定数・処遇改善は一体で 文科省 財務省案に見解 阿部大臣 総合対策へ折衝継続(国 2024-11-13付)
文部科学省は12日、財政審財政制度分科会の財務省資料に対する見解を公表した。高度専門職である教師にふさわしい処遇改善を喫緊の課題とし、教職調整額の将来的な廃止を含む案に反論。働き方改革の推進、教職員定数の改善、支援スタッフの一層の充実を図る財政措置の必要性を訴えた。
教師の処遇改善の意義に関して文科省は「高度専門職である教師にふさわしい給与にするとともに、教師という職を魅力ある職とする人材確保法の趣旨にのっとったものであり、時間外在校等時間の目標値と連動するものではない」と主張。
いじめ・暴力行為など予見不可能な業務が多く発生する中、勤務時間縮減を給与改善の条件とすることで必要な教育活動の実施をためらい、支援が必要な子どもへの指導が行われなくなることに懸念を示した。
時間外勤務手当の国庫負担の上限を設定した場合、自治体への負担が転嫁される点も懸念。「義務教育に対する国の責任を果たせず、自治体の財政力の差が教育活動の量、教育格差へとつながる」と指摘した。
その上で、働き方改革を加速化させるインセンティブとして各自治体の在校等時間の公表を制度化、長時間勤務縮減のメカニズムを構築する考えを示した。在校等時間の公表には各自治体での法改正が必要になるため、7年以降の制度化に向けて準備を進めることが予想される。
同日開かれた記者会見で阿部俊子文科大臣はこれら文科省の見解を説明。「(財務省案は)教職員定数の改善を行うことなく、学校現場における業務削減の努力のみによって時間外在校等時間の縮減をしようとするものであり、学校現場への支援が欠如している」と指摘。「学校における働き方改革の取組を徹底し、教職員定数の改善と教師の処遇改善を一体的に進めることが不可欠であり、総合的な対策を進めていく」と述べ、財務当局との折衝を引き続き進めていく考えを示した。
(国 2024-11-13付)
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