異校種つなぐ中心軸に 札幌で第66回小中高英研
(関係団体 2024-12-02付)

小中高英研
小中高英研 研究大会

 第66回道小学校・中学校・高校英語教育研究大会(小中高英研)が11月22日、ホテルライフォート札幌で開かれた。各研究会の会員ら道内の英語教諭約150人が参加。研究主題「小中高連携を踏まえた英語教育をどう進めるか」のもと、提言発表や大会を通して初となる小学校の公開授業などを行い、10年間を見据えた本道英語教育の在り方を考え合った。

主催は、道小学校英語教育研究会(北小英研、加藤勝宏会長)、道中学校英語教育研究会(北中英研、三上寛晃会長)、道高校英語教育研究会(高英研、俵谷俊彦会長)。

 大会は従来、北中英研と高英研が合同開催していた。小学校外国語が教科化されたことを受けて4年度に設立した北小英研が加わり、第65回大会から小中高英研として、小中高の10年間を見据えた本道英語教育のさらなる発展を目指す研究が実現。今大会では、初めて小学校の授業公開を開催することとした。

 開会式では、大会長を務める北小英研の加藤会長があいさつ。今回初めて小学校の授業を公開するに当たって「中高が積み上げてきた歴史を考えると、身が引き締まる思いだ」と述べた。

 一方で「(英語教育の)専門性以外に大切なものは何か」と問いかけた。「自らの好きなものや楽しかったこと、聞いてほしいことを分かってもらえるまでクイズを出し続ける」といった好奇心旺盛な小学生の特徴を挙げ、興味・関心に応える活動の大切さを強調。実践発表や授業公開を通して「小中高をつなぐ中心軸に迫ることができる大会になることを期待する」と呼びかけた。

 提言発表では、札幌市立中央中学校の久根口修平教諭が「小学校との接続を意識した中学校導入期の指導について~話すことの言語活動を中心に据えた単元構想」、札幌国際情報高校の髙西貴幸教諭が「生徒が前のめりになる授業から次のステージへ~小中高のリレーが育む“使える英語力”の育成」をテーマに説明した。

 久根口教諭は、パフォーマンステストを重視した単元の実践を紹介した。評価方法が単語・文法テストのみでは「指導と評価の一体化につながらない」とし「中学校入学直後から書くことを求め過ぎると、小学校の学びを生かすことができない」と指摘。様々な言語活動を通じて、目標に向けて生徒の力を高める指導を意識することの大切さを説いた。

 髙西教諭は①4技能統合型で英語を発信する機会がある②自分事として物事を捉え、英語で表現する機会がある―の二つを視点に、スモールトークを中心にした授業の実践を紹介した。小中高で育てる“使える英語力”の定義を「即座に理解できる質の高い受信力」と強調。

 こうした資質・能力を育むために、投げかける話題や問いの工夫を通して生徒がアクティブになる仕掛けや、パフォーマンス評価を軸とした単元デザインの重要性を訴えた。

◆札幌桑園小6年生 国の魅力伝え合う

 このあと、札幌市立桑園小学校の新保友梨教諭が6年2組「NEW HORIZON Unit4 Let,s see the world」の授業を公開。「オンライン修学旅行」をテーマに、児童たちが行きたい国の魅力を伝えるために、その国でできることや魅力などを伝え合う活動を展開した。

 授業では、児童たちがペアスピーチで互いの発表内容を聞き合い、改善点を伝え合った上で、本時の目標を全員で確認。前時までに学習した、詳しく伝える表現や質問する構文をおさらいし、どのような方法で学びを深めるかを自己決定した。

 新保教諭は、児童たちのペアスピーチを確認しながら「好きなものが伝わるね」「まずは話してみよう」などと声をかけ、強調したい部分や説明の順序などを再考するよう促し、つぎの時間での発表を意識してペアスピーチに取り組むよう呼びかけた。

 授業づくり研究提案のあと、道教育大学附属札幌中学校の萬谷隆一校長が「これからの英語教育を考える~優れた授業実践から」と題して講演した。

(関係団体 2024-12-02付)

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