主体的に学ぶ人づくりへ 旭川市教育大綱素案まとまる 27~30年度 重点9項目掲げ総合的に推進
(市町村 2015-10-15付)

 【旭川発】旭川市は教育大綱素案をまとめた。計画期間は二十七~三十年度までの四年間を想定。国の第二期教育振興基本計画や第八次市総合計画(基本構想)をベースに、基本方針として「主体的に学び力強く未来を拓く人づくり」を設定。その実現に向け、三つの基本目標と九つの重点施策を掲げ、市の教育、学術、文化およびスポーツ振興に関する取組の総合的な推進を図ることとした。

 教育大綱素案の概要はつぎのとおり。

▼基本目標1=次代の担い手が、生き生きと学ぶ教育を推進する

▽施策1=社会で自立して生きていく力を培う教育の推進

 すべての子どもたちが変化の激しいこれからの社会を主体的、創造的に生きていき、生涯にわたって幸福で充実した生活を営むためには、学習基盤となる資質や能力を育成するとともに、心身ともに健康な生活を送るための基礎を培うことが必要である。

 このため、小学校における少人数学級の推進など、きめ細やかな指導体制を拡充し、基礎的・基本的な知識・技能の習得と思考力・判断力・表現力等の育成のバランスを重視するなど、確かな学力を育成するとともに、道徳教育の推進や読書活動、運動に親しむ活動などを充実し、豊かな心と健やかな体を育成する。

 また、教育上特別な支援が必要な子どもたちやいじめ・不登校などの悩みを抱える子どもたちへの支援を充実するとともに、道立特別支援学校高等部(知的障がい)の設置に合わせて、企業や関係団体と連携し、職場実習や就労についての支援の検討を行う。

 さらに、旭川で育った子どもたちが将来にわたって旭川に愛着をもって暮らすためにも、郷土愛を育むほか、地域の若者の進学先の幅を広げるために地域の特色を生かした高等教育機関の検討を行う。

▽施策2=小中連携・一貫教育の推進

 近年、子どもの心身の発達状況や社会の変化等によって、児童生徒の学習指導上、生徒指導上の課題が多様化・複雑化し、いじめ・不登校などが中学校一年生で急増するいわゆる「中1ギャップ」など、小学校、中学校だけでは解決できない教育課題が生じてきている。

 このため、中学校の通学区域を単位とした小中連携・一貫教育の推進に向け、小中学校間の教育課程の円滑な接続や、九年間を見通した教育活動の推進を図るとともに、小中連携・一貫教育の推進を視野に入れた施設一体型の学校の開校や通学区域の見直しなどに取り組む。

▽施策3=安全・安心な教育環境の整備

 今後の少子化の進行を踏まえながら、適正な学校規模で教育活動を行えるよう、教育環境を整備する必要がある。

 また、老朽化が進む学校などの教育施設等については、計画的に改築などの整備を継続するほか、各種安全対策を進めていくことが必要である。

 このため、小・中学校適正配置計画に基づき、保護者等の理解を得ながら学校規模の適正化を推進するとともに、東旭川学校給食共同調理所等の給食施設をはじめ、学校などの教育施設の計画的な維持・更新を行う。

 また、学校などの教育施設等において、火災や地震などが発生したことを想定した防災訓練を推進するほか、子どもたちを事故や犯罪から守るために、関係機関と連携し、通学路における必要な安全対策を推進する。

▽施策4=家庭や地域に開かれた信頼される学校づくりの推進

 近年、都市化や核家族化、少子高齢化などの社会の変化等によって、児童生徒にかかわる課題が多様化・複雑化していることから、家庭や地域に開かれた学校づくりを推進し、地域全体で子どもたちを育てていくことが必要である。

 このため、保護者や地域住民の理解と参画を得ながら、学校・家庭・地域の連携を強化するとともに、地域の教育力を活用した教育活動を推進する。

 また、社会情勢等の変化や今日的な教育課題に的確に対応できるよう、指導力の向上を図る各種研修の実施など、教職員のさらなる資質能力の向上に向けた取組を行う。

▼基本目標2=子どもの成長を支える環境づくりを推進する

▽施策1=子どもや家庭に対する相談支援の充実

 子育てや教育に関する相談は多様化、深刻化していることや、件数も増加傾向にあることから、子どもや家庭の状況に応じて相談を受けられる体制を整えるなどの取組が必要である。

 このため、子育てや教育に関する各種相談窓口や機能の集約化、専門性を有する人材の配置等を行うとともに、関係機関や地域との連携なども行いながら、子どもたちの将来を見据えた支援を行う。

 また、保護者に対して、家庭教育の重要性や子どもの成長についての理解を促進し、子どもが健やかに成長できる家庭環境づくりを推進する。

▽施策2=子どもが健やかに育つ環境の充実

 人口減少・少子高齢化がさらに進行することが見込まれる中、次代を担う子どもを安心して育てることができる環境を整えていくことが重要である。

 このため、教育機会の均等の確保に向け、経済的な理由などによって就学が困難な児童生徒に、就学費用にかかる助成をするなどの支援を行う。

 また、子どもに多様な経験や学びの機会を提供するため、保育・教育環境の整備や放課後の居場所づくりの充実を図る。

▼基本目標3=文化やスポーツに親しみ、学びを深める環境づくりを推進する

▽施策1=生涯を通じた学びの振興

 市民の生涯を通じた知識や能力の向上、心豊かな暮らしの充実を図るためには、多様な学習機会の提供や、学びの成果を生かすことができる環境整備が必要である。

 このため、主体的な学習活動の推進や、市民ニーズに対応した社会教育施設の機能の充実を図るなど、市民の学びを支える環境づくりを推進する。

 また、市民が互いに学び合えるよう担い手の育成を進め、各種施策の連携やネットワークの構築を進めながら、学びの成果を地域に生かすことができる仕組みづくり、学びを通じた地域の教育力の向上に取り組む。

▽施策2=個性豊かな文化の振興

 文化芸術は、感性を豊かにし、暮らしに潤いと安らぎをもたらすとともに、人々に感動や生きる力を与えるものである。また、活発な文化芸術活動は、地域への愛着と誇りを育み、活力ある地域社会の形成に役立つものである。

 このため、文化芸術活動への支援や文化芸術に接する機会の充実、関連施設の機能充実などを行いながら、本市ならではの文化の特色や北国らしさなどの特長を生かした、多様で個性豊かな文化の振興を図る。

 また、アイヌ文化や郷土芸能など、地域の文化の保存や伝承に努めるとともに、それらの活用や魅力の発信等を進めるなど、郷土愛を育む取組も推進する。

▽施策3=スポーツ・レクリエーションの展開

 スポーツ・レクリエーションは、楽しみや健康づくり、仲間や地域との交流のほか、他者との競争や自己の目標達成など、その特性や目的によって生涯を通じて取り組むことができるものであり、市民の健康で心豊かな生活の実現に貢献するものである。

 このため、行政や地域、各種スポーツ・レクリエーション団体、民間クラブなどが相互に連携、協働を図りながら、市民がスポーツ・レクリエーションに親しむ環境を整備するとともに、スポーツ合宿や大会の誘致、市民活動の支援等を進め、スポーツに取り組む機会の充実と意識の醸成を図る。

(市町村 2015-10-15付)

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