を共有した。
(道・道教委 2024-07-11付)
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