道小・道中「財務省教職員定数削減案」反対要望書概要
(関係団体 2015-11-12付)

 道小学校長会(松井光一会長)と道中学校長会(小西俊之会長)が、十日に道教委へ提出した「財務省教職員定数削減案」に反対する緊急要望書等の概要はつぎのとおり。

◆戦略的な充実・確保を―道小学校長会

▼全国連合小学校長会・道小学校長会「教職員定数の削減に反対する緊急要望書」

 社会が激しく変化する時代にあって、全国二万人の小学校長は、地域社会と一体となり、わが国の未来を担う子どもたちの教育に全力を注いでいる。将来の有益な人材の育成なくして、わが国の持続的な発展はなく、「未来への飛躍を支える人材の養成」に向け、国家が積極的にリードし、国民全体で取り組む必要がある。

 いま、わが国は、知識基盤社会への新たな進展やグローバル化の進行、世界に類をみないスピードで進む少子高齢化によって、先を見通すことが難しい時代となっている。小学校教育においても、進行する教育改革への対応、いじめ・不登校問題をはじめとする児童の健全育成への取組など教育課題は山積している。

 教育を最重要課題と掲げている安倍内閣が、こうした教育課題の解決に取り組んでいる状況の中、公立学校の教職員定数について財政制度等審議会において、児童生徒数の減少に合わせて加配定数も含め教職員定数を機械的に削減すべきとの考え方が示された。

 これは、現在の学校現場の状況を全く理解していない、財政的視点のみの机上の空論であり、極めて遺憾である。

 このような状況の中、去る十月二十八日に中央教育審議会から、「教職員定数の機械的な削減ではなく、多様な教育課題や地域のニーズに応じた確固たる教育活動を行うために必要な教職員数を戦略的に充実・確保すべきである」という「教職員定数にかかる緊急提言」が出された。

 我々全国連合小学校長会は、わが国の未来を担う人材育成に携わる立場から、複雑化・多様化する学校現場におけるきめ細かな指導の充実を図るため、教職員定数の改善をはじめとする教育諸条件の整備こそが今、真に求められているものであると訴える。

 このことから、現在行われている財政論の観点からの現場の実情を全く顧みない財政制度等審議会の議論に断固反対する。

 関係の皆さんにおかれては、学校現場の実態を理解の上、教職員定数の計画的な合理化に強く反対する立場から、何卒支援を賜りますようお願い申し上げる。

◆教育再生へ必要不可欠―道中学校長会

▼全日本中学校長会・道中学校長会「教員加配定数の削減に反対する緊急要請書」

 今日のわが国は、少子高齢化・知識基盤社会・グローバル化などの社会の急激な変化の中にあって、日々の生活基盤までもが大きく変容し、物質的な豊かさの一方で人間関係の希薄化や雇用の不安定化などによって、日常生活において心の豊かさを実感しにくい状況になっている。

 特に、中学校では、いじめや不登校、暴力行為など生徒指導上の諸課題が一層深刻化し、その解決・解消が重要な課題となっている。また、学力向上はもとより、家庭や地域社会との連携の強化、生徒の学習や生活基盤づくり、規範意識の育成、体力の向上など健やかな心身の育成が中学校教育に求められている。

 このように、学校現場を取り巻く課題は多様化・複雑化しており、目の前の一つ一つの課題をしっかり見据えた堅実な教育の取組が重要になっているが、昨年報告された経済協力開発機構(OECD)の国際教員指導環境調査によると、日本の中学校教員の一週間当たりの勤務時間は参加三十四ヵ国中、最長であり、他国と比較して授業のほかに課外活動や事務業務等にも多くの時間を費やさざるを得ない勤務実態となっている。

 そのような状況においても、日本のPISA二〇一二の順位はOECD諸国の中でトップクラスとなっており、教員が子どもたちのために時間を惜しむことなく心血を注ぐとともに、これまでの教職員定数改善によって種々の課題に対応できたからこそ得られた成果である。

 しかし、先日の財政制度等審議会において、現在の教育環境を維持させるとしても、少子化に伴う約三万三千人の基礎定数の自然減を反映した上で、三千七百七十一人の加配定数を削減できるという機械的かつ一方的な主張が示された。加配定数の削減は課題解決型授業(アクティブ・ラーニング)の推進、家庭環境や地域間格差など教育格差の解消、特別支援教育の充実、いじめ等の問題行動への対応、さらに、日本語指導が必要な外国人生徒などが年々増加する学校現場の実態にそぐわないものであり、現状を維持することさえできない。

 財務省は、日本の将来を担う子どもたちに借金を負わせたくないと言うが、あたかも子どもたちが借金を膨らませている要因になっているかのような責任転嫁の発言であり、撤回すべきである。大人が作った借金を子どもたちにツケを回すような財政健全化計画は、日本の将来に禍根を残すことに他ならない。

 教育への投資は負担ではなく必要不可欠な先行投資である。わが国の成長のための教育再生を推進することが必要であり、学校現場の実態にそぐわない加配定数の削減に断固反対する。

 関係の皆さんにおかれては、中学校教育の実態を理解の上、加配定数の削減に断固反対する要請に、何卒支援をたまわるようお願い申し上げる。

(関係団体 2015-11-12付)

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