27年度全国体力テスト結果―文科省 全国平均との差が縮小 授業以外の活動充実等で成果(道・道教委 2015-12-14付)
本道の子どもたちの体力・運動能力は、依然として全国平均を下回っているものの、前年度に比べ全国との差が縮まっていることが、文部科学省が十一日に公表した「二十七年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査」結果から明らかになった。実技では、小学校男女の「握力」「ソフトボール投げ」、中学校男子の「握力」で全国を上回り、小学校八種目中の男子六種目、女子七種目、中学校九種目中の男子七種目、女子八種目で全国との差が縮まった。道教委は、授業以外での体育活動の充実や新体力テストの実施の広がりが成果として表れているとみており、調査結果を踏まえ、「ほっかいどう〝学力・体力向上運動〟」を一層推進する考え。
同調査は、児童生徒の体力・運動能力向上にかかる施策の成果と課題を検証し、その改善を図ることなどを目的に、二十年度から実施。二十五年度からは悉皆調査として行っている。
小学校・特別支援学校小学部五年生、中学校・中等教育学校・特別支援学校中学部二年生を対象に、四~七月に実施した。
本道では、小学校一千八十八校に在籍する四万一千七百四十九人、中学校六百三十三校に在籍する四万二千九十八人が参加。
①握力②上体起こし③長座体前屈④反復横とび⑤二〇㍍シャトルラン(中学校は持久走との選択)⑥五〇㍍走⑦立ち幅とび⑧ソフトボール投げ(中学校はハンドボール投げ)―の実技調査のほか、質問紙調査(児童生徒、学校、教育委員会)を行った。
実技調査結果から、八種目の結果を点数化した体力合計点(八〇点満点)をみると、小学校が男子五二・六七点、女子五三・五六点、中学校が男子四〇・一〇点、女子四四・八三点。
小中・男女いずれも全国平均を下回っており、その差は、小学校の男子一・一三ポイント、女子一・六二ポイント、中学校の男子一・七九ポイント、女子四・二五ポイント。
しかし、前年度と比較すると、小学校で男子〇・二四ポイント、女子〇・三五ポイント、中学校で男子〇・二六ポイント、女子〇・二五ポイントとそれぞれ改善し、全国との差が縮まった。
種目別では、小学校男女の「握力」「ソフトボール投げ」、中学校男子の「握力」が全国平均を上回った。
小学校では、八種目中、男子が六種目、女子が七種目、また、中学校では、選択も含む九種目中、男子が七種目、女子が八種目で全国との差を縮めた。
児童生徒質問紙調査では、「運動やスポーツをすることが好き」と回答した児童生徒が、小学校の男子七六・七%、女子五九・三%、中学校の男子六九・四%、女子五一・九%で、いずれも全国を上回った。
一方、「運動部(部活動)やスポーツクラブに入っている(所属している)」「家の人から運動やスポーツを積極的に行うことを勧められることがよくある」と回答した児童生徒は、全国平均を下回った。しかし、前年度の本道の結果との比較では、部活動が小学校男女と中学校女子、家族からの勧めが小学校男子で伸びがみられた。
授業で、最初に授業の目標を示したり、最後に振り返る活動を行っていると回答した児童生徒は、小中・男女ともに全国を下回った。ただ、目標の提示は小学校女子と中学校男女、振り返りは中学校男女で、前年度よりも伸びた。
「体育授業以外における一週間の総運動時間が六十分未満」の児童生徒は、小中・男女すべてで全国平均よりも多かった。
学校質問紙調査をみると、「児童生徒の体力・運動能力の向上のための学校全体の目標を、学年としての目標と別に設定している学校」は、小学校六七・四%、中学校五九・四%で、全国を上回った。
「児童生徒の家庭に対して、子どもの体力向上にかかる説明・呼びかけ等を行っている学校」も、小学校九九・八%、中学校九九・一%と全国を上回っており、前年度との比較でも、小学校一三・六ポイント、中学校四〇・四ポイントと大きく伸びている。
また、「体育の授業以外で、体力・運動能力の向上にかかる取組を行っている学校」は、小学校九〇・七%、中学校七四・八%で、こちらも全国を上回った。
調査対象の学年以外での新体力テスト実施状況は、いずれも全国を下回るものの、小学校については、前年度よりも大きく伸びた。
道教委では、各学校における、体育授業以外での体力・運動能力向上を目指す取組の充実、新体力テスト実施の着実な広がりが成果を上げつつあるとみており、今後、詳細な分析を行い、その結果をもとに、「ほっかいどう〝学力・体力向上運動〟」に一層取り組んでいく考え。
◆道教委・柴田教育長コメント
