多様性認め創造的に活動 北特活 第52回研究釧路大会
(関係団体 2024-11-18付)

北特活研究釧路大会鳥取小・髙瀨教諭
北特活研究釧路大会鳥取小・公開授業

 【釧路発】道特別活動研究会(井田敦会長)は8日、釧路市立鳥取西小学校を主会場に、第52回道特別活動研究大会釧路大会を開いた。道内各地から約120人が参加。3会場での公開授業や研究発表、講演などを通して、多様性を認め、創造的に活動する特別活動の在り方を探究した。

5年ぶりの会同形式での開催となった同大会は、公開授業を3会場(釧路市立中央小、鳥取小、城山小)に分けて実施。分科会・講演会は鳥取西小で行った。

 大会の研究主題は「多様性を認め、互いに成長し合う関係を築く力を高める特別活動~みんなちがうから、みんないい」。

 午前中に3本の公開授業と研究協議、午後は会場を鳥取西小に移し、開会式と分科会、講演会を行った。

◆鳥取小3年学活 集会内容考える

 公開授業のうち、鳥取小3年1組では学級活動の授業を公開。学級や学校における生活上の諸問題解決に向け、考えを深めた。本時のねらいを「一人ひとりがよさを発揮できるお楽しみ会にするために、合意形成を図りながら集会の内容を考えることができるようにする」と設定。お楽しみ会の内容(ダンス・音楽・ピアノ・ドッジボールなど)を決めるため、賛成意見と反対意見を出し合った。

 言い争いにならないよう、提案内容の良い点や課題になる点を明確にしながら話し合いを進め、話す内容が目的から逸脱しそうな時、提案理由やめあてなどに立ち返るよう教師が促した。「ピアノは1人しかできない」「でもピアノの魅力を知ってほしいから」「じゃあ、連弾なら何人かでできるかも」など、できない理由に目を向けるのではなく、互いに納得しながら決めるよう子どもたちは様々な角度から内容を検討していった。

 司会者は時間内で進める難しさを感じながらも決まったことを確認していった。

 授業後の研究協議では、二つの柱「全員が“納得”できる話し合いの進め方や手だて」「教師の見取り・評価のタイミングや生かし方」を中心に意見交流を行った。合意形成を図りながら話し合いを進めるには学級経営が強く影響するとした上で「一人ひとりの良さを発揮できるようにすることが大切」といった声も。相手を認める姿は学級経営の基本であり、教師は子どもたちの可能性を引き出す役割を担っているため、見取りと評価が大きなポイントになるといった意見が出た。

 助言に立った釧路教育局の齋慎之主任指導主事は「児童の思いや願いを大切にした指導過程」「集団にとって必要な価値を見いだす納得を大切にした話し合い」「指導者の適切な指導助言」にポイントを絞り、授業内容とリンクさせながら解説。特別活動において育成すべき資質・能力の重要な視点①人間関係②社会参画③自己実現―の3点を示し、子どもたちが互いを認め合い創造的に活動する特別活動が展開されるよう示唆した。

 その後、鳥取西小で開いた開会式では、井田大会長と二瓶明紀釧路大会運営委員長があいさつ。子どもたちが互いに成長し合う力を高める特別活動に結び付くよう呼びかけた。

 来賓として釧路局の泉野将司局長と全国特別活動研究会の吉田有子事務局長が祝辞を述べ、大会の研究の成果に期待を寄せた。

 引き続き四つの課題別分科会に分かれ、提言発表などをもとに熱心に討議を行った。

 公開授業の授業者と課題別分科会提言者はつぎのとおり。

【授業者】

▼石川慎悟教諭(釧路市中央小)=4年「休み時間にみんなが楽しく過ごせる室内遊びをしよう」 

▼髙瀨慎史教諭(釧路市鳥取小)=3年「一人ひとりのよさをいかしたお楽しみ会をしよう」

▼土屋柾教諭(釧路市城山小)=5年「4年生とこれからのつながりを深める会をしよう」 

【課題別分科会提言者】

▼学級活動部会(小学校)

▽小林拓未教諭(弟子屈町弟子屈小)

▼学級活動部会(中学校)

▽細川信太郎教諭(遠軽町生田原中)

▼児童会・生徒会・クラブ活動部会

▽山口智義教諭(猿払村浜鬼志別小)

▽北川大教頭(網走市第四中)

▼学校行事・全体計画部会

▽武石徹教諭(名寄市名寄南小)

▽南澤綾都教諭(北斗市浜分小)

◆持続可能な社会の創り手育成へ 努力の認め合いが大切 文科省・和久井調査官講演

 課題別分科会に続き行われた講演会では、講師を文部科学省初等中等教育局教育課程課の和久井伸彦教科調査官が務め「持続可能な社会の創り手を育成する特別活動」という演題で、子どもたちが自分の良さや可能性を認識するとともに、持続可能な社会の創り手になれるよう解説した。

 4年度小学校学習指導要領実施状況調査結果(特別活動)から「自分の頑張りで学級や学校を良くすることができる」の設問が他に比べ、やや低いことを指摘した上で、特別活動で育成を目指す資質・能力についての重要な視点として①人間関係形成②社会参画③自己実現―を明示した。

