学校の活動支援を拡充 図書館ない地域で読書体験 道立図書館運営計画を振り返る
(道・道教委 2015-12-15付)

pickup③石狩市立聚富小
POPづくり体験の一幕

 道立図書館は、「道民の生涯学習を支援する拠点の一つとして、図書館機能の充実に努め、広く道民へのサービスを展開を目指す」との運営の基本方針に基づき、「道立図書館事業推進計画」に掲げる施策目標の実現に向け、市町村支援、道民向けサービスなどに重点的に取り組んでいる。本年度、一人当たり五冊までとしていた直接貸出しの貸出し冊数を十冊に拡大したほか、学校図書館への協力貸出しを新たに開始した。二十七年度運営計画で目標値を掲げた事業を中心に、同館の活動状況を検証する。

 市町村支援では、協力貸出しで本年度、図書館間貸出しの対象に「学校図書館」を新たに加え、小・中学校、高校など、すべての学校図書館活動を支援し、子どもの読書を推進。十一月末現在で、三十二校が利用登録し、三百十七冊の貸出しを行った。修学旅行の事前学習のため、幌加内高校に関西・東京方面の旅行ガイドマップなど五十五冊、授業での調べ学習のため、岩見沢市立栗沢小学校にサケについての関連資料二十冊など、共和町西陵小学校に戦争についての物語二十五冊、お話会のため、八雲養護学校に絵本・大型絵本四十冊などを貸し出した。栗沢小では、同館から資料となる図書の貸出しを受け、授業もスムーズに進んだという。八雲養護からも「大型絵本による読み聞かせが大変好評だった」という声が寄せられている。

 今後、実施内容を広く周知し、三校程度をモデル校に指定し、事業展開を図る方針だ。

 道民向けサービスの分野では、来館型サービスの充実に向け、本年度から直接貸出しの貸出し冊数を“一人一回につき五冊以内から十冊以内”に拡大したことによって、直接貸出し冊数は増加。十一月末時点で、一般資料は十万七千九百八十六冊と、前年同期に比べ二三・二%増加。このうち、インターネット予約貸出しは、利用者が約百人、貸出冊数は百三十冊増えた。北方資料も四千二百八十五冊と、二五・九%増加した。

 また、本年度新たに導入した自動貸出し機の利用も増加傾向にあり、引き続き利用促進に努めていく。

 非来館型サービスの向上では、インターネット予約貸出しで、本年度受取窓口を道議会図書室に開設。職員を配置したことによって利用の掘り起こしにつながり、利用者が月平均十~二十人、貸出し冊数は十一月末で二百九十五冊にのぼる。近年実績がなかった協力貸出しも五百九十六冊と大幅に増加した。

 道議会図書室としての貸出し冊数も十月末で四百九十二冊となり、すでに前年度の実績(四百四十二冊)を超えた。同館は「当館の所蔵資料の利用と積極的なレファレンスによるもの」と分析している。

 子ども読書活動の推進の分野では、学校図書館運営相談事業は目標十五市町村に対し、「十一市町村で実施。今後、四町村で実施を予定」、学校ブックフェスティバル事業は目標十五市町村に対し、「十五市町村で実施。今後、五市町村で実施を予定」、学校図書館サポートブックス事業は目標二十八市町村に対し、「十九市町村で利用。今後も活用促進に努める」など、いずれも概ね順調に推移している。

学校司書や担当教職員の技能向上と学校図書館の活性化を目的に、学校図書館講座を学校の長期休業期間中に実施。七月三十日に開催した前期には定員二十人に対し、四十四人の参加があった。後期は来年一月五日に開催する。

道教委は本年度、図書館や書店のない地域の小・中学校を対象に、専門家によるPOP作りやビブリオバトルの体験教室を行う「読書活動充実事業(読書に親しむ体験事業)」(~二十九年度、道立図書館主管)をスタート。本年度は、別海町立上西春別小学校、石狩市立聚富小学校など八校で事業を展開し、本の内容を伝え合う手法を習得させるとともに、読書に対する興味・関心を高め、地域における読書活動の推進を目指す。事業を実施した学校から、「ほかの学年でも利用したい」「多くの学校で事業を展開してほしい」など好評を得ている。

 児童コーナーの整備として、各種の受賞作など約二百七十冊を収集。子ども向け利用講座として、冬休み期間中に、小学生を対象とした“図書館★スタンプラリー”を実施する。

 同館では、「事業等の検証をしっかり行い、課題を把握することによって事業運営の改善を図り、着実な成果につなげていきたい」としている。

(道・道教委 2015-12-15付)

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