学校が担う自覚持って 北性研が第52回釧路大会(関係団体 2024-12-06付)
【釧路発】道性教育研究会(北性研、佐野友美会長)は11月22日、釧路市立鳥取西小学校で第52回道性教育研究釧路大会を開催した。5年ぶりの集合形式で、全道から66人が参加。大会主題を「“自分や相手、一人一人を尊重する性教育の実践”~連続性と系統性を意識したカリキュラムに基づいて」のもと、公開授業や実践発表などを通して、適切な性教育の在り方に関して研鑚を深めた。
釧路市学校保健協議会(年代香会長)が主管。7年ぶりとなった釧路市での大会には、全道から66人が参加した。
冒頭、佐野会長があいさつ。「近年はインターネットでの誤った情報による性被害、デートDV、LGBTなど多様な性に関する困り感を持つ子どもが増えている」と子どもたちが抱えている性教育上の課題を挙げ「性教育が学校の担う教育である自覚を持ち、全ての教職員が理解を深める必要がある」と呼びかけた。
釧路市教委の岡部義孝教育長は「およそ半世紀の歴史を誇る大会がまた釧路で開かれたことは非常にうれしい限り」と述べ「スマートフォンなどの普及によって子どもたちが性犯罪や妊娠・中絶、LGBTなどに関して誤った知識を身に付けてしまうケースも増えている。子どもたちが正しい理解を得られるように学校だけではなく地域や家庭との連携も考え、有意義な会にしてほしい」と訴えた。
◆鳥取西小2年学活 自他の心情大切に
鳥取西小の片渕未夢教諭が2年生学級活動「自分・相手の気持ちを大切に」の授業を公開。本時のねらいを「話し合いを通して、自分がされて嫌なことは相手も嫌な気持ちになること、自分と相手の心と身体・考えを大切にすることを理解し、自分なりにより良い行動を考えて選んだり、考え直したりすることができる」とした。
片渕教諭は、事前アンケートから「楽しいと思った人が多いはずの休み時間で嫌な気持ちになった人も多いのはなぜ?」と問いかけ、本時の目標「みんなが楽しい時間にするには、どうしたらいい?」を確認。理由や解決策などに関して個人で考えた内容をグループで共有し、全体発表した。
「体に触ることではなく、相手が嫌がっていることをすることが駄目」「自分は平気でも、されて嫌なことは人によって違う」などの意見が上がった。
このあと、相手を嫌な気持ちにさせてしまう例として、片渕教諭が児童の背後から顔を近づけ、話しかける場面を実践。児童に感想を聞き、どのような解決方法があるのかを考えさせた。「相手の気持ちを考える」「自分の思いや気持ちを相手に伝える」と自他共に嫌な思いをしないための大切な点を確認した。
◆発達段階に合わせ 協力し取組推進を
公開授業後、釧路市健康推進課の越田絵里子氏が「“思春期ライフデザイン事業”の取組について」と題して実践発表。10~20代前半の人工妊娠中絶率の高さや10代の未婚妊婦の増加、SNSの普及によって性への正しい理解が深まらないなどの課題を踏まえ、中学生を対象とした赤ちゃん触れ合い体験や医師による高校生対象ライフデザイン講座などを展開していることを紹介した。
取組を通して、釧路地区における子どもの性行動への意識の変容に対する調査結果を示しながら、今後の課題として「子どもの成長に合わせた段階的な性教育について、行政や関係職種が役割を分担し、協力して取り組むネットワークの強化が必要」と述べた。
このあと、8グループに分かれて授業内容や今後の性教育カリキュラムの改善点、各校の性教育の現状について交流。専門家との協力・地域との連携や課題解決型の学習スタイルを取り入れる必要があることなどを議論した。
公開授業について、道教委健康・体育課の小西亜紀指導主事が助言。「ロールプレイ時に被害者役の児童を助ける前に困っているかどうかを確認した児童がいた」として、相手の心を大切に考えて行動する目標を達成した子どもの存在に触れた。
さらに「休み時間に絡めて場面設定をしたことで、子どもたちが日常生活の中で授業テーマについて考えられる」と授業外で児童たちが成長するきっかけを生んだという観点から評価した。
(関係団体 2024-12-06付)
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