 それぞれの視点を①では「築きたい人間関係~互いの良さを生かし協働して取り組み、より良い人間関係を築こうとする」、②では「つくりたい社会~所属する様々な集団や社会に対して積極的に関わり、より良いものにしていこうとする」、③では「なりたい自分~良さや可能性を生かして実践しながら、より良い自分づくりを目指す」とし、学習指導要領の目標と照らし合わせながら解説。互いの頑張りを認め合う大切さを強調した。

 持続可能な社会の創り手の育成に向けては「学級活動の指導の充実」「児童会活動・生徒会活動の指導の充実」について説明。生活上の諸問題に気付く目を育てる、多様な他者とより良い合意形成を図る話し合い、確実な実践と振り返りを中心に実践事例等を交えながら解説した。

 また児童会活動と生徒会活動に関して、学習指導要領をもとに目標や内容の比較からそれぞれの活動の意義および活動を行う上で必要になることについて理解し、主体的に考えて実践できるよう指導する必要性を示唆した。

この記事の他の写真

和久井調査官講演
和久井調査官講演

(関係団体 2024-11-18付)

その他の記事( 関係団体)

日本教育会道支部 巡回研究大会 対話通して「納得解」を 町支氏 両利き改革の手法紹介

 日本教育会北海道支部(前川洋支部長)は9日、全道巡回研究大会空知大会をオンラインで開催した。帝京大学大学院教職研究科准教授の町支大祐氏が講師となり、働き方改革と学びの充実を両立する「両利き...

(2024-11-20)  全て読む

既習との結び付き体感 北理研 第71回研究函館大会

道小理研究函館大会  【函館発】道小学校理科研究会(髙屋敷優会長)は8日、函館市立あさひ小学校で第71回道小学校理科教育研究大会函館大会を開いた。市内小学校教諭による2授業を公開し、分科会や講演等を展開。5年生...

(2024-11-19)  全て読む

空知校長会 学校経営研 個と向き合う時間と場を 人材育成など組織的対応へ意識醸成 

空知校長会学校経営研究会  【岩見沢発】空知校長会(伊藤聰会長)は1日、岩見沢市民会館文化センターまなみーるで学校経営研究会を開催した。研究協議で、最近の教育情勢や管内先進事例の発表などを通じ、人材育成や授業改革の一...

(2024-11-19)  全て読む

道教委・伊藤局長講演や小樽稲穂小視察 学校の伴走者として 留萌市町村教委協が研修会

留萌市町村教委協議会・研修会  留萌管内市町村教育委員会協議会(会長・佐藤敏治増毛町教委教育長)は10月下旬の2日間、札幌市内などで管内教育委員会委員研修会を実施した。道教委の伊藤伸一学校教育局長が講演し、参加した教育長...

(2024-11-15)  全て読む

個々の豊かな可能性追究 第72回道特連研究釧路大会

第72回道特連研究釧路大会  【釧路発】第72回道特別支援学級教育研究連盟全道大会釧路大会および全日本特別支援教育研究連盟北海道地区研究集会が7日、釧路町公民館を主会場に、会同とオンラインによるハイブリッド型で開かれた...

(2024-11-15)  全て読む

道中 GIGAスクール現状調査 欠席連絡電子化 65% 生成AI 文書作成などで活用

表1  道中学校長会(河村克也会長)は6年度GIGAスクール構想の取組と現状等に関する調査結果をまとめた。保護者との欠席・遅刻連絡のデジタル化に取り組む中学校は65・4%、会議資料のペーパーレス化...

(2024-11-14)  全て読む

石狩小中校長会 秋季学校経営研 子を成長させる組織を 石狩局・田中局長講話など

石狩小中校長会秋季学校経営研  石狩管内小中学校長会(佐藤誠会長)は7日、北広島市芸術文化ホールで秋季学校経営研究会を開催した。石狩教育局の田中賢一局長による講話のほか、管内の3小・中学校の校長が学校間連携に視点を当てた...

(2024-11-14)  全て読む

コミュ力育む授業改善 北中英研 第8回渡島・函館大会

 道中学校英語教育研究会(北中英研、三上寛晃会長)は、仮説を立てて実践する「研究」から移行して、より実践に重きを置いた「研修」を推進。主題は「実践的なコミュニケーション能力を育成する授業改善...

(2024-11-13)  全て読む

釧路校長会 第65回研究協 2校長提言発表、研究協議も 「人は宝」 長所生かして 

佐久間勝教校長  【釧路発】釧路校長会(田中敏行会長)は1日、釧路町公民館で第65回釧路校長会研究協議会を開いた。管内の小・中・義務教育学校の校長44人が参加。提言発表に基づく研究協議や個人レポートでの発表...

(2024-11-13)  全て読む

教員の処遇改善へ国の動向確認 ウェルビーイング実現を 道中が理事研修会

 道中学校長会(河村克也会長)は8日、札幌市内の道特会館で第4回理事研修会を開催した。開会あいさつで河村会長は教員の処遇改善に向けた国の動向を説明。働き方改革と教師のウェルビーイング向上を実...

(2024-11-13)  全て読む