岩見沢市教委・教育支援センターの取組 学校・専門家間の架け橋に 問題解決へ支援体制が機能
(市町村 2015-09-04付)

岩見沢市教委・教育支援センターの取組

 【岩見沢発】岩見沢市教委がことし四月に開設した教育支援センター。六月末までの三ヵ月間で寄せられた相談のうち、通常学級に在籍する特別な支援が必要な生徒に関するケースが半数近くを占めるという。学校現場では、担任一人ですべての児童生徒をケアすることが難しく、児童生徒の状況を踏まえた適切な指導を行う専門的な知識も不可欠となっている。学校や医療関係者との連携がこれまで以上に重要な要素を占める中、課題解決に向けて、学校、保護者、専門家の仲介役となる岩見沢市の取組を取材した。

学校・医療関係者間の連携強化を

 教育支援センター開設後の三ヵ月間で寄せられた相談件数は百十二件。このうち、半数近い五十三件が訪問を希望する学校からの相談となっている。相談内容をみると、「通常学級にいて支援が必要な生徒」に関するものが半数近くを占めるという。

 なぜ、「支援が必要な生徒」に関する相談が増えているのか。同センター教育支援コーディネーターの長尾孝男氏は「支援を必要とするすべての生徒をケアする人員が、学校現場で不足している」と指摘する。「発達障がいのある児童生徒が、いじめ・不登校につながるケースがある。教師だけではなく保護者、専門家など多くのサポートが必要だ」と語気を強める。

 センターでは、電話とメールによる通常の相談のほか、訪問を希望する学校に支援スタッフを派遣している。支援を必要とする児童生徒に対しては、支援スタッフが直接学校に出向いて授業中の様子を調査。「第三者の視点」から学校にアドバイスするほか、保護者との面談や支援計画作成のサポートなども行っている。

 落ち着きがなく授業に集中できない児童、やる気がなく学習に入り込めないなどの児童に関しては、医療コーディネーターが普段の授業での様子、成績、過去の症状の記録などを調査。発達検査を行い児童の得手・不得手の分野を踏まえた上で、より勉強に集中できる授業の方法をアドバイスしている。

 相談を続けているある学校の特別支援コーディネーターは、「これまでどこに相談すべきか判断に困るときがあった」と振り返る。センター立ち上げとともに、「専門家から適切なアドバイスをもらえるのでとても相談しやすい」という。「相談後の迅速な対応によって、早期に問題解決の方向性を打ち出せる点は、学校として大変ありがたい」と利点を挙げる。

 センターにおいて、医療コーディネーターを務める市立総合病院の藤根美穂医師は「発達障がいを取り巻く現状は、ここ十年で新しい概念も生まれるなど研究が進み、作業療法や心理療法など治療の方法も多様化しており、学校だけで対応することは難しい」と、学校と医療関係者間の連携強化の必要性を指摘する。

 「子どもの発達は非常に早く、学校の先生が対応できない部分がある。学校の外にも味方がいることを忘れず、子どもの発達や発育、何でも相談してほしい」と、センターへの積極的な相談を呼びかける。

 空知教育局の針ヶ谷一義教育支援課長は、同センターのサポートに関して、「問題解決に向けた支援が有効に機能している事例」と評価する。「教育相談を利用することで学校が児童への対応について知識がつき、対応能力の向上につながれば」と期待する。

(市町村 2015-09-04付)

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