道公立学校事務長会が収入事務処理(就学支援金等)にかかる状況調査 書類等回収時間、前年度から大幅増
(関係団体 2016-02-01付)

 道公立学校事務長会(永井進会長)は、二十七年度「収入事務処理(就学支援金等)にかかる状況調査」の結果をまとめた。高校等就学支援金制度の実施二年目に当たり、対象学年が増えたことによる書類等の回収に時間がかかるなどの影響が明らかとなったとともに、就学支援金と奨学給付金を混同する保護者がいたことなどの問題点を示した。

 従来の高校の授業料無償制度に代わる高校等就学支援金制度は、二十六年四月以降の入学者が対象。国公私立問わず、高校等に通う一定の収入額未満(市町村民税所得割額三十万四千二百円未満)の世帯の生徒に対して、授業料に充てるため、国が支給している。

 受給に当たっては毎年度、申請書とともに、市町村民税所得割額が確認できるもの(市町村民税税額決定通知、納税通知書、課税証明書等)を、学校を通じて提出する。

 就学支援金は、簡便・確実に授業料負担を軽減できるように、学校が生徒本人に代わって受け取り、授業料またはその一部と相殺する仕組み。初年度は「道公立高校生等奨学給付金」と名称が似ていて、分かりにくいという保護者の声もあった。

制度の実施二年目に当たり、道公立学校事務長会は、対象学年の増、申請書等の様式変更、各校での事務処理経験の蓄積状況を把握するため、アンケート調査を実施。本年度は、抽出調査とし、二十七年八~九月に七十一校へ依頼。六十九校から回答を得た。

 調査結果によると、高校一~二年生二万一千八百五十三人のうち、八七・一%に当たる一万九千三十一人が就学支援金を申請。この事務処理に要した延べ時間数を項目別にみると、「収入状況届・添付書類の回収」が一千七百八十七時間、「申請書等の回収」が一千七百六十七時間、「申請書等の内容確認、記載漏れ、添付書類、保護者への連絡」が一千四百六十三時間、「収入状況届等の書類内容の確認、保護者への連絡」が一千四百二十八時間の順で多かった。

 事務長会では、対象学年が倍増したことによって、「申請書等の回収、収入状況届・添付書類の回収に要する時間が前年度と比べて一・五~二倍に増えた」「書類回収に関しては、規模が小さい学校の方が影響が大きく、回収に当たる人手が少ないことが関係している可能性もある」とみている。

 本年度から就学支援金の様式が変更されたことについては、「認定申請書と収入状況届の様式が統一されて分かりやすくなった」「保護者が一人の場合の理由欄がチェック式となったことで、保護者への説明が容易になり、電話確認などの心理的負担と業務量も減った」と評価する声が挙がった。一方で、制度について、「就学支援金と奨学給付金の名称や提出書類が似て異なるため保護者が混同する」「ひとり親家庭や共働き家庭が多く、夜間にしか連絡が取れない保護者が多い」などの問題点も指摘された。

 学校における事務処理で工夫改善したことでは、「独自の文書とフローチャートを作成し、提出書類が分かるようにした」「封筒に提出期限を印字し、昨年より少しでも早めの提出を求めるとともに、確認にかかる時間を確保するようにした」「臨時事務生の協力も得て進めた」などがあった。

 奨学給付金の事務処理に関しては、「申請書等の回収」が一千二百十五時間、「申請書等の内容確認、記載漏れ、添付書類等保護者への連絡」が七百三十一時間、「保護者宛周知文書の作成」が四百九十八時間、「給付対象の世帯であるのに申請書未提出世帯への確認」が四百五十六時間の順で多かった。

 国への要望では、「奨学給付金と就学支援金の申請や認定書類を一本化してほしい」「就学支援金の添付書類だけで給付の可否が確認できるようにしてほしい」などの意見が出された。

(関係団体 2016-02-01付)

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