文科省・道教委主催図書館地区別(北日本)研修 司書としての力量を高め 道内・東北6県から100人参加(道・道教委 2015-12-02付)
図書館地区別(北日本)研修
二十七年度図書館地区別(北日本)研修が十一月二十四日から四日間、札幌市中央図書館で開かれた=写真=。道内および東北六県の図書館職員約百人が参加。行政説明、基調講演や講義、事例発表、グループワーク、施設の見学などを通して、図書館における中堅の司書として資質の向上を図った。
情報化の進展など図書館に関する最新のテーマや、地域における課題などについて研修を行い、図書館における中堅の司書としての力量を高めることを目的に、全国六ブロックで開催するもの。北日本ブロックは、前年度の福島県に続き、札幌で開催。文部科学省と道教委が主催し、道立図書館が主管。
初日の開講式では、道立図書館の林秀樹館長が開会あいさつ。ことし四月「学校図書館法の一部を改正する法律」が施行され、「地方公共団体にも、学校司書の配置についての努力義務が定められ、道内でも、学校図書館への関心が高まりつつあり、公立図書館などとの連携も一層重要になっている」「地方財政の悪化や行政改革の流れの中から、指定管理者制度や業務委託など、図書館運営に関して大きな変革期を迎えており、住民に必要とされる図書館の在り方を明らかにした上で、課題解決支援など、サービスの提供を求められている」などと指摘した。
今回の研修について、「図書館、学校図書館等を支える職員の一層の資質の向上を図り、それぞれが抱える問題の解決につながる貴重な機会になるものと確信している」と強調。「四日間の研修を実りあるものとして、それぞれの図書館運営やサービスの向上に役立てていただきたい」と呼びかけ、研修の成果に期待を込めた。
続いて、文科省生涯学習政策局社会教育課図書館振興係長の稲田幸昌氏が「図書館行政の動向」について行政説明。①図書館行政の方向性②各種改正(基準、計画)③データから見る図書館の現状④文科省における取組等―について、説明、解説した。
このあと、筑波大学名誉教授の薬袋秀樹氏が「これからの図書館を考える」をテーマに基調講演。「図書館の設置および運営上の望ましい基準」について、「課題解決支援サービスが必要(可能)であることを明確に示した」「図書館のサービス・運営の具体的な在り方を示した」「図書館経営の方法を示した」「高い目標基準例を示した」「必要な図書館予算を確保するのは住民」―の五点をポイントとして示し、その活用について話を進めた。
二日目は、岩手県紫波町図書館長の工藤巧氏が「課題解決を支援する図書館~紫波町図書館の新しい役割」をテーマに事例発表を行ったほか、講義三本を実施。そのうち、筑波大学教授の溝上智恵子氏は「超高齢社会の図書館サービス」と題して講義=写真=。四人に一人が六十五歳以上という超高齢化社会の日本。公立図書館における高齢者サービスとして、「学習拠点(生活情報獲得の場)」「生きがい創出の場」「居場所」―としての役割を提示。「誰でも利用できる」「一人でいても違和感がない」「利用に際して明確な利用目的を問われない」という特質をもつ公共施設として、そのメリットを生かした対応を求めた。
三日目には、講義、グループワークのほか、札幌市教委中央図書館利用サービス課都心図書館担当係長の淺野隆夫氏が「札幌市図書館の取組に学ぶ」をテーマに事例発表。札幌市電子図書館のサービスの事例を中心に、取組の経過や電子書籍の活用状況などについて説明した。また、事例発表を受け、札幌市中央図書館の館内を見学し、電子書籍端末などの実際にふれた。
最終日には、講義二本を実施。そのうち、道教育大学非常勤講師の大久保雅人氏は「学校図書館と公共図書館の連携」をテーマに講義。学校図書館法の一部改正について知識を深め、これからの学校図書館の使命と、今後、さらに求められる公立図書館との連携について考えた。
(道・道教委 2015-12-02付)
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