道高教組2016年度運動方針(関係団体 2016-03-09付)
道高教組第百十八回定期大会(五・六日、札幌市内かでる2・7)で決定した二〇一六年度運動方針の概要はつぎのとおり。
【運動の基調】
▼「教え子を再び戦場に送るな」「職場に自由を 教室に真実を」のスローガンのもと、憲法改悪を許さず、憲法を守り、生かすたたかいを進める
▽広範な国民的共同で「戦争法」を廃止する政治、憲法を守り生かす政治の実現を追求し、職場対話による「戦争法廃止、立憲主義を取り戻し、憲法を守り生かそう」の圧倒的世論をつくって、「戦争法の廃止を求める統一署名(二千万署名)」に総力を挙げて取り組む。
▽安倍「教育再生」による教育の政治支配を許さず、日本国憲法・子どもの権利条約の意義をさらに深くつかみ、子どもたちの学習権を保障するために、憲法に基づく学問の自由、教育の自由、良心の自由を尊重する教育施策を求めていく。
▼職場活動の活性化、組織拡大を目指す
▽教職員を分断し、「管理・統制」の教育を押しつける教育政策に対峙し、職場で「配る」「つながる」「声を挙げる」取組を進める。
▽「組織建設三ヵ年計画」の二年目を迎えることから、「計画」をすべての組合員で議論し、職場での具体化を推進する。
▽大変さを口にできる「温かい職場づくり」、誰もが安心して働ける「連帯と助け合いの職場づくり」を目指す。事務職員、現業職員などの少数職種における要求を掘り起こし、具体的な要求に基づいた学習、つながり、運動を重視する。
▽「学びたい」「成長したい」「つながりたい」など、青年教職員の願いに応える取組を重視する。これまで築いてきた組合運動、教育実践、子ども観などを次世代の組合員に継承し、互いの良さを生かした共同の取組を進める。組合員の多様な職場活動を通じた「つながり」を生かし、正面から組合加入を訴える取組を広げる。
▽道教組との共同した運動を発展させ、一層の連帯強化を図って教育合意を進めていく。
▼子どもの「今」から始める学校づくりを目指す
▽安倍「教育再生」による改悪教育基本法の具体化が、学校現場へどう表れているのかを明らかにし、子どもたちの成長・発達を保障する教育の合意を広げる取組を進める。
▽一人ひとりが大切にされる社会づくり、そのために、子どもの思いに寄り添い、人間として大切にする学校づくり、子どもたちの主体的な学びと自主活動を支える取組を進める。
▽政治的教養を育むべき政治教育は、すべての子どもたちに保障されなければならないことから、「主権者教育」を豊かに積み重ねていく実践に取り組む。
【憲法と子どもの権利条約が息づく学校づくり】
▼安倍「教育再生」を許さず、参加と共同の学校をつくる取組
▽日本国憲法、子どもの権利条約の意義・内容を子ども・職場・保護者・地域に積極的に広げ、教育制度・政策の転換を求める共同の運動を広げる。権利尊重や平和主義など、憲法や子どもの権利条約に基づく市民道徳を育む取組を重視するとともに、子どもたちが権利主体として育まれるよう、主権者教育を推進する。
▽「競争と格差づくり」の教育政策の転換を目指し、人格の完成を目指した教育課程と学力についての合意形成の取組を進める。「土曜授業押しつけ」「複線型学校制度」「授業時数・日数確保」などを許さない取組を進めるとともに、「高校基礎学力テスト(仮)」「大学入学希望者学力評価テスト(仮)」が、新たな競争と教育の変質をもたらさぬよう運動を進める。
▽すべての子どもの成長と発達を保障する教育の実現を目指し、「北海道高校生アンケート」「憲法アンケート」のまとめと分析を生かしながら、子どもの実態を重視して、一つ一つの学校・地域から、多様で多彩な参加と共同の学校づくり、教育課程づくりを推進する。『なるほどシリーズ』などの学習資料を広めて、職場・地域での学習と論議を深めるとともに、合同教育研究全道集会など、地域や民主団体と共同して教育にかかわる学習会やシンポジウムなどを開催し、子どもたちの成長・発達を保障する教育について合意を広げる取組を展開する。
