道教委コミュニティ・スクールに関するアンケート結果―地域との連携強化に期待 市町村教委のリーダーシップが必要(道・道教委 2015-09-10付)
道教委は、コミュニティ・スクールに関するアンケート結果をまとめた。コミュニティ・スクールの指定を受けていない道内公立小・中学校や未導入校を所管する市町村教委を対象に実施。導入に対する期待は、地域との連携に関するものが高く、学力向上や生徒指導上の課題解決などに関する項目が相対的に低い結果となった。一方、導入しない理由に関して、学校では「成果が不明確」(四五%)、市町村教委では「すでに地域と連携できている」(五九%)が多かった。道教委では、導入に向けては「教育委員会のリーダーシップが必要」と指摘している。
コミュニティ・スクールの導入をめぐって、国では二十九年度までに全公立小中学校の一割、約三千校に拡大する目標を掲げている。これを受けて、本道においても一割の公立小・中学校で導入する方針を打ち出している。一方で、ことし四月現在の導入状況をみると、全国で二千二百七十一校、七・六%が指定されているが、道内では三十五校、二・五%にとどまっている。
道教委では、コミュニティ・スクールの導入が進まない要因や課題認識を把握するため、ことし五~六月、コミュニティ・スクールの指定を受けていない道内公立小・中学校(札幌市立を除く)から無作為で抽出した三百四十四校に質問紙調査を実施。三百十二校(九〇・七%)から回答を得た。
さらに、未導入校を所管する市町村教委にもアンケート調査。百二十七の教育委員会を対象とし、百二の教育委員会(八〇・三%)から回答を得た。
学校調査で、「コミュニティ・スクール制度の導入によって、どのような成果が期待できると思うか」との質問への回答は、「学校と地域が情報共有するようになる」(九六%)、「地域の声を集めやすくなる」(九四%)、「地域の教育力が上がる」(九〇%)など、地域との連携に関する項目の割合が高かった。
一方、「児童生徒の学力が向上する」(五八%)、「いじめ・不登校・暴力など生徒指導の課題が解決する」(五九%)など、学校の課題に関するものは相対的に低く、半数程度の結果となった。
市町村教委への同様の質問では、「学校と地域が情報共有するようになる」(八七%)、「地域の声を集めやすくなる」(七九%)、「特色ある学校づくりが進む」(七八%)の順で高かった。
「コミュニティ・スクールを導入しない理由」では、学校に十三項目から三点を順位付けして選択させた結果、「成果が不明確」が四五%と多く、「教育委員会に設置の考えがない」(三四%)、「学校運営協議会委員の人材が不足」(二六%)、「類似制度が設置されている」(二三%)、「管理職や担当教職員の勤務負担が増加」(二一%)などと続いた。
教育委員会に対する同様の質問では、「すでに地域と連携できている」が五九%と最も多く、「学校運営協議会の成果が不明確」(四四%)、「類似制度との重複が生じる」(四四%)などと続いていた。
コミュニティ・スクールの理解度について、学校は、「よく理解している」が二〇%、「制度の概要は理解している」が七七%、「あまりよく分からない」が三%。「学校でコミュニティ・スクールの導入について話題になったことがあるか」では、「はい」と答えた学校が二七%、教育委員会は二五%にとどまった。
道教委では、「コミュニティ・スクールの成果や、ほかの類似制度との違いなどが十分に認識されていない可能性がある」「導入に当たっては、学校への指定権限のある教育委員会のリーダーシップが必要」と分析。「導入への期待は全般的に学校に比べて市町村教委の方が低い」「制度への理解度や情報量の高まりが、成果についての期待度を高める可能性がある」とみている。
(道・道教委 2015-09-10付)
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