知をつくる問題解決へ 第62回道小学校理科教育研究大会函館大会(関係団体 2015-09-29付)
【函館発】第六十二回北海道小学校理科教育研究大会函館大会が十八日、函館市立柏野小学校で開催された。関係者約百人が出席。「主体的に自然とかかわり、共に知をつくる問題解決」を研究主題に、柏野小が四つの公開授業を行ったほか、道内各支部が八つの研究発表を行い、活発な意見交換等を通じ、子どもの問題解決の在り方について理解を深めた。
大会は、道小学校理科研究会(村上力成会長)が主催。道小学校理科研究会道南支部(井上一男支部長)等が主管し、道教委、函館市教委等が後援した。大会主題は「科学の可能性を見いだし、自然と向き合う問題解決」。主管する道南支部は、道内六つの各支部が共通設定する大会主題を受けて、「主体的に自然とかかわり、共に知をつくる問題解決」を研究主題として掲げた。
開会式では冒頭、村上会長があいさつ。「発足以来、一貫して子どもの問題解決の在り方を希求してきた。歴代会員は、問題解決に夢中になることこそが、子どもの意欲を引き出す最善の近道と信じ、長きにわたってその思いを深め、広めてきた」と述べ、公開授業や研究発表に関する活発な協議を呼びかけた。
引き続き、来賓として出席した元文部科学省小学校課教科調査官で、現在は日本体育大学教授を務める角屋重樹氏、渡島教育局の辻俊行局長、函館市教委の山本真也教育長が祝辞に立った。
角屋教授は「アクティブラーニングのキーワードは主体的にかかわることと、他者とのかかわり。この大会は先見性を示してくれるもの」と述べた。辻局長は「公開授業、研究発表を通して、たくさんの成果をそれぞれの地域に持ち帰ってほしい」と呼びかけた。山本教育長は「第一線で活躍されている方々が、本道の教育推進の充実・発展に重要な役割を果たしていることに心より敬意を表す」と述べ、それぞれ実りある大会となることを期待した。
道南支部は、道南地方の子どもの実態調査等を踏まえて研究主題を設定し、授業内容等に工夫を凝らしながら、日々、実践を重ねている。大会で公開した四つの授業はすべて、研究主題に基づいて、授業づくりが行われている。
道南支部の実態調査によると、道南地域の子どもたちは、理科に対する興味・関心が高く、実験・観察が好きという割合が多い反面、自分の考えを説明することや、実験結果から考察すること、学びを振り返って考えることに苦手意識をもつ子どもが多いという。
このため、道南支部は研究の視点として、「子どもの思考に沿った単元構成」「問題解決を支える“すべ”」「基礎的・基本的な知識および技能の確実な習得の工夫」と三点を据えた。
視点の一つ、単元構成では問題解決の過程として、①問題②予想③観察・実験方法④観察・実験結果の予想⑤観察・実験⑥観察・実験結果⑦考察⑧結論⑨ふり返り―と、九つの学習のステップを設定。子どもが各過程(ステップ)を意識し、身に付けられるよう、教師が授業を進めていくとした。
視点として据えた問題解決の「すべ」とは、道南支部が定義したもの。主体的に問題解決を行い、仲間と共に科学的な知をつくるために、子どもが身に付けている必要のある手立てを「すべ」とした。
研究では、子どもが問題解決を行う際に必要な思考力、判断力、表現力を高める「思考のすべ」と、仲間とかかわりながら科学的な知をつくるために必要な「自他を理解するすべ」に焦点を当てている。教師は、子どもたちが「思考のすべ」「自他を理解するすべ」を、問題解決のための九つの課題に応じて身に付けられるよう、授業での発問等に留意することなどを示した。
視点の三点目。基礎的・基本的な知識および技能の確実な習得の工夫では、「知識および技能の習得表」「授業のポイント一覧表」「ワークシート(中学年)」「ノート(高学年)」の活用によって授業を進めていくとした。
(関係団体 2015-09-29付)
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