Pick Up2015①新教育委員会制度スタート 学校・家庭・地域連携が鍵 道総合教育大綱が示す振興の方向性
(道・道教委 2015-12-11付)

 ことし四月一日、地方教育行政の組織および運営に関する法律(地教行法)の一部改正が施行された。道では、それを受け、知事部局に総合教育担当部署を設けるとともに、高橋はるみ知事が道教委の「新教育長」に柴田達夫氏を任命。知事と教育委員会で構成する北海道総合教育会議を設け、教育施策の根本方針を示す北海道総合教育大綱を策定した。大綱で重点的な取組に挙げるコミュニティ・スクール(CS)の導入拡大をはじめ、本道教育の振興には、学校・家庭・地域の連携が鍵を握る。

 改正地教行法では、「教育の政治的中立性、継続性・安定性を確保しつつ、地方教育行政における責任の明確化、迅速な危機管理体制の構築、首長との連携の強化を図るとともに、地方に対する国の関与の見直しを図る」ことを趣旨に、教育行政の責任の明確化のため、教育委員長と教育長を統合した「新教育長」を首長が任命するとともに、首長と教育委員で構成する総合教育会議の設置、教育に関する大綱の策定などを行うこととなった。

 教育委員会制度の大きな変革に当たり、道内の各市町村教委がその在り方を模索する中、道の取組に注目が集まった。

 道の動きをみると、六月一日付で、道教委の「新教育長」に、前総合政策部長の柴田氏が就任した。

 同日付で、知事部局の総合政策部政策局に総合教育担当班を設置。総合教育会議の運営や大綱策定などの業務に当たることとなった。

 同月十七日、道は第一回北海道総合教育会議を開催。高橋知事は、開会あいさつで、「知事部局と教育委員会とがこれまで以上に連携して、様々な教育課題に取り組んでいきたい」との姿勢を示した。

 第一回会議では、知事、教育長、教育委員五人が北海道総合教育大綱の骨子案について意見を交わした。

 その後、第二回会議(八月二十六日)で示した素案について、一ヵ月間にわたり、道民から意見を募集。第三回会議(十月二十一日)では、これまでの会議での協議や議会議論、道民からの意見などを踏まえて作成した大綱案を了承し、十月に大綱を知事決定した。

 大綱では、「本道教育の基本方針」として、「すべての子どもたちに、社会で自立して生き生きと活躍できる力を培うとともに、互いを思いやり、支え合う、優しい心を育む」などの「本道教育の目指す姿」を示した。

 「各分野における取組方針」では、「社会で生きる力の育成」など五つの柱のもと、「幼児教育・保育活動の推進」など二十三の施策項目を掲げた。

 大綱の「重点的な取組」で取り上げているのがCSの設置拡大。学力向上や生活困窮世帯等の子どもたちへの教育支援のためには、「教育を学校に委ねるだけではなく、学校・家庭・地域の連携のもとで子どもたちを育てることが大切」と強調する。その具体的な推進方策として、「CSを全道に広めるなど、地域全体で子どもたちの学びを支援する取組を進める」ことを示す。

 道教委は、道教育推進計画において、道内小・中学校のCS指定率を、二十九年度までに一〇%とする目標を掲げている。しかし、二十六年度段階で、CSに指定されている小・中学校は二%にとどまっている。

 CSでは、保護者・地域住民が学校運営の一翼を担う。道PTA連合会の佐藤彰会長は「学校の単位PTAや地域住民にどこまでコンセンサスを得られているかが課題。導入が進まない要因の一つはそこでは。学校、PTA、地域住民がきちんと話し合う必要がある」と指摘する。

 「“今やらなければならない”という危機感をもっている。それを共有して取り組んでいくことで、学力・体力の向上などの課題についても、解決に向けた指針がみえてくるのでは」と提言する。

 CS導入促進のみならず、学校・家庭・地域の連携が、大綱で目指す本道教育の振興の鍵となる。

(道・道教委 2015-12-11付)

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