既習との結び付き体感 北理研 第71回研究函館大会
(関係団体 2024-11-19付)

道小理研究函館大会
北理研研究大会函館大会

 【函館発】道小学校理科研究会(髙屋敷優会長)は8日、函館市立あさひ小学校で第71回道小学校理科教育研究大会函館大会を開いた。市内小学校教諭による2授業を公開し、分科会や講演等を展開。5年生の授業では単元の導入に当たって、児童の興味・関心を高めようと教具に工夫を凝らし、体験を通して既習事項との結び付きを体感させた。

 全道研究主題は「一人一人の問題解決を実現する」、函館支部研究主題は「仲間と共に理科の学びをつくりあげる子の育成」。函館支部では「学びを深める転移」を視点に研究を推進しており「ある状態で獲得した“知”を後の状況での問題解決や学習につなげて新しい“知”をつくり出すこと」を「転移」とし、「活用」とは異なって「“知”と“知”をつなげていくこと」を重視している。

 開会に当たり、道小学校理科研究会の髙屋敷会長は現代に求められる学校教育の在り方に触れ「これまで以上に一人ひとりの個に応じた指導が重要」と強調。大会を通して「自身の子ども観、授業観、理科観を高めてほしい」と呼びかけた。

 来賓を代表し、渡島教育局の山下幹雄局長、函館市教委の藤井壽夫教育長が祝辞に立った。山下局長は「自然の事物・現象を捉え、問題解決の過程を踏まえた授業づくりや児童の問題を見いだす力の育成について研究を深めることは大変意義深い」とたたえた。藤井教育長は「日常知から科学知に転移するような工夫を指導案から読み取ることができる」とし、小学校理科教育の発展を期待した。

◆昭和小で授業公開 電流がつくる磁力

 続いて、市立亀田小学校の中村円教諭、昭和小学校の高松諭志教諭による4・5年生の2授業を公開した。

 昭和小の高松教諭による5年生単元「電流がつくる磁力」は、3・4年次の既習事項と直接的つながりがあり、内容的および方法的な知を転移させやすい。11時間扱いの1時間目となる本時、「電磁石の性質に興味を持ち、他者と関わりながら粘り強く問題を解決しようとしている」を目標に据えた。

 高松教諭は、導線や鉄、電池ボックスなどを組み合わせた「電磁石釣りざお」を全児童に配布。室内には青いビニールシートを敷き、鉄製のクリップや10円玉、ガラス製のおはじきなどが付いた魚(イラスト)を並べた。

 高松教諭は児童と共に釣りざおを観察し、鉄心に巻かれた導線を「コイル」と呼ぶことを説明。魚釣りゲームに向けては「電磁石の性質を調べるため」と、全員で声を合わせて目的を確認した。

 ゲームに移り、魚が釣れないことに疑問を持った児童が電池を要求。高松教諭は「なんで必要だと思った?」と問いかけ「電磁石だから電気を流す必要がある」との回答を引き出した。

 釣りざおは電池を入れるだけでは機能せず、ワニ口クリップで導線をつなぐ必要がある。いち早く気付いて魚を釣り始めた児童に対しても、高松教諭は発問を通して発見をより確かに説明できるようにした。

 ゲームを中断し、数々の発見を児童たちが発表した。電気を用いた車、ミニ扇風機などを製作した過去の授業を振り返り「プラスとマイナスの導線をつなぐ必要がある」と確認。釣れない魚に着目した児童は「プラスチックやアルミニウムは磁石に付かないと、4年生の時に習った」と話した。

 発表を踏まえて、全員が魚釣りに成功した。席に戻り、1人1台端末から気付いたことを記録。高松教諭は児童と共に、磁石と電磁石の性質を比較して相違点を確かめた。

 公開授業後、授業別分科会および学年別分科会を実施。

 講演は、広島大学名誉教授、国立教育政策研究所名誉所員の角屋重樹氏が「これからの理科教育で子どもに育成する力」と題して展開した。

(関係団体 2024-11-19付)

その他の記事( 関係団体)

子の生きる力定着へ 道放送・視聴覚教育士幌大会

 【帯広発】道地方放送教育研究協議会(安藤英美会長)、道視聴覚教育連盟(山谷潤会長)、NHK帯広放送局は11月上旬、士幌町立士幌小学校などで第75回道放送教育研究大会・第69回道視聴覚教育研...

