“学びの過程”を再構築 道中理 第62回函館大会(道・道教委 2024-10-31付)
道中理函館大会
【函館発】第62回道中学校理科教育研究会函館大会が18日、函館市立深堀中学校で開かれた。市内3中学校の教諭による各学年の授業を公開し、分科会や全体会に加え、道内外の実践を共有するブース発表を実施。2学年の公開授業では、生徒の知的好奇心を喚起するために教具を工夫し、2段階の実験を通して、生徒間で話し合いながら学びを深める授業を展開した。
大会主題は「学びの再構築を通して、自然との共生に向かう理科教育」、副主題は「“学びの過程”に着目し、資質・能力を系統的に育む理科学習」。学びのプロセスを再構築しながら科学的に探究し、知識の再構築を積み重ね、自然との共生へと向かう生徒を育むために、教育課程や学習内容、教材・教具や実験・観察の工夫などあらゆるアプローチを模索している。4ヵ年計画の2年次を迎えた。
この日、道中学校理科教育研究会の三浦雅美会長は開会に当たり「未来予測が困難な時代、理科学習で習得した知識を結び付けたり、自然事象に重ね合わせて理解したり、多面的・総合的に捉える姿勢が問われる」とし、大会主題・副主題に基づく研究の重要性を強調。「中学校理科教育について語り合い、学び合う場に」と呼びかけた。
橋本智也函館大会運営委員長は、函館市中学校理科教育研究会の研究概要を説き、今大会における教員間の交流を期待し「新たな理科教員同士のネットワークを形成し、全国各地で輪が広がっていくことを願っている」と述べた。
来賓を代表し、渡島教育局の山下幹雄局長、函館市教委の藤井壽夫教育長が祝辞に立った。山下局長は「理科の見方・考え方を働かせ、見通しを持って観察・実験を行うなどの科学的に探究する学習活動の充実を図る」ことの重要性を示唆。藤井教育長は、個別最適な学び・協働的な学びを一体的に推進する指導案をたたえ「(大会を通して)一人ひとりの学びが協働的な学びになり、より確かな研究値として結び付く大会に」と期待を寄せた。
戸倉中2年
電圧と電流と抵抗
公開授業で参加者は、函館市立桔梗中学校、戸倉中学校、五稜郭中学校の教諭3人による各学年の授業実践を参観した。
戸倉中の能登屋在教諭による2年生単元「電圧と電流と抵抗」では、回路の組み立てや電流の測定、測定値を用いた計算処理に対する生徒の苦手意識に寄り添い、学習意欲の向上および継続に向けて教具を工夫。実験器具をブラックボックス化し、電気抵抗のありどころや大きさを測定および計算から探る仕様で、ボックス表面のホワイトボードシートに書き込みながらグループで思考を深められるようにした。
授業の課題は「ブラックボックスの中身を解明しよう」と設定。ボックス内は六つの端子に、電気抵抗の大きさが異なる抵抗線3本が接続されており、生徒たちはグループで話し合いながら測定や計算を進めた。
能登屋教諭は測定等を早く終えたグループを全体に知らせ「分からなかったらほかの班に聞いてみるといいよ」と声かけ。複数のグループが集まって結果を交流する際は、説明方法を例示し「根拠を持って説明できるように考えて」と呼びかけた。
続いて、各グループで回路を組み直し、隣のグループとボックスを交換した。1回目の実験から発展して、測定はグループで協力し、電気抵抗がある場所の予想は個人で思考。生徒たち一人ひとりが計算や考察に集中し、正解を求めてボックスを開けると、自分の考えと照らし合わせて喜んだり驚いたり大きな反応を示した。
公開授業後、分科会や全体会、参加者による日頃の実践を踏まえたブース発表などを実施した。
(道・道教委 2024-10-31付)
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