二十七年度「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」結果における本道の状況は、依然として、各種目の得点を合計した体力合計点が小中・男女いずれも全国平均を下回っているが、前年度に比較して、体力合計点が小中・男女いずれも上昇し、種目別でも、多くの種目で全国との差が縮まっており、市町村教委や学校における、体力向上に向けた取組の成果が改善の傾向として着実に表れてきたものと受け止めている。
道教委では、本道の子どもたち一人ひとりに、生涯にわたって運動に親しむ資質や能力を育てるとともに、体力の向上を図るため、二十九年度までに「全国調査における本道の子どもたちの体力合計点が全国平均を上回ること」を目標としているところであり、今後は、来年二月を目途に管内別の状況や総合評価の割合など、本調査結果を分析し、明らかとなった課題を踏まえながら、体力向上に向けた取組をさらに推進し、学校・家庭・地域が一体となった「ほっかいどう〝学力・体力向上運動〟」を一層加速させていく。
教育関係者や保護者の方々はもとより、広く道民の皆さんの理解と支援をいただくよう、よろしくお願い申し上げる。
(道・道教委 2015-12-14付)
その他の記事( 道・道教委)
道教委が学校力向上推進協議会 事業成果と課題を共有 実践の発表や意見交換など
【旭川発】道教委は八日から二日間にわたって、旭川市立大有小学校(川島政吉校長)などで二十七年度学校力向上に関する総合実践事業推進協議会を開催した=写真=。上川、留萌、宗谷、オホーツク管内に...(2015-12-16) 全て読む
教育の政治的中立性を 道教委が道立学校長等に通知
道教委は、道立学校長や市町村教委教育長などに対し、「教育の政治的中立性の確保」を要請した。道立高校で、「政治的目的を有する」と考えられるクリアファイルが校内に置かれていたとの調査結果を受け...(2015-12-15) 全て読む
学校力向上シンポジウム開く 全教員の共通理解不可欠 学習・生活規範等で道教委指定3校
【旭川発】道教委「学校力向上に関する総合実践事業」指定校の旭川市立大有小学校(川島政吉校長)は七日、同校で「石狩花川小・函館八幡小・旭川大有小学校力向上シンポジウム」を開催した=写真=。「...(2015-12-15) 全て読む
学校の活動支援を拡充 図書館ない地域で読書体験 道立図書館運営計画を振り返る
道立図書館は、「道民の生涯学習を支援する拠点の一つとして、図書館機能の充実に努め、広く道民へのサービスを展開を目指す」との運営の基本方針に基づき、「道立図書館事業推進計画」に掲げる施策目標...(2015-12-15) 全て読む
クリアファイル問題、政治的中立性考える契機に 第24回道教育委員会会議
九日の第二十四回道教育委員会会議では、「校内におけるクリアファイルの配布等に関する調査」の結果が報告され、委員が意見交換した。 委員からの「選挙権年齢が十八歳に引き下げられ、若者の政治...(2015-12-14) 全て読む
Pick Up2015② 道教委・高校教育検討委が発足 真に魅力ある高校づくり期待 注目される小規模校の方向性
本年度当初時点で、道内百七十九市町村中、およそ三割に当たる五十市町村に公立高校がない。本年度末には、熊石高校が地域キャンパス校として初めて閉校する。“魅力ある教育の展開”を掲げる道教委の施...(2015-12-14) 全て読む
Pick Up2015①新教育委員会制度スタート 学校・家庭・地域連携が鍵 道総合教育大綱が示す振興の方向性
ことし四月一日、地方教育行政の組織および運営に関する法律(地教行法)の一部改正が施行された。道では、それを受け、知事部局に総合教育担当部署を設けるとともに、高橋はるみ知事が道教委の「新教育...(2015-12-11) 全て読む
学ぶ楽しさ、分かる喜びを 子どもの学力について考える会in十勝
【帯広発】十勝教育局と十勝管内教育委員会連絡協議会教育長部会(菅原裕一部会長)は十一月三十日、帯広市内のホテルグランテラス帯広で本年度「北海道の子どもたちの学力について考える会in十勝兼十...(2015-12-11) 全て読む
子どもの学力について考える会in十勝 確かな学びを9年間で 旭川美術館・菅沼館長が講演
【帯広発】「北海道の子どもたちの学力について考える会in十勝兼十勝管内教育委員会連絡協議会教育長部会〝教育講演会〟」(十一月三十日、ホテルグランテラス帯広)では、旭川美術館の菅沼肇館長が「...(2015-12-11) 全て読む
道教委28年度予算概算要求の基本方針 児童生徒への影響を考慮 効率的・機動的な執行体制へ
道教委は九日、二十八年度予算概算要求の基本方針を決定した。「北海道の未来を拓くグローバル人財」の育成のための事業や、直接児童生徒に影響のある事業、学校教育に直接的に必要となる事業に十分配慮...(2015-12-11) 全て読む