道社連・札幌市社連研究大会―札幌市幌西小3年2組の授業を公開 思い受け継ぐのは自分たち 市電を守る会の取組で意見(関係団体 2015-12-11付)
道社会科教育研究大会―公開授業
道社会科教育研究大会札幌大会・札幌地区社会科教育研究大会(十一月二十七日、札幌市立幌西小)では、幌西小三~六年の授業四本と中学校の地理、歴史、公民的分野の三授業を公開した。うち、幌西小三年二組では、伊藤健太郎教諭が単元名「かわってきた 人々のくらし~のこしたいもの つたえたいもの」の授業を展開=写真=。残されてきた札幌市の市電を受け継ぐのは、自分たちだという思いに気づかせた。
同単元は九時間扱いで、「つかむ」「調べる」「深める」「まとめる」の四段階で学習を展開。「つかむ」段階では、子どもが見通しをもって学習を進めるために、単元を貫く学習問題を設定。地域に残る古いものを調べようという活動から、市電に目を向けさせ約百年間走り続けているという事実を提示した。
「調べる」段階では、インタビュー活動を軸に学習を展開。市交通局や市電を守る会の中心人物であった細川昭一氏などに思いや願いを聞くことで、学習問題を解決していく手がかりを獲得させた。
「深める」段階では、市電が廃止の危機にひんしていたことを伝えることで、その歴史に目を向けさせた。市電が果たしてきた役割をグラフによって確かめ、読み取っていくことで、市電の未来について考えられるようにしていく。
「まとめる」段階で、市電への願いをポスターにまとめさせ、発信する活動を設定。〝社会参画の第一歩を養う〟との考えのもと、多くの利用客の目にふれる電停モニターに子どもたちのポスターを掲示する。
本時は七時間目で、「深める」段階。細川氏たちが市電を守ろうとしたのは、市電が地域住民の足であり心の支えであるとともに、「なくしたくない存在」であったことを理解し、「市電を守り続けてきた人たちの思いを受け継いでいくのは自分たちである」と気づくことをねらった。
伊藤教諭は「守る会」の取組について、①「乗ろう!」呼びかけ②朝・夕、一ヵ月の調査③二万三千人の署名集め―を提示。それぞれの内容を説明し、「細川さんたちは、どうして大変な思いをしてまで市電を守ろうとしたの」と問いかけた。
子どもたちは、「昔から乗っている人からみれば、唯一の乗り物で、とても大切にしてきた」「市電がなくなり地下鉄だけだと駅が遠い」「市電は地下鉄より駅がたくさんあって便利」「市電は懐かしく、生活に身近なもの」「市電はずっと前から走ってきたので、頑張ってきた市電をなくすことはできない」「地下鉄は地下だし、市電は外だから季節を感じることができる」などの意見が挙がった。
伊藤教諭は、子どもたちの意見を板書しながら、地域の人たちの“足”と“心の支え”の二つの視点で、子どもたちの考えを価値付けていった。
また、守る会の四つ目の取組について、「幌西地域の小学校、中学校の校長先生に、地域の人たちみんなで力を合わせて市電を守ったということを、子どもたちに話してとお願いした」ことを紹介。
子どもたちは、「今の子どもたちが大人になって、市電は大切だということを自分の子どもに伝えていけば市電は守れる」「市電が通っていることを誇りに思って、未来につなげてほしい」などと発表した。
伊藤教諭は「子どもに伝えると未来につながるの?その子どもって誰のこと?未来をつくるのはだれ?」と発問。子どもたちは、「僕たちのこと。今の子どもたち」などと答え、「細川さんたちの思いを守り受け継ぐのは自分たち。未来をつくるのは自分たち」であるとの思いを確認、共有した。
(関係団体 2015-12-11付)
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