▽地方教育行政への政治支配を許さないためにも、教育大綱の批判的検討を運動化するとともに、地方自治体・教育委員会への要請や懇談を通して、子ども、保護者、住民、教職員などの願いを反映した地方教育行政の確立を目指す取組を進める。
▽「道徳の教科化」「教科書検定・採択制度改悪」「教員への不当な介入」に反対し、子どもたちの思想・信条の自由、良心の自由などを守る取組を進めるとともに、高校生の政治活動の自由を保障する取組を進める。「日の丸・君が代」の押しつけを許さず、憲法一九条を立脚点に、子ども、教職員の内心の自由を守る取組を進める。
▽道教委による教職員への権利侵害と、自主的研修・教育活動への不当な管理統制を許さない組織的な取組を進める。また、教特法第二二条第二項の本来の趣旨を職場に浸透させ、研修権の積極的行使によって、教職員の自主的な研修権を守る取組を進める。
▼高校生・障害児学校生の学ぶ権利と進路を保障する取組
▽国の責任による三十五人以下学級の早期実現と、教職員定数改善計画の策定、給付制奨学金の創設や無償教育の前進を目指す運動を推進し、「みんなのえがお署名」と「ゆきとどいた教育を求める全国署名」に、総力を挙げて取り組む。
▽ゆきとどいた教育の実現を求め、道教組や民主団体などと共同して、地方自治体・議会・教育委員会への要請行動などの働きかけを進める。
▽道教委の高校「多様化」再編・統廃合を許さず、地域の高校・教育を守り育てる運動を、子ども・保護者・教職員・地域の人々と共同して進める。
▽北海道での高等養護学校・養護学校の増設や、特別支援教育にかかわる条件整備を求める取組を進めるとともに、一月に行われる「全国障害児学級・学校学習交流集会二〇一七」へ積極的に参加し、学習と交流を深める。
▽高校での「特別支援」教育の在り方について、子どもたちの学習権を保障する立場から、学習会等で議論を進めるとともに、高校への通級指導教室や障害児学級の設置について検討する。
▽貧困と格差を拡大し、労働者・国民に困難を押しつける新自由主義的「構造改革」を許さず、高校生・若者の就職を保障し、労働者の雇用と暮らしを守る取組を進める。また、『ディーセントワーク(労働者の権利手帳)』などを活用した労働教育実践を呼びかける。
【賃金・労働条件改善を求めて】
▽道公務共闘等に結集し、最低賃金の引き上げや非常勤労働者を含むすべての労働者の賃金改善、道独自削減の実損回復を求め、公務員賃金削減に反対し、命と生活を守る官民共同のたたかいを進める。
▽「学校職員人事評価制度」に反対し、教育条理を守る立場で道教委交渉を重ねる。また、職場では、制度の恣意的な活用を許さず、教職員の協力協働を壊さない視点に立った運用を求めて校長交渉・話し合いを行う。
▽すべての職場で、超勤解消を課題とした校長との交渉・話し合いをもつ。管理職の責任において、「過重労働による健康障害防止対策」の「勤務時間の適正把握」を行い、面接・業務改善につなげるよう、また、導入が予定されている「ストレスチェック制度」を職場改善につなげるよう申し入れる。
▽道教委に対し、部活動の負担軽減や校務支援システム担当者の負担軽減、割り振り変更業務の拡大、週休日の半日業務二回分を一日にするなど、超勤解消の具体的取組や、総括安全衛生委員会で各課横断の議論を行い、学校の衛生委員会を活性化させることを求める。
▽非常勤給食調理員の職務と労働実態から、正規雇用化を求める。超勤解消、残業手当の支払、給食の質の維持を求めてたたかう。