(2024-11-25)  全て読む

道都市教育長会 秋季定期総会 子の学び保障が課題 8年度文教施策要望案等審議

 【岩見沢発】道都市教育長会(山根直樹会長)は13日、深川市内のラ・カンパーニュホテル深川で秋季定期総会を開催した。8年度の文教施策に対する要望事項案など三つの議案を審議。8年度の文教施策に...

(2024-11-25)  全て読む

札幌市中学校長会 全体研修会 各部の研究「充実」へ 校種間・家庭・地域連携等

 札幌市中学校長会(秀島起也会長)は20日、ホテルライフォート札幌で6年度全体研修会を開催した。研究主題「新たな価値を見出し、持続可能な社会を創る力を育む札幌市中学校教育」のもと、7部が2年...

(2024-11-22)  全て読む

道高校教頭・副校長会が研究協議会 教育課題の本質捉えて 作家・佐藤氏講演 研究協議も

道高校副校長会第2回研究協議会  道高校教頭・副校長会(成田豪会長)は15日、ホテルライフォート札幌で第2回研究協議会を開いた。作家で元外務省主任分析官の佐藤優氏が「スローガンよりもリアリズムで考える~これからの日本人はど...

(2024-11-22)  全て読む

日本教育会道支部 巡回研究大会 対話通して「納得解」を 町支氏 両利き改革の手法紹介

 日本教育会北海道支部(前川洋支部長)は9日、全道巡回研究大会空知大会をオンラインで開催した。帝京大学大学院教職研究科准教授の町支大祐氏が講師となり、働き方改革と学びの充実を両立する「両利き...

(2024-11-20)  全て読む

空知校長会 学校経営研 個と向き合う時間と場を 人材育成など組織的対応へ意識醸成 

空知校長会学校経営研究会  【岩見沢発】空知校長会(伊藤聰会長)は1日、岩見沢市民会館文化センターまなみーるで学校経営研究会を開催した。研究協議で、最近の教育情勢や管内先進事例の発表などを通じ、人材育成や授業改革の一...

(2024-11-19)  全て読む

多様性認め創造的に活動 北特活 第52回研究釧路大会

北特活研究釧路大会鳥取小・髙瀨教諭  【釧路発】道特別活動研究会(井田敦会長)は8日、釧路市立鳥取西小学校を主会場に、第52回道特別活動研究大会釧路大会を開いた。道内各地から約120人が参加。3会場での公開授業や研究発表、講演...

(2024-11-18)  全て読む

道教委・伊藤局長講演や小樽稲穂小視察 学校の伴走者として 留萌市町村教委協が研修会

留萌市町村教委協議会・研修会  留萌管内市町村教育委員会協議会(会長・佐藤敏治増毛町教委教育長)は10月下旬の2日間、札幌市内などで管内教育委員会委員研修会を実施した。道教委の伊藤伸一学校教育局長が講演し、参加した教育長...

(2024-11-15)  全て読む

個々の豊かな可能性追究 第72回道特連研究釧路大会

第72回道特連研究釧路大会  【釧路発】第72回道特別支援学級教育研究連盟全道大会釧路大会および全日本特別支援教育研究連盟北海道地区研究集会が7日、釧路町公民館を主会場に、会同とオンラインによるハイブリッド型で開かれた...

(2024-11-15)  全て読む

道中 GIGAスクール現状調査 欠席連絡電子化 65% 生成AI 文書作成などで活用

表1  道中学校長会(河村克也会長)は6年度GIGAスクール構想の取組と現状等に関する調査結果をまとめた。保護者との欠席・遅刻連絡のデジタル化に取り組む中学校は65・4%、会議資料のペーパーレス化...

(2024-11-14)  全て読む