函館市教委 6年度全国学力等調査 日常的にICT活用推進 「いじめ許されない」意識醸成
(市町村 2024-09-09付)

表2
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 【函館発】函館市教委は6年度全国学力・学習状況調査の結果を公表した。児童生徒質問紙調査では、日常的にICT機器の授業活用が進む現状や「いじめは許されない」という意識が醸成されている様子が結果に表れた。一方で、家庭学習時間が全国・全道と比較して短く、放課後の過ごし方などを見直し、望ましい学習習慣・生活習慣の定着を図る必要性を課題としている。

 調査はことし4月、市内小・中学校、義務教育学校の小学6年と中学3年(義務教育学校は9年)を対象に実施。内容は小中共に国語および算数・数学の2教科、質問紙調査で構成される。

 市内児童生徒の平均正答率に関して、小6は国語が66%、算数が58%。中3は国語が54%、数学が47%。いずれも全国、全道平均を下回った。

 児童生徒質問紙調査において、ICT機器の活用に関しては「友達と協力しながら学習を進めること」に対する肯定的回答は、小中共に全国および全道平均を上回り、小学校では5割を超えた。授業内での活用においても「ほぼ毎日」と回答した児童生徒の割合が高く、小学校で37・6ポイント、中学校で34・1ポイントと、全国と比較して高い傾向が見られた。

 また「いじめは、どんな理由があってもいけない」と思う児童生徒の割合は、小学校が87・9ポイント、中学校が83・8ポイントとなり、小中共に全国および全道平均を上回った。学校質問紙調査においても「特別の教科 道徳において、取り上げる題材を児童生徒自らが自分自身の問題として捉え、考え、話し合うような指導の工夫をしている」と回答した学校の割合が高い傾向にあった。

 一方で、平日における家庭での学習時間を問う質問に、1時間以上と回答した児童の割合は49・3ポイント、2時間以上と回答した生徒は23・5ポイント。いずれも前年度の結果より下回り、全国および全道平均より低い結果となった。

 放課後や週末の過ごし方は、家庭内でのテレビや動画、ゲーム、SNSの利用を挙げる児童生徒が多く、小学校で82・3ポイント、中学校で92・1ポイントだった。

 市教委は、ICT機器の活発な活用が見られた結果に対して「1人1台端末の一層の利活用によって“個別最適な学び”と“協働的な学び”の一体的な充実を図る授業改善が推進されるよう、各学校に働きかける」としている。

 家庭での学習時間が減少傾向にあることに関しては「放課後の過ごし方に課題がある」と分析。「1日の生活時間や放課後の過ごし方についての見直しを家庭に働きかける」「家庭での学習に1人1台端末をより一層活用できるよう、効果的な端末の活用実践例を紹介する」と、望ましい学習習慣の定着に向けた方向性を示した。

 藤井壽夫教育長は、主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善、望ましい学習習慣・生活習慣の定着に向けた取組の充実を目指し「全国学力・学習状況調査を活用し、検証改善サイクルの質をさらに高め、“誰一人取り残さず個々の可能性を最大限に引き出す教育”の実現を目指して取り組んでいく」とコメントを寄せている。

(市町村 2024-09-09付)

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