道小・道中が時間外勤務にかかわる実態と意見取りまