道議会文教委員会(8月4日)の質問・答弁概要
(道議会 2015-11-19付)

 道議会文教委員会(八月四日開催)における加藤貴弘委員(自民党・道民会議)、川澄宗之介委員(民主党・道民連合)の質問、および杉本昭則学校教育監、梶浦仁学校教育局長、菅原行彦学校教育局指導担当局長、岸小夜子義務教育課長、岩渕隆義務教育課教育環境支援担当課長、竹林亨学校教育局参事(生徒指導・学校安全)の答弁の概要はつぎのとおり。

◆児童生徒の交通安全対策

加藤委員 児童生徒にかかわる交通事故において、本年度に入り、釧路管内での自転車通学中の高校生が大型車に巻き込まれ命を落とした事故や、上川管内で通学に利用していたバスを降車後の小学生が乗用車にはねられ、命を落とした事故をはじめ、後志管内で道路左側を自転車で走行中の高校生と中学生の兄弟が、対向車線をはみ出してきた軽乗用車と衝突し、重軽傷を負う事故が起きるなど、依然として後を絶たない状況である。

 子どもたちが交通事故によって尊い命を落としたりけがを負うことは、子どもたちや保護者に大きな不安を与えることにつながっていく。そこで、児童生徒の交通安全の確保について伺っていく。

 六月十五日、上川管内で児童の登下校に利用されている「町営巡回バス」を利用した小学生が、バスを降車後、道路を横断中に乗用車にはねられ亡くなるという痛ましい交通事故が発生した。

 そこで、スクールバスによる通学における児童生徒の安全確保について数点伺っていく。

 道内の市町村におけるスクールバスの保有や運行状況と利用する児童生徒数について伺う。

岩渕義務教育課教育環境支援担当課長 スクールバスの運行状況などについて。前年度行った調査によると、本道においては、百七十一の市町村で、市町村が保有するバスや民間への委託などによってスクールバスを運行している。

 また、スクールバスを利用している学校数は、小学校四百二十四校、中学校二百八十九校、合わせて七百十三校であり、全学校数の約四一%である。

 利用児童生徒数は、小学生約一万二千人、中学生約八千人、合わせて約二万人であり、全児童生徒の約五%となっている。

加藤委員 市町村や学校において、児童生徒の安全確保についての指導の状況はどのようになっているのか伺う。

竹林学校教育局参事(生徒指導・学校安全) 児童生徒への指導の状況について。児童生徒の登下校に際して、スクールバスを運行している市町村教委においては、スクールバスで通学している児童生徒に対して、停留所でのバスの乗り降りの仕方や注意点、乗車マナー、道路の横断の仕方などの安全指導などについて指導を行っている。

 また、添乗者を配置し指導している市町村は三十五あり、そのうち、毎日の指導が四つの市と村、週一回、月ごとの指導が七つの市町村、学期ごとの指導が二十四の市と町となっている。

 添乗者については、教員が大半を占め、そのほか、市町村教委職員や、保護者、地域住民となっている。

加藤委員 子どもたちの登下校の安全確保にかかわっては、教員のほか、保護者や地域住民の方々による街頭指導などが行われていると承知しているが、スクールバスについても、保護者や地域住民の協力を得た指導等が必要であると思う。例えば、学校支援地域本部や地域団体にも協力を得るなどの方法もあると思うが、道教委の見解を伺う。

竹林学校教育局参事(生徒指導・学校安全) 児童生徒の安全確保について。スクールバスの利用に当たっては、バスに乗るときや降りた直後に、周りに注意することや道路を横断する際に気を付ける点などについて、指導を徹底することが重要であり、その際には、児童生徒自らが危険を回避できるよう指導するとともに、学校や市町村教委に加え、家庭や地域の理解と協力を得ながら、バスの乗り降りの際の声かけや、見守り活動などの取組を進めることが大切であると考えている。

 道教委としては、スクールバスを利用する児童生徒の安全指導について、地域住民、交通安全関係団体はもとより、地域住民がボランティアとして学校の教育活動を支援する学校支援地域本部とも連携し、定期的な添乗による危険個所の確認や道路の横断方法の指導など、児童生徒の安全確保に向けた取組が充実されるよう市町村教委に働きかけていく。

加藤委員 五月に、釧路管内で自転車で通学していた高校生が横断歩道上で大型車に巻き込まれ命を落とすという痛ましい事故が発生しており、児童生徒の自転車運転中の事故が後を絶たない状況にある。そこで、児童生徒の自転車運転に関する安全対策について、数点伺っていく。

 本年度の児童生徒が登下校中や学校から帰宅したあとに自転車運転中に遭った交通事故の状況について伺う。

竹林学校教育局参事(生徒指導・学校安全) 自転車運転中の事故の状況について。道教委では、児童生徒が交通事故によって、全治一週間以上のけがを負った場合には報告を求めており、札幌市立学校を除く道内の公立学校からは、本年四月から六月末までに、自転車運転中の事故について、九件の報告があった。

 学校種別では、小学生が六件で、いずれも下校したあとの事故であり、中学生は、登校中の事故のみ一件、高校生は、登校中と下校中の事故が、それぞれ一件の計二件となっている。

加藤委員 自転車通学にかかわって、児童生徒の安全確保のために、学校においては、どのような指導をしているのか伺う。道教委における取組も併せて伺う。

竹林学校教育局参事(生徒指導・学校安全) 自転車通学にかかわる安全指導について。道内の各学校においては、自転車の利用が始まる時期に合わせて、ブレーキやライトなどの安全点検を行うとともに、交通ルールやマナーを身に付けさせる指導や、自転車の安全な乗り方に関する実技指導、校区内の危険個所の確認や、児童生徒が主体となった交通安全の取組など、小・中・高それぞれの校種に応じた指導が実施されている。

 道教委では、こうした学校における取組を支援するため、全道の交通安全教育の事例をWebページに掲載するとともに、全道三会場で「学校安全教室」を開催し、交通ルールを順守した自転車の安全な乗り方や、地域における通学路の安全確保の取組を進めてきた。

 今後は、現在、自転車通学を実施している状況について調査しており、その結果を踏まえ、各市町村教委や各学校に対して、あらためて指導助言に努めていく。

― 指 摘 ―

加藤委員 交通ルールやマナー指導を行っているとのことであるが、私も朝、車に乗っている際にイヤホンを付けて自転車に乗っている児童生徒を見ることもあるので、きめ細かな指導をお願いしたい。

加藤委員 児童生徒が安全に自転車を利用し、交通事故を回避できるようにするためには、学校が警察などと連携して交通ルールや安全な乗車方法について学ぶ機会を確保することが重要と考えるが、警察等の関係機関と連携した交通安全教育の実施状況について伺う。

竹林学校教育局参事(生徒指導・学校安全) 交通安全教室などの実施状況について。警察等の関係機関と連携した体験的な活動を行う交通安全教育については、二十六年度、小学校で九八%、中学校で七〇%、高校で九五%の実施となっている。

 具体的には、警察官や交通安全指導員による交通安全青空教室、視聴覚教材を活用した交通ルールを学ぶ交通安全教室、スタントマン等による交通事故の再現事例を活用した交通安全教室などが実施されている。

加藤委員 警察等と連携した体験的な交通安全教育の実施については、学校種によって差があるが、道教委として、どのように考えているのか伺う。

竹林学校教育局参事(生徒指導・学校安全) 体験的な交通安全教育の実施について。道教委としては、警察、自動車教習所等の関係機関の協力を得るなどして実技を伴う体験的な学習等を実施することは、児童生徒の交通安全意識を高める上で効果的であると考えている。

 特に、通学等で、自転車を利用する機会の多い中学生や高校生に対しては、道路交通法の改正に伴う道路交通の基礎知識と、危険性を認識することや、交通社会の一員として、主体的に行動できるよう実践的な態度を育成する取組など、体験的な交通安全教育を実施することが大切と考えている。

 こうしたことから、現在、各学校の取組状況をあらためて把握しており、これらの結果を踏まえ、今後の指導の改善に生かしていく。

加藤委員 自転車通学に関する安全確保について、道教委として、今後、どのように取り組むのか伺う。

菅原学校教育局指導担当局長 自転車通学に関する安全確保について。道教委としては、先ほど申し上げた各学校の取組状況の調査の結果を踏まえた指導のほか、「学校安全教室」や交通安全に関するモデル事業の実施をはじめ、本年度十四管内で実施する「学校安全推進会議」において、自転車事故の防止を含めた交通安全教育の充実に努めるとともに、道教委作成の安全教育実践事例等を活用した校内研修の実施や、警察や市町村の交通安全指導員等と連携した正しい交通規則やマナーを学ぶ体験的な交通安全教育の実施などについて、学校やPTA、市町村教委、関係機関等に対し、積極的に働きかけていく。

― 指 摘 ―

加藤委員 通学における児童生徒の安全確保に向けては、通学路の状況や自転車を利用した通学の実態を把握することが重要である。

 二学期が始まり、日に日に夕暮れ時間が早まり、通学中の児童生徒が交通事故に遭う危険性も増すことが懸念される。そういった実態を踏まえて、学校はもちろん、保護者の方々や地域団体とも連携していき、地域で子どもたちを守っていく安全な体制をとっていただきたい。

◆戸籍のない子どもについて

加藤委員 文部科学省が先日行った調査によると、戸籍のない小中学生は全国で百四十二人おり、そのうち七人に未就学期間があったことが判明した。無戸籍になる背景には、民法の規定で「離婚後三百日以内に生まれた子は、戸籍上は元の夫が父親」となるため、母親が出生届を出せないケースが多いとのことである。「無戸籍では学校に通えない」と保護者が誤解している場合や、ドメスティック・バイオレンス被害等の困難な家庭状況が無戸籍につながり、就学の妨げとなっている事例も相当数あると思われる。戸籍の有無にかかわらず、就学の機会を確保するため、行政が支援を進めていくことは極めて重要であると考える。

 そこで、本道の状況について何点か伺う。

 本道にも無戸籍の子どもがいるのか、実態について伺う。

 さらに、国の調査では、百四十二人の無戸籍の児童生徒のうち一人がこれまで一度も学校に行ったことがなく、残りの百四十一人のうち、未就学の経験のある子は六人であり、中には、中学の途中までの七年以上も学校に行かなかった例もあるとのことであるが、未就学の有無についても併せて伺う。

岩渕義務教育課教育環境支援担当課長 戸籍のない子どもの実態について。現在、義務教育を受けている無戸籍の子どもは、本道でも数人いることを把握している。

 また、子どもたちが居住している市町村の教委からは、いずれの子どもたちにも未就学の期間はなく、適切に通学しているとの報告を受けている。

加藤委員 本道にも無戸籍の子どもが数人いるとのことであるが、国の調査結果では、無戸籍の小中学生のうち、家庭の経済状況が厳しく就学援助を受けている子どもの割合は三五%にもなり、学習状況や生活上の課題も気になるが、子どもたちの状況について伺う。

岩渕義務教育課教育環境支援担当課長 子どもたちの状況について。無戸籍の子どもたちの中には、就学援助を受けている家庭の子どももおり、全国と同様、困難を抱えている状況が見受けられる。

 また、学習面で課題があるとの報告があった子どももいるが、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの支援を受けている子どもや困難な家庭状況によって児童相談所に相談するなど、特別な生活上の課題を抱えている子どもはいないことを確認している。

加藤委員 無戸籍が原因で、義務教育を受けられないまま成人する人も多いと聞いている。無戸籍の子どもが就学の機会を逸することのないような取組を徹底する必要があると考えるが、道教委は、戸籍がない子どもたちがいる状況に対して、どのように対応していくのか伺う。

杉本学校教育監 道教委の対応について。戸籍の有無にかかわらず、学齢期にある児童生徒の就学の機会を確保することは、憲法に定める教育を受ける権利を保障する観点から、極めて重要であると認識している。

 国では、今回の調査結果を踏まえて、無戸籍の学齢児童生徒の情報を把握した際は、直ちに当該児童生徒にかかる学齢簿を編製するとともに、実際に保護者と面談し、丁寧に就学の案内を行うなど就学の徹底や、きめ細かな支援について通知した。

 道教委としても、今後は、保健福祉部と連携しながら支援の一層の充実に努めるとともに、市町村教委に対し、国の通知の内容を周知徹底し、戸籍や福祉担当部局などとの連携のもと、無戸籍の子どもたちが義務教育を円滑に受けることができるように、引き続き指導・助言していく考えである。

― 指 摘 ―

加藤委員 ことし三月に超党派の国会議員でつくる「無戸籍問題を考える議員連盟」が発足した。道教委においても、このような動向を注視しながら、関係する機関とも十分連携して取り組んでいっていただきたいと思うし、まだ把握されていない子どもたちがいることも考えられるので、各部局との情報の共有と連携をしていただき、道教委として、できる限りの状況把握にも取り組んでいただくようお願いする。

◆土曜授業推進事業について

川澄委員 学校五日制が始まってからすでに十年以上、試行期間を入れれば二十年近く経過している。社会で子どもたちを育てていこう、その中で、自然体験や社会体験、地域や社会の皆さん、保護者を含めて、みんなで子どもたちを育てていこうという観点のもとで、学校五日制が始まった。

 ただ、法令等改正となり、土曜事業が各自治体の判断で行うことができるように変わってきた。こういった中で、国の事業として土曜授業推進事業に本道でも取り組んでいるが、その趣旨、内容について伺う。

岸義務教育課長 事業の趣旨等について。この事業は、質の高い土曜授業の実施に資するため、外部人材等の活用など、授業を土曜日に実施することの利点を生かした実践的な研究を行い、効果的な指導方法やモデルカリキュラムの開発などを行うとともに、その成果の普及を図ることを目的として実施するものであり、都道府県教委等が実践校を指定し、児童生徒の代休日を設けずに土曜日等を活用して正規の教育課程内の学校教育活動を行うものである。

川澄委員 前年度の土曜授業を実施した校数、校種別の内訳、授業内容はどのようになっているのか。本年度の実施状況についても併せて伺う。

岸義務教育課長 事業の実施状況について。道教委では、二十六年度は、小学校十一校、中学校五校、中等教育学校一校、高校三校の計二十校を「土曜授業実践校」として指定し、事業を進めた。

 実践校は、年十回程度、土曜日等に授業を行うこととしており、国語や算数・数学等の授業、外部講師を招いた道徳の授業、特別活動の中の学校行事として行われる体育大会や防災訓練、総合的な学習の時間における保護者や地域住民とともに行うボランティア活動などに取り組んだ。

 本年度については、小学校八校、中学校四校、中等教育学校一校が継続し、新たに、小学校四校、中学校三校が加わり、計二十校で事業を進めており、前年度の実践の成果と課題を踏まえて、授業内容等の一層の充実を図ることとしている。

川澄委員 これまで、月曜日から金曜日まで通常の日課の中で行われた授業等を合わせて、土曜授業を実施しているところがあると思う。

 例えば、教科指導を行う場合、学力向上を目的として通常、月曜日から金曜日に行われている日課に上乗せする、つまり、時数確保のために土曜事業を行っている実態はないのか伺う。

岸義務教育課長 教科指導の実施について。実践校の中には、平日の国語や算数・数学の学習を補うため、土曜日に補充的・発展的な学習を設定し、地域の協力を得ながら、一人ひとりに応じたきめ細かな指導を行っている学校や、総合的な学習の時間において、地域の人材を活用した探究的な活動、道徳の時間において、外部講師による講話を取り入れた学習などを行っている学校もあると承知している。

 本事業では、外部人材等の活用など、授業を土曜日等に実施することの利点を生かし、教科の学習を含めた多様な学習や体験活動などの学習機会を提供する実践的な研究を行っている。

― 意 見 ―

川澄委員 時数に上乗せする形ではなく、普段できない形で外部人材を活用する等の話があった。この土曜授業推進は、やはり地域や家庭の理解がなければ進められないものと考えている。

川澄委員 土曜授業を実施するに当たり、学校は、地域や保護者、子どもたちに対して、どのような説明を行ったのか、また、通常であれば土曜日が休みの中であるので、様々な行事等を予定している地域、また、少年団活動があると思う。保護者等から、土曜事業を実施するに当たって、どのような意見が挙がっていたのか伺う。

