札教研事業 秋の研究集会〈下〉(札幌市 2024-10-25付)
中学校音楽研究部
◆東京一極集中を課題に 宮の森中 中学校社会科研究部
中央区中学校社会科研究部の会場となった宮の森中学校(井上博文校長)では、2年2組の地理的分野「日本の様々な地域」(大塚駿平教諭、生徒数30人)の授業を公開した。
中央区中学校社会科研究部は、学習者主体の授業づくりを重点に課題解決型の学習を通した授業改善を進めている。
単元は「東京一極集中」の課題について、メリットとデメリットそれぞれの側面から日本が取り組むべき課題に目を向けさせる学習。学習を通して生徒の視野を広げるとともに、持続可能な社会の形成に向けて課題を主体的に追究する姿勢を養うことを目標としている。
本時は7時間扱いの2時間目。大塚教諭は大企業や大学、国家機関が集結する都心部の魅力を伝えた上で「東京一極集中の状態は社会全体として“あり”か“なし”か」と投げかけ、東京の人口過密に伴う課題とメリットについて個々に考えさせた。
グループ活動に移り、生徒同士で意見を交換。全体共有の場面では、グループの代表者がまとめられた意見を発表した。
1グループが「暮らしに関わる環境が全て整っているため過ごしやすく、様々な分野が発達しそう」と回答する一方、大多数のグループが“なし”と結論。理由として「東京一極集中は環境汚染や経済格差を生み出す」「農業が衰退し、食料自給率の低下が懸念される」「災害や戦争発生時にリスクが大きくなる危険性がある」など日本全体の衰退や他自治体の過疎化を不安視する声が上がった。
大塚教諭は東京一極集中をデメリットと捉えている生徒たちの視点に立った上で、10年後の生活に思いをはせるよう促した。
「“なし”と分かっていても、平成から続く一極集中が止まらない理由はなぜだろうか」と問いかけ、持続可能な社会について考えを深める次時への見通しを持たせた。
◆音楽的見方働かせて 陵北中 中学校音楽研究部
北区・西区・手稲区中学校音楽研究部の会場となった陵北中学校(祖根聖吾校長)では、1年4組「混声三部合唱に親しもう」(阿部綾梨教諭、生徒数30人)の授業を公開した。
中学校音楽研究部の全市共通研究テーマは「子どもが課題を自分ごととしてとらえることができる授業づくり~音楽的な見方・考え方を働かせて」。
研究の視点に①生徒がどのように学ぶか②生徒に何が身に付いたか―の2点を掲げた。
本時は7時間扱いの5時間目。混声3部合唱「明日へ」を通じて、曲想とリズム(シンコペーション)や歌詞の内容との関わりについて理解することなどを目指した。
はじめに全体の響きや各声部の声などを聴きながら合唱。前時に録音した生徒たちの合唱の音源と比較した。
阿部教諭は、歌詞の意味やどのような曲想だと感じたか、事前にワークシートにまとめた生徒たちの考えを共有。「晴れやかな歌」「あしたを目指して頑張る曲」などがあった。
歌詞字幕付きの参考動画を視聴し、全体でどのような曲だと感じたかを確認。共通の曲想を決めるに当たって、生徒たちの「走り出す」「挑戦する」「駆けていく」「一歩踏み出す」を踏まえ「一歩踏み出す」に決定した。
曲想を全体で共通認識した上で、曲想を生み出している要因が強拍と弱拍のパターンを変えるシンコペーションであることを説明。生徒たちは、シンコペーションの特徴を、手拍子などを用いて体感した。
阿部教諭は、シンコペーションを表現する工夫として「強く」「前のめり」「そろえる」「一音一音はっきり」を提示した。四つの工夫点を踏まえて全体で合唱。工夫点を意識することで「一歩踏み出す」イメージを表現できることを体感させた。
授業公開後は、研究の視点に沿って研究協議や実践交流した。
◆仲間と共に実践力向上 円山小 小中合同特別活動研究部
中央区、厚別区、豊平区、清田区、南区の小中合同特別活動研究部の会場となった円山小学校(平澤淳志校長)では、6年1組の学級活動「5年1組応援し隊“仲の深まる遊びをしよう”」(元木麻衣教諭、児童数34人)を公開した。
小中合同特別活動研究部は、本年度から研究テーマを「集団や自己の課題に気付き、仲間とともに実践力を高める特別活動」と設定。研究の視点①「本物の経験」となる活動構成②仲間と協働し実践力を高める教師の関わり―の2点に基づき、実践を進めている。
本時は5年生とのこれまでの交流を踏まえ、さらに仲を深めることのできる遊びを話し合った。多様な意見の良さを生かして合意形成を図ることで、集団や社会の形成者としての思考・判断・表現を学習することをねらいとした。
児童はあらかじめ、意見の比較基準「ぶれないポイント」を共有。それに沿った理由とともに意見を発表し合った。中休みを利用した交流で行う遊びの候補として整列ゲーム、風船リレー、ワードウルフの三つを挙げ「男女仲良く」「全力」など5点の「ぶれないポイント」に該当しているか、制限時間内に実行可能か、などの観点で吟味した。
遊びを二つに絞った上でチーム分けを思案。児童からは「風船リレーで争うので、整列ゲームは全員がチームとして行ってはどうか」「人数が多いので全員がチームになると大変」という意見が出た。
元木教諭は対立する意見の長所と短所についてまとめつつ、再度話し合いの時間を設ける提案をするなど、児童が納得し円滑に合意形成できるよう働きかけた。
公開授業後は全体会・研究討議や研修会・実践交流を行い、より良い授業づくりに向けて研鑚を積んだ。
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小中合同特別活動研究部
(札幌市 2024-10-25付)
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