札幌屯田南小　保護者懇談の時間に　地域の大人が子見守る　異年齢で交流　教員負担軽減

（札幌市 2024-10-22付）

地域の大人や友人と遊びを楽しみながら保護者を待つ児童たち

　多くの大人の目で子どもたちの活動を見守る地学協働活動推進事業。札幌市立屯田南小学校（中川容一校長）では、地域の子ども会育成連合会の協力のもと、保護者懇談の時間を活用してユニークなイベントを展開している。異年齢の交流機会の充実や保護者や教職員の負担軽減にも大きく寄与。地域と学校の信頼関係を生かし、学校のニーズに合致した有意義な活動が進められている。

　同校で保護者懇談が行われた１０日、体育館には保護者を待つ１５０人の児童が集まった。「ミニオリンピック会場」「スライム作り」「昔遊び体験」など設置された各コーナーで児童の活動を支えたのは約２０人の地域住民。「スライム上手にできた？」「もう１回遊んでも良い？」―。活動を見守った中川校長は「低学年児童など一人で家にいることが難しい子どもが多い中、保護者も感謝している。日頃から児童と距離が近い関係にあるからこそ、安心して地域の方々に活動を任せられる」と信頼を寄せる。

　屯田地区子ども会育成連合会と連携の素地がある同校では、地域学校協働活動の充実に向けて準備委員会を設置し、地域で子どもたちの活動を見守る活動を考えている。イベントは毎年、会議で修正を加えながらレベルアップ。ことしで３年目を迎えた。

　屯田地区は、市内でも子育て世代が多く、夏まつりや雪まつり、餅つき大会など世代を問わず楽しめるイベントを定期的に開催しているという。学校外での行事を通して、児童と地域の大人が「顔見知り」の関係にあることが双方の愛着を育む契機の一つとなっている。

　体育館に設けたイベントブースにも地域の祭りで使用した射的やストラックアウトが持ち込まれた。フリースローコーナーや段ボールをくぐり抜けるゲームなど、学校にあるものを活用しながら子どもたちが楽しめる空間を工夫した。一部のコーナーでは６年生が下級生の活動を支援する姿もあり、連合会の中田亜希子副会長は「“お手伝いをしてみたい”と言う上級生の声がうれしい」と目を細める。

　札幌市教委がサッポロサタデースクールの後継事業として５年度から開始した地学協働活動は、本年度約４０校で展開されている。本年度の社会教育委員会議では、地域と学校双方にもたらす効果を探るべく、事業視察を進めている。

　同校を訪れた大瀬秀樹生涯学習推進課長は「大人と子どもの距離感が近く、地域の愛着を育む体制が確立している。学校の負担軽減や異年齢・多世代交流の機会を創出する、まさに“地域の宝”を生かした取組」と評価する。

(札幌市 2024-10-22付)