 特に、習い事等が土曜日にある児童生徒も多くいると考えているので、この点に対して、学校での説明等は、どのように行われていたのか、その認識について伺う。

岸義務教育課長 家庭や地域等への対応について。各実践校では、土曜授業の実施に当たり、少年団など、これまで地域で行ってきた活動との調整を行うことや、活動内容によっては、地域の方々の参画を得る体制を整える必要もあることから、事前に、保護者や地域の方々、児童生徒に、土曜授業の意義や内容、頻度などを十分説明しており、その際、保護者からは、規則正しい生活ができるのでぜひ行ってほしい、土曜日ならではの授業を実施してほしいなどの意見がある一方、一部の保護者からは、少年団や中体連等の活動と土曜授業ができるだけ重ならないよう、配慮してほしいなどの意見があった。

 各実践校では、こうした意見や地域の実情等を十分に踏まえ、土曜授業が地域行事や各種大会等と重ならないよう、少年団や中体連等の関係機関と連絡調整を図っていると承知している。

― 指 摘 ―

川澄委員 これまで土曜日が休業という形で進んできているので、なかなか調整がつかず、特に少年団であれば、複数校にまたがっている子どもたちもいる。こういった点を、学校は丁寧な説明を尽くしてきたというので、機会があるたびに、こういった点については、しっかりと地域や保護者、関係者等の理解を図るよう進めていただきたい。

川澄委員 土曜休業は、地域社会で子どもたちを育てていこうという理念のもとで進められている。十年以上、それぞれの自治体においては、受け皿事業として様々な取組をしている。今回の土曜授業推進事業と五日制の理念の整合性について、あらためて道教委の見解を伺う。

岸義務教育課長 土曜日を休業日とする趣旨等について。学校週五日制が導入された際の「学校、家庭、地域が連携し、役割分担しながら社会全体で子どもを育てる」という理念については、引き続き重要であり、道内においては、土曜日に多様な学習、文化やスポーツ、体験活動等の機会の充実等に努めていると承知している。

 しかしながら、土曜日に様々な経験を積み、自らを高めている子どもがいる一方で、必ずしも有意義に過ごせていない子どもも少なからずいることから、道教委では、これまで以上に、子どもたちに土曜日の豊かな教育環境を提供できるよう、質の高い土曜授業の実施に資する「土曜授業推進事業」に取り組んでいる。

― 指 摘 ―

川澄委員 今のほとんどの義務制の子どもたち、また、高校生についても、学校五日制が入ってからの子どもたちである。社会や家庭等が子どもたちを土曜日にどう過ごさせていくか、また、子どもたちが主体的に土曜日をどのように過ごすか、今後も、十分に学校や地域、家庭へ説明していくことが必要だと指摘しておく。

川澄委員 これまで土曜日は休みであったことから、土曜日に部活、少年団、日曜日は家庭で過ごすなど様々な形があろうかと思う。土曜事業を実施するに当たり、代休日が設定されていないことから、子どもたちの負担、疲労等についての調査が行われていると承知している。調査結果はどのようになっているのか伺う。

岸義務教育課長 子どもたちの負担等について。土曜日等に授業をする場合は、子どもたちの負担等も踏まえて、授業内容や実施回数等を考える必要があることから、実践校においては、児童生徒を対象にしたアンケート調査を実施している。

 二十六年度のアンケート調査では、「いろいろな体験をすることができた」と回答した割合は、小学生は四九・一%、中学生は四四・一%、一方、「休みがなくなり疲れる」と回答した割合は、小学生は四七・六%、中学生は五七・五%であり、こうした状況を踏まえ、子どもたちの負担等に配慮した土曜授業の効果的な指導方法やモデルカリキュラムの開発などを行っていく必要があると考えている。

― 指 摘 ―

川澄委員 土曜日の授業を負担に感じている児童生徒もいると思う。五日制の中で育っているので、子どもたちの意見も十分聞き入れた中で、土曜授業の在り方を検討していく必要があるのではないかと指摘しておく。

川澄委員 教職員が土曜授業によって週休日に勤務した場合の振替の制度はどうなっているのか。また、二十六年度の土曜授業推進事業実践指定校における教職員の振替の状況はどのようであったのか伺う。

岸義務教育課長 教職員の勤務の振替について。道人事委員会規則においては、教職員に土曜日などの週休日に勤務を命じた場合、原則として、当該勤務日の四週間前から八週間後までの期間に振り替えることとされているが、授業およびそれに付随する業務については、人事委員会の承認を得て、特例的に直近の長期休業期間中に振り替えることができることとされている。

