旭川市教委小中連携・一貫教育推進研 学校教育の限界超えて 文科省教育制度改革室・武藤氏講演(市町村 2015-08-12付)
旭川市教委小中連携・一貫教育推進研―武藤氏講演
旭川市小中連携・一貫教育推進研修会では、午後から、国立教育政策研究所フェロー、道教育大学招聘教授を務める文部科学省教育制度改革室室長補佐の武藤久慶氏が講演した=写真=。演題は「何故今、小中連携・一貫教育が求められているのか? 背景、本質を深く理解し、優れた取組事例から具体的イメージを学ぶ」。小中連携・一貫教育を進める上での留意点や参考となる実践を紹介。「学校教育の限界を超えるためにも、より小中の連携を深め一貫した取組を進めてほしい」と訴えた。
武藤氏は、小中連携・一貫教育が求められる背景を説明。その上で「少なくとも中学校区を単位として子どもの実態と課題を共有し、“十五歳の学力”に責任をもてる学校でなければならない」と話した。
また、小中連携・一貫教育による異学年交流の時間の増加、乗り入れ授業や合同研修などの教職員の相互交流について解説。「子どもの社会性を育むため、どの程度の量の異学年交流をデザインするかが大切」と述べた。
このほか、不登校に早期に対応するための取組を例示した。校務システムを活用し、毎日の全児童の出欠等情報を集約。校長の判断のもと、フリーの教員が即座に家庭訪問し、不登校に対応する取組を紹介した。小中連携・一貫教育の中で実践するよう勧めた。
つぎに、小中連携・一貫教育における具体的な実践の留意点を提示。「教科等における系統性」「一貫性を踏まえた家庭学習」「つまづきの解消や知識の定着を保障する取組」「適切な勉強方法の指導」などを挙げた。
加えて、新潟県燕市立小池中学校の「長善タイム」、秋田県大仙市立協和中学校の「ヒトベンノート」などの実践を紹介した。
「長善タイム」は、毎日十五分間だけ生徒が一日の授業を振り返り、分かったことや分からなかったことを整理し、家庭学習の計画を立てる取組。
「ヒトベンノート」は生徒が決めた学習内容二ページ分を教員が確認し、さらに学校全体でチェックすることで、生徒の学習に対する意欲付けを図るものとなっている。これらの取組を参考に、各学校でも取り組むよう求めた。
最後に、「年間を通して学校教育が子どもの時間に占める割合は約二〇%で、これが学校教育の限界ともいえる」と説明。「その限界を超えるためにも、より小中の連携を深めて一貫した取組を進めてほしい」とまとめた。
質疑応答では、行事や日々の指導等における連携の比重、乗り入れ授業等を実施する上での教員免許の有無などについての質問が上がった。
武藤氏は、連携の比重について「合同行事での交流に始まり、イベントで終わらないよう気を付けるべき。目の前の子どもに足りないこと、先生の困りなどを視点に手段を考えてほしい」と助言した。
また、乗り入れ授業等での免許については「例えば中学校の理科教諭の免許なら、小学校でもできる。小学校の免許なら中学校で授業はできないが、チームティーチングとしてT2で入ることは可能」とアドバイスした。
このあと、会場の参加者の要望に応え、講演を延長。小中連携・一貫教育のための多忙感解消について、マネジメントサイクルの改善を例示して解説した。
(市町村 2015-08-12付)
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