道高校教頭・副校長会が研究協議会 教育課題の本質捉えて 作家・佐藤氏講演 研究協議も(関係団体 2024-11-22付)
道高校教頭・副校長会第2回研究協議会
道高校教頭・副校長会(成田豪会長)は15日、ホテルライフォート札幌で第2回研究協議会を開いた。作家で元外務省主任分析官の佐藤優氏が「スローガンよりもリアリズムで考える~これからの日本人はどう生きるべきか」と題して講演。多様な教育課題に向き合う教頭・副校長に対し、哲学的思想を視点に物事の本質を捉える必要性を説いた。
会議は高校の管理運営および教育指導上の諸課題を研究・協議し、道内高校教育の充実を図ることがねらい。258人が参加した。
作家として、インテリジェンスや国際関係、宗教などについて著作活動を行っている佐藤氏は、米大統領選やロシア・ウクライナ問題をはじめとする国際情勢を取り上げ、現代社会の情報過多によって、大衆が専門家の意見をうのみにするメカニズムを解明。ドイツの哲学者・ハーバーマスの「順応の気構え」の考えを引用し「複雑な現代社会では論理を追うことで理解ができるが、時間と労力がかかる。誰かが説明してくれることを期待し、それに従う人が増える」と説いた。
日本の教育も同様に、進路決定を自己決定できない生徒が増えていることを危惧。「他者に与えるという考えが根強いことが背景にある」と指摘した。
目には見えないが、確かな本質を捉える力を示す中世のリアリズムの考えを例に、教師と生徒の信頼関係についても言及。「生徒が何に悩んでいるのか、望ましい進路はどこかを考える際は生徒が抱えている家庭環境など背景を見取る力が必要」と訴えた。
文系と理系生徒の二極化など近年の教育課題に触れ、学習指導要領を踏まえたバランスの良い教育ができていないことを要因に挙げた。
一方、偏差値にかかわらず、教材研究に力を入れ、教師と生徒の信頼関係が厚い道内の高校教育の在り方をたたえ「都市部においては課題となっている。北海道の教育の良さを日本全体に示していく必要がある」と述べた。
講演後、成田会長が謝辞。老子の漢文「大器は晩成す」に示されている一文「他音希声」を取り上げ「講演を聞き、真実を語る声は小さく、耳を澄まさなければ聞き取ることができないという老子の遺した言葉をあらためて大切にすることができた。様々な世の中の事象や教育の話を含めて聞かせていただいた」と話した。
このあと、地域や外部と連携した学校運営をテーマに、研究協議を実施。地域活性化に向けたイベントの企画運営や移住・企業支援に携わる㈱大人の五十嵐慎一郎社長が助言者を務め、各校の実践を共有した。
(関係団体 2024-11-22付)
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