▽現業職員の雇用と身分を守るため、希望に沿わない人事異動、「職務換え」を強要させない取組を進める。全教現業職員部に結集し、学校現業職員の身分の法制化を求めるたたかいを進める。
▽希望者全員の再任用を保障させるとともに、寒冷地手当支給など、賃金改善に取り組む。そのために、教職員定数の改善、必要な定数外措置(大幅な定数増)を行い、再任用によって新採用抑制や期限付教員の雇い止めをしないよう、道教委に求める。
▽全労働者・国民の権利と暮らしを守るために、全労連・道労連に結集し、運動を進める。
▽障害者雇用に当たって、障害を理解するための研修を実施したり、本人の障害に起因する困難を軽減できる体制をつくるなど、本人の自助努力任せにならないよう、校長に求める。
【憲法改悪を許さず、国民の暮らしと平和を守る】
▼「戦争法」廃止、憲法改悪・「戦争する国づくり」を許さないたたかい
▼「貧困と格差」の拡大、消費税増税・泊原発再稼働に反対し、TPPから撤退へ
【組織強化・拡大の運動】
▼相互の「声かけ」と「つながり合い」、「集まる場」「語り場」づくりを大切にした支部・分会活動
▽多忙な中でも、組合員同士の日常的な「声かけ」「つながり合い」を大切にし、「分会会議」の定例化を目指す。「職場学習会」「レクリエーション」など、すべての教職員を対象とする多様な「集まる場」を追求する。
▽「職場要求アンケート」「職場新聞」「学校づくり学習資料『なるほどシリーズ』配布」を最大限に活用し、職場の声を束ね、「職場要求書」づくりを進める。校長との交渉・懇談を通して、職場要求の前進を図る。
▽民主的な学校運営、創意あふれる教育活動を進めるために、教職員間の日常的で率直な意見交換と、管理職との交渉・懇談を重視し、集団的な議論に基づく合意形成に努める。年度初めの「統一要求書」提出にすべての分会で取り組み、校長からの回答を引き出す。
▽支部の分代や学習会、支部ニュースの発行などを通した組合員間の情報共有と、取組に対する意思統一を重視し、支部の結束を強める。支部・分会活動におけるリーダー育成に努めるとともに、他支部との連帯などによって、支部活動の活性化を図る。
▼道高教組組織建設三ヵ年計画をもとに、高教組一割拡大実現の取組
▽「道高教組組織建設三ヵ年計画」の二年目を討議し、前年度末の組合員現勢の回復を早期に達成し、現勢一割拡大の実現を目指す。新採用・期限付教職員の総当たりに計画的に取り組み、全教職員を対象とする積極的な「加入の訴え」に取り組む。
▽十二月二十四~二十五日に沖縄で行われる「全教の未来をひらく大集会(仮称)」に多くの青年教職員の参加を目指す。そのための実行委員会を結成し、本部・支部・専門部役員による分会訪問に意識的に取り組む。
▽高教組共済会各種キャンペーンを活用し、全教共済総合共済五千人、自動車保険五千台加入運動と連動し、すべての支部・分会、専門部で新加入者を迎えることを目指す。
▼教職員としての力量・専門性を向上させる学習会・交流会の開催・参加促進
▽青年教職員と支部役員が連携し、「春の学習交流集会」を成功させる。新採用者・期限付採用者などの初参加者を増やし、新加入につなげるために、創意工夫を凝らした改善を図る。
▽新採用者・臨時教職員など、青年層の加入促進と活動の強化を図る。高教組共済会のキャンペーンを活用し、青年自身の「学びたい」「つながりたい」との要求に基づく、自主的な取組や運動の前進を目指す。
▽職場で旺盛に組合活動を進めるよう、『職場活動ハンドブック』を活用し、学習を進める。
(関係団体 2016-03-09付)
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