室蘭市教委の（仮称）環境科学館・市立図書館合築基本計画素案　〝科学する力〟育成へ　体験型・参加型事業の展開想定

（市町村 2016-02-02付）

　【室蘭発】室蘭市教委は、仮称・環境科学館と市立図書館の合築について、基本計画素案をまとめた。施設は一階が図書館、二階が環境科学館で、延べ床面積は四千七百平方㍍。図書資料等の充実を図ることで市民の多様なニーズに対応するとともに、体験型・参加型の事業展開を通して、〝子どもの科学する力〟を育んでいく。三十二年度からの供用開始を目指す。

◆３２年度供用目指す

　市では、竣工から五十年以上が経過し、老朽化が著しい両施設について、かねてから合築を検討。合築することで、管理コストの低減や、連携した事業展開や相乗効果等の創出を目指す。

　本年度は、基本計画の策定を目指し、市民を対象としたワークショップや有識者などで構成する整備検討委員会を開催。これらの意見を踏まえた基本計画の素案を、一月二十五日に開かれた市議会総務文教常任委員会で示した。

　環境科学館の整備方針は、「体験型・参加型の環境学習施設」「科学の基礎原理・原則を学ぶ施設」―の二点。分かりやすく楽しい体験型の実験設備や展示、環境意識の向上や人材育成に資する事業展開など、地域の知的基盤やものづくりの歴史を生かしながら、未来の科学技術や低炭素社会実現に挑戦する、“子どもの科学する力”を育む施設とする。

　図書館の整備方針は、「地域の情報拠点となる施設」「すべての市民にとって利用しやすい施設」「支援拠点として役立つ施設」―の三点。多世代の様々なニーズに対応するため、図書資料の充実や閲覧ゾーン等の拡充を図るとともに、図書館の果たすべき役割を基本に据え、居心地の良い場所となる施設を目指す。

　施設規模は四千七百平方㍍。幅広い年齢層の活用が見込まれる図書館を一階、環境科学館は二階とする。

　図書館は一千八百平方㍍で、開架・閲覧スペースに従来の約二倍となる九百平方㍍を確保。子どもの目線に合わせた書架などを新たに設置する。市の歴史等を学ぶことができる郷土資料スペース、市民の寄付で収集された美術書等を収蔵する「ふくろう文庫スペース」を備える。

　新たに個人ブース三十席を確保する自習スペース、親子二十組程度が利用できる読み聞かせの部屋を設け、子どもが読み聞かせに集中できるよう窓や入口に工夫を凝らす。

　環境科学館は一千九百五十平方㍍。展示スペースは従来から約百平方㍍広い七百平方㍍で、子どもたちが展示に触れたり感じたりするなど、五感で科学を感じ、記憶に残る空間を目指す。また、体験スペースは約二倍の二百平方㍍のほか、実験スペース、百人程度収容可能なプラネタリウムを整備。バリアフリーにも配慮する。

　総事業費には三十二億円を試算。内訳は外構等を含む工事費が二十六億四千万円、設計・調査費が一億円、展示整備費が二億五千万円、プラネタリウム整備費が二億一千万円となっている。

　今後のスケジュールをみると、二十八年度は基本設計、二十九年度は実施設計を進める予定。着工は三十年度を見込んでおり、三十二年度からの供用開始を目指す。

(市町村 2016-02-02付)