生きる力育む学校目指す 函館市小・中教頭会が合同研究大会 研究協議や提言通して研鑚(関係団体 2015-12-18付)
函館市小・中教頭会合同研究大会
【函館発】函館市小学校教頭会(紺野克典会長)、函館市中学校教頭会(長谷川秀雄会長)は四日、函館市南北海道教育センターで合同研究大会を開催した。両教頭会の会員七十三人が参加し、研究主題「生きる力をはぐくみ、豊かな学校をめざして」のもと、提言に基づいた研究協議や講演を通して、学校運営における教頭の関与の在り方について研鑚を深めた。
開会式で主管教頭会の紺野会長があいさつ。「日常の多忙さに追われることなく、常に子どもたちのあるべき姿をしっかり見つめることが大切」と述べるとともに、「先を見通した積極的な対応とリーダーシップの発揮が重要である」と強調した。その上で、「本研究大会では、一人ひとりが課題意識をもって参加してほしい」と期待を述べた。
提言研究協議では、函館市立あさひ小学校の奥崎初恵教頭が「豊かな人間性と創造性を育む信頼される学校づくりの推進~子どもの発達を支援する組織的な対応における教頭の関与の在り方」と題し、小学校教頭会の研究について発表した。
特別支援教育に視点を当て、三年計画で研究を進めており、一年次研究では、「組織的な対応」で教頭の関与のポイントを、①様々な場面で明確にし、方向性を示す。②協働のための分業と調整―と整理した。本年度は、それらを受け、「校内支援体制の構築」「子ども一人ひとりのニーズに確実に応える教師の力量向上」の二点について、全校が実践レポートを提出した。成果の上がった事例として、個別の指導ルームの新設や複数のコーディネーターの役割分担、特別な支援の必要な児童に視点を当てた授業研究などを発表した。
続いて、函館市立臼尻中学校の田上直広教頭が「豊かな人間性と想像力を育む学校教育の在り方~連続した確かな学びをつむぐ教頭関与の在り方」について、中学校教頭会の取組を提言。前年度は三年度次研究の一年次として、研究主題に迫るため、①組織マネジメント②異校種間連携(縦の接続)③中学校間連携(横の接続)―における教頭関与の三つの視点をもとに意識調査を実施し、実態を把握した。二年次目となる本年度は具体的な取組を整理・検討した。実践事例として、「小中学力向上推進ブロック会議」や「中学校再編にかかる準備委員会」などで組織マネジメントにおける教頭に関与について紹介した。
提言を受け、それぞれの発表に対して、積極的な意見交流がなされた。そのあと、函館市小学校長会研修部長の鳴海裕校長が講評し、発達障がいのある児童生徒の指導におけるユニバーサルデザインや学校マネジメントにおける教頭の関与などについて助言した。
講演会は、前函館市立東山小学校長の須藤由司氏(㈱北海道通信社函館支社参与)が「特別支援教育の今日の課題~特別支援教育と学校運営、教頭の役割」と題して話した。
はじめに、教育上特別な配慮や支援を要する児童生徒への校内での取組では、「推進体制の整備から指導支援の充実」が重要であると述べ、「個別の指導計画」などをもとに、「適切な指導と必要な支援」を丁寧に行うことを求めた。さらに、「個別の教育支援計画」や「カルテ・シート」などを整備することで、就学相談・指導と教育支援が一体化し、成果が期待されると述べた。
また、最近の特別支援教育の動向については、国の障がい者施策や国連の動きとも大きく関連していると述べ、関係法令や条約の資料をもとに説明した。校内の特別支援教育の推進にかかる教頭の関与に関しては、児童生徒の指導・支援や保護者対応、教職員の資質向上などの課題を挙げ、その解決策として外部機関との連携を説明した。
入学・入級、進学にかかわっては、児童生徒の実態や保護者のニーズ、さらには今後の方向性を学校として整理した上で、教育委員会の担当指導主事や特別支援教育巡回相談員との教育相談などとの連携を図っていくことが重要であるとした。
また、幼保と小、小と中の連携にもふれ、特別支援コーディネーターと教頭がしっかりと役割分担して対応していくことを強調した。医療機関や福祉・療育施設との連携に当たっては、児童生徒理解や保護者の思いを十分受け止めて対応していくことが大切であると述べた。
最後に、特別支援教育の取組にかかわらず、「思いや方向性を勇気をもって示す教頭」に期待を寄せた。
(関係団体 2015-12-18付)
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