 二十六年度の土曜授業推進事業実践校の小・中学校十六校の教職員二百六十人の勤務の振替については、課業期間中に振り替えた者が六人、夏季休業等の長期休業期間中が百七十七人、課業期間中および長期休業期間中の両方が七十七人であり、すべての教職員が振替を行っている。

― 意 見 ―

川澄委員 課業中に振替を取るのは、普段の授業もあることから難しい。ただ、振替については、しっかり取れているという点については確認できた。振替について、課業期間中には取りづらい状況もあると思うので、各学校でうまく授業の組み替え等をしながら、直近で休める形を取っていくことが大切ではないかと考えている。

川澄委員 法律の改正によって、各自治体の判断で、土曜授業を行うことができる。道教委においては、今後、土曜授業推進事業にかかわって、さらに対象校を拡大していく方向で考えているのか、見解を伺う。

梶浦学校教育局長 今後の方向について。道教委では、子どもたちが土曜日を有意義なものとして過ごすことができる豊かな環境を整えることは大切なことと考えており、学校で多様な学習や豊かな体験活動などの充実した学習機会を提供する方策の一つとして、土曜授業の効果的な指導方法やモデルカリキュラムの開発などを行い、ほかの市町村教委や学校の参考となるよう、その普及を図ることを目的に本事業を実施している。

 この目的の達成に向け、実践校の成果と課題をはじめ、道内の土曜授業の実施状況や、各市町村教委や関係機関等の意見などを踏まえて、年度ごとに事業の評価を行う中で、今後の事業の進め方について検討していく考えである。

― 意 見 ―

川澄委員 今後、土曜授業が学力に特化したものになってしまうのではないかと危ぐしている。指定を受けている学校においては、教科だけではなく、道徳や総合的な学習の時間で、普段できないような授業を展開していく、また、行事等を地域の方に公開する。そういった形で実施していると認識しているが、各自治体で独自で進めるとなると、中には、学力に特化した形で進めていこうという自治体が出てこないとは限らない。学校五日制の理念に基づいていくのであれば、学力向上のみに特化した土曜授業を行うのは、やや問題があるのではないかと思っている。

―再 質 問 ―

川澄委員 学力向上に特化した事業にならないように配慮する必要があるのではないかと考えているが、見解を伺う。

杉本学校教育監 今後の方向について。道教委では、学校週五日制の趣旨を踏まえ、子どもたちが土曜日を有意義なものとして過ごすことができる豊かな環境を整えることは大切なことと考えており、ただいま局長から申し上げたように、学校で多様な学習や豊かな体験活動などの充実した学習機会を提供する方策の一つとして、土曜授業の効果的な指導方法やモデルカリキュラムの開発などを行い、ほかの市町村教委や学校の参考となるよう、その普及を図ることを目的に本事業を実施している。

 今後も、こうした目的に基づき、外部人材等の活用など、授業を土曜日等に実施することの利点を生かし、教科の学習を含めた多様な学習や体験活動などの学習機会を提供する実践的な研究の充実に努めていく考えである。

― 指 摘 ―

川澄委員 学校五日制の理念に基づいて、趣旨を踏まえた上で土曜授業の推進を行うべきだと回答したと認識する。学校五日制が導入されたのは、これまでの学校教育の反省の上に立った上で、子どもたちの教育は、学校だけではなく、地域や社会、保護者、様々な方がかかわりながら、地域で育てていこう、そういった観点で進んできていると思う。学力向上は否定しないが、土曜日だからこそできる取組が多数あると思う。特に、社会教育で受け皿等が整備されていると思う。

 学力のみに特化した形でやってしまうと、せっかく地域で子どもたちを育てていこうとしているものが、また学校単独の形にならざるを得ないと危ぐしている。

 単純に学力向上を目指す取組では、本来の意味での土曜授業の在り方とはかけ離れてしまうので、自治体に対しては、道教委として、五日制の趣旨を踏まえた上で、子どもたちにとって、より良い形の土曜日の在り方を進めていくよう指導助言をしていく必要がある。

(道議会 2015-11-19付)

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