自己指導能力育成目指し 道教育振興会と道退職校長会が教育会議(関係団体 2016-02-03付)
道内の教育関係機関・団体が一堂に会して開催
道教育振興会(紺野忠一郎会長)と道退職校長会(永峰貴会長)は一月二十九日、ホテルライフォート札幌で二十七年度北海道教育会議を開いた=写真=。「〝自己指導能力〟の育成を目指して~自分で考え、判断し、行動するために」を主題に協議。「子どもたち一人ひとりに〝自己指導能力〟の育成を目指し、家庭・学校・地域が連携して、子どもが自分で考え、判断し、行動するための取組を進めよう」と呼びかける推進指標を取りまとめた。
両会は、昭和五十九年度から教育に関する諸問題について協議する教育懇談会を共催。平成十四年度からは、道内の教育関係機関・団体が一堂に会し、「教育にかかわる喫緊の課題を論議し、その成果を今後に生かすよう最善の努力をする」ことを基本的な考え方とした道教育会議を開いている。
十四回目を数える本年度会議には、約百四十人が出席した。
冒頭、道教育振興会の紺野会長があいさつ。「子どもたちに、〝生きる力〟を育むために、〝自ら未来を切り拓き、生き抜く力〟を育成するために、直接、子どもの教育にかかわる者のみならず、全道民を挙げての対応・対策を再構築し、実践化する必要がある」と呼びかけた。
主題の趣旨説明のあと、西村正氏(元札幌市教委学校教育部長)が「子どもの自己存在感と大人のかかわり」と題して話題提供した。
西村氏は、学校生活や家庭生活における子どもたちの姿を紹介しながら、「私たちにとって、子どもたちは預かりもの。成人するまでの間、成長の手助けをしている。しかし、つい、子どもを追い立てたり、叱ることばかり多くなって、受容することを忘れてしまう。その結果、子どもを歪めたり、路頭に迷わせたりしていないか」などと問題提起した。
協議に入り、幼児教育関係者は、「幼児教育では、遊ぶことが学び。これは、アクティブ・ラーニングにつながると解釈している。重要なのは、それを見取る教師の力。教師の資質向上を目指さなければならない」「子どもに自己肯定感や主体性を育み、小・中学校につなげていく必要がある」などと述べた。
小・中学校教育関係者からは、「学校がやれることには限界がある。家庭をどう巻き込んでいくか、地域とどう連携するかを考えなければならない」「子どもの自己肯定感や自己有用感を育てることが大切」などの意見が出た。
高校教育関係者からは、「私たちが目指しているのは、子どもたちが自ら学ぶための場を提供すること。教師が教えすぎては、子どもが受け身になってしまう。ヒントを与え、もう少しで結論が出るところでやめて、自ら結論を出させている」などの声があった。
特別支援教育関係者は、「子どもの内的変化を教師がどう見取るか、気づくかが大切。それなくしては、内面の高まりは難しい」などと述べた。
教育行政関係者は、「自己指導能力は、子どもが自ら身に付けることが大切。そのためには、子どもが育つ環境を整備しなければならない」「家庭、学校、地域が連携しながら、それぞれの役割を果たすため、互いにバックアップしながら、取り組むことが大切」「自己指導能力の育成は、生徒指導の究極の目的であり、教育の中枢に位置するもの」などと発言した。
PTA関係者からは、「親子の考え方に温度差がある。まず、家庭で子どもとの会話をもち、子どもをバックアップしていくことが保護者の務め」との声があった。
そのほか、「子どもが失敗する場、失敗がつぎにつながるという温かい、寛容な受け皿づくりが必要」などの意見が出た。
会議では、これらの意見を踏まえ、推進指標を取りまとめた。
◆推進指標
子どもたち一人ひとりに「自己指導能力」の育成を目指し、家庭・学校・地域が連携して、子どもが自分で考え、判断し、行動するための取組を進めよう。
▼家庭では、子どもとのかかわりを深め、子どもの考えを尊重しよう
▽子どもに適切にアドバイスができる家庭環境をつくろう
▽子どもが自信をもって行動できる機会を設けよう
▼学校では、児童・生徒理解に努め、生徒指導の充実を図ろう
▽社会の一員としての自覚と責任をもち、主体的に判断できるような教育環境をつくろう
▽課題の発見や解決に向け、協働して学ぶ学習を充実させよう
▼地域では、安全・安心に心がけ、活動に子どもを参画させよう
▽子どもを温かく見守り、子どもが自主的に活動できる地域環境をつくろう
▽地域の人材を活用し、地域の活性化や教育力の向上を図る取組を進めよう
(関係団体 2016-02-03付)
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