道研地域教育セミナー開催(教育の日協賛事業) ESDのマインドもって―西崎所長 教職志望学生に校長など提言(道・道教委 2015-12-02付)
道研地域教育セミナー
道立教育研究所は十一月二十八日、同所で二十七年度「北海道教育の日」協賛事業「道研地域教育セミナー」を開催した。教職志望の大学生百二十五人が参加。日常的にESD(持続可能な開発のための教育)を意識した活動に取り組む小学校長、団体、企業の代表によるシンポジウム=写真=では、これから教員を目指す大学生に必要な力として、「コミュニケーションスキル」「社会参画をする力」「自然に感謝し、命を大切にする力」などが挙がった。西崎毅所長は「ESDのマインドをもって、自分自身の生活や生き方を問い直し、子どもたちにも伝えていくことのできる教師を目指して」と呼びかけた。
同セミナーは、「将来の本道教育を担う教員を志望する大学生が、自己の目指す教員像と課題を明確化し、今後の学生生活を充実させ、教員としての資質向上への意識をもたせる契機とする」ことを目的に開催。
北翔大学、道教育大学、札幌大学、札幌学院大学、藤女子大学、酪農学園大学、道文教大学、道情報大学から教員志望の学生百二十五人が参加した。
プロローグでは、長浦紀華主査がねらいと内容を説明したあと、会場を四つのコーナーに分け、質問に対し参加者が立ち位置で回答するアイスブレーク「体でアンケート」と、参加型アクティビティ「世界がもし100人の村だったら」を実施。
アクティビティでは、世界には文字が読めない人がいることを知り、文字が読めないことによってどのような不便さがあるのか、世界全体の所得の配分がどのくらい不公平であるのか、それぞれ疑似体験した。続いて、動画「大人にも子どもにも知ってほしい~持続可能な地球の未来をつくる ESDってなに?」を視聴した。
このあと、「よりよい未来のために学校教育で大切にしたいこと」をテーマにパネルディスカッションを行った。パネリストは、江別市立野幌若葉小学校長の設楽正敏氏、ソーシャルベンチャーあんじょう家本舗代表の松田剛史氏、㈱トンデンファーム代表取締役の松山増男氏が務めた。
松山氏は「子どもたちに感動を与えてほしい。そのためには、子どもたちに接したときに皆さん自身が感動しないと駄目。熱くなることをみつけてほしい」、松田氏は「学生時代に、いろいろな体験をしたり、見識を広めたりするチャンスに出会っていないと、そういうことを子どもたちに提供できない。いろいろな体験、研修の場面をものにしてほしい」などと述べた。設楽氏は、前任地の石狩市立生振小学校の実践、カンボジアに寺子屋を建てる資金として、書き損じはがきを集める「世界寺子屋運動」を紹介。「六年生になった子どもたちが先輩たちがやってきたことに、自分たちで何か新しいことができないか、そういうことを考えて行動する。それがESDの取組だと思う」と述べた。
これから教員を目指す大学生に必要な力について、設楽氏は「コミュニケーションスキル」と「他人と協力して物事を解決していくスキル」を挙げ、「集団を構成したときに他者と協調、協働ができるスキルと、他者との合意形成がしっかりとできるスキルをもってほしい」と呼びかけた。
松田氏は「社会に参加することはできるが参画することは難しい。社会に参画する力が求められている」と指摘した。また、「自分と違う人やもの、文化、社会とどう理解し合えるか。異文化理解をしっかりとやっていくことが大事」と強調。松山氏は、「大地に生かされているということを忘れないでほしい」と訴え、「子どもたちには自然に感謝し、命を大切する力が大切」と伝えた。
このあと、四、五人のグループに分かれワークショップ。①協力の意味と仕方②異文化理解(多様性の尊重)③よりよいコミュニケーションをするために④環境問題⑤社会参画―をテーマに交流。各グループでシェアした内容を発表した。
最後に、西崎所長が講評。ESDについて、その意義、教育再生実行会議第七次提言や中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程企画特別部会の論点整理をもとに説明。最後に、「ESDのマインドをもって、自分自身の生活や生き方を問い直し、子どもたちにも伝えていくことのできる教師を目指して」と呼びかけた。
(道・道教委 2015-12-02付)
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