日P全国研究大会特別第2分科会 スマホ問題は心の問題 子に必要な情報モラル育み
(関係団体 2015-09-02付)

日P全国研究大会第2特別分科会
日P全国研究大会特別第2分科会

 「第六十三回日本PTA全国研究大会札幌大会」が八月二十一日から二日間、札幌市内で開かれた。初日は市内八会場で、家庭教育、地域連携、情報モラルなどのテーマ別に十分科会を実施。基調講演やパネル討論などを通して、研究討議を深めた。

 公益社団法人日本PTA全国協議会、北海道ブロックPTA協議会、札幌市PTA協議会が主催。道内では十一年ぶり、札幌では二十年ぶりの開催。

 初日、札幌コンベンションセンターで開かれた特別第二分科会=写真=には約五百五十人が参加。「子どものための情報モラル~子どもたちの現状とネット炎上」をテーマに、基調講演や実践発表、パネルディスカッションなどを実施した。

開会式に続いて、兵庫県立大学の竹内和雄准教授が「スマホ時代の大人が知っておきたいこと」と題し基調講演。「スマホの問題は、心の問題。子どもたちにいつでも相談に乗るよと伝えて」と呼びかけた。

 竹内准教授は、LINEによるトラブルの実例を紹介。

 ―ある中学校のクラスで、LINEでコメントをやりとりしていくうちに、メンバーみんなで「映画館に行こう」という話になった。話がまとまったあと、コメントのやりとりに参加していなかったA君がLINEに参加し、映画に行くことを知り、「俺もいく」とコメント。どういう手段で来るかを聞こうとB君が「何で来る?」とコメントを打ち込んだところ、A君からは「やっぱり行くのをやめる」との書き込みがあった。

これは、B君の「何で来る?」の質問をA君が「おまえは来るなよ」という否定的な意味で受け取ってしまった。勘違いに気づいた子どももいたが、別の会話が次々と始まり、結局、話は誤解のまま終わってしまった。―

 竹内准教授は、実際に、ある都市でこの例を子どもたちに伝えたところ、トラブルがかなり減ったことを紹介。

 また、「ネットで困ったら誰に相談するか」と聞いたところ、「友達」「親」「警察」「先生」の順となり、先生や親に話さない理由は、「どうせ知らないし」「暴走するし」「聴いてくれない」「自分の言いたいことだけ言う」などの声が挙がったと説明した。

 最後に、子どもと向き合うために大人が心がけるべきこととして、①いつでも相談に乗る姿勢を示す②暴走しないこと。子どもたちの話を聞いてあげること③自分はスマホやネットについて詳しくはないけれど、詳しく知っている人を知っていると伝えること―の三つを提案。「スマホの問題は、心の問題」と強調し、「彼らが求めていることは愛されたいという実感。大丈夫という安心感を与えてやるのが我々大人の責任」と呼びかけた。

 続いて、道教委生涯学習課主幹の濱中昌志氏と創造教育研究所代表の尾崎廉氏が実践発表。濱中氏は「どさんこアウトメディアプロジェクト」について報告。はじめに、「PTAが核になったことで、それまでの縦割りの取組が一つにつながった」と強調。電子メディアへの接触時間を見直すことを目的に、①「ノーゲームデー」の設定・推進②保護者や児童生徒へ学習機会の提供③様々なアイテムの開発・作成―に取り組んでいることを報告し、「変えたいのは、意識でなく行動」と伝えた。

 尾崎氏は、札幌市立平岡中の情報モラル教育を紹介。情報社会を生き抜くために必要な力を育むため、①道徳の情報モラルの授業を中心とした「予防教育」②問題が大きくなる前に教師が事前察知し指導を行う「未然防止教育」③問題が発生した場合の「事後指導・再発防止教育」―の三層構造化した取組について報告。

 「ネット上の問題やトラブルは年々低年齢化している」とし、「子どもを情報から守るだけでは駄目。子どもたちが情報社会で生きる力を身に付けことが大切で、そのため、学校の教育とPTA活動が連動することが必要」と求めた。

(関係団体 2015-09-02付)

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