元校長の“学校アップデート!” №11 管理職として大切にしていたこと
(札幌市 2024-07-24付)

 学校経営における全責任は、校長(管理職)にあります。管理職は、責任を取ることが仕事です。学級崩壊を担任の指導力のなさと捉えるのではなく、管理職の責任と捉え、具体的な改善策を打ち出すことが必要です。中学校では学年の教師集団がチームとなって対応しますが、小学校では担任外教諭等の人的配置で乗り切ろうとする傾向があります。

 人的配置は単なる対処法で根本的な解決にはならず、担任外教諭の業務が滞ることになり、学校全体が疲弊していきます。教師が必死になって立て直すのではなく、子どもが必死になって「楽しく豊かな学級づくり」に取り組むように“自発的・自治的な活動の充実”を図ることが必要です。

 「何のために行っているのか」「本当に必要なことなのか」と現状を捉え直し、前例踏襲に陥ることなく、改善すべきことはちゅうちょせず即時改善することが大切です。例えば、平岸西小では、つぎのような取組を行いました。

○職員会議や職員集会の開始時刻に遅れてきた職員を待たない(時刻を守っている職員を大切にすることが「思いやり」である)。

○職員会議の提案の仕方を変える(資料を事前配布しているのでポイントを絞って提案する)。

○学級閉鎖の決定に各学年1人を招集しない(関係職員のみで良い)。

○子どもが委員会やクラブを立ち上げる。

○始業式・終業式や全校朝会の退場順を上学年からにする(上学年がお手本になる)。

○地震で校舎は倒壊する恐れがないので、地震時の避難訓練でグラウンドに避難しない。ただし、訓練なので「体育館集合」はあり得る。

 管理職が職員に話す言葉には「親睦」「指導」「助言」という異なる意味があることを自覚して対話することが大切です。職員とのコミュニケーションは大切だと考え、職員の大切な時間を奪って雑談に花を咲かせ「職員と良好な人間関係を築いている」と満足していてはいけません。職員は、管理職からの適時・適切な指導や助言も求めています。

 そこで、職員が現在抱えている業務で、困っていることや管理職の判断が必要なことを察知して、こちらから声をかけて職員の困りや不安を取り除くように心がけることが大切です。不安を放置すると不信感につながり、安心を積み重ねると信頼につながります。

 全校朝会や始・終業式で「校長先生のお話です」「始め(終わり)の言葉です」という司会の言葉で、校長が話を始めたり教頭が「始めの言葉」「終わりの言葉」を言ったりしていると、子どもたちは「校長(教頭)先生の名前を知らない」で過ごすことになります。校長や教頭の名前が消えないようにするためには、つぎの取組が必要です。

○全校朝会や始・終業式などの儀式的行事や運動会で、司会が「北原徹也校長先生からのお話です」と言うようにする。

○始・終業式などの儀式的行事や運動会で、司会が「北原徹也教頭先生に始め(終わり)の言葉を言っていただきます」と言うようにする。

 フルネームで名前を呼んでもらっていると、子どもたちは「校長(教頭)先生」ではなく「北原徹也校長(教頭)先生」と呼びます。もちろん子どもたちに対しても「君」「あなた」ではなく、名前を呼ぶことによって、一人ひとりの存在を大切にしているという風土をつくります。

北原徹也 (北海道特別活動研究会顧問、元札幌市立平岸西小学校長)

(札幌市 2024-07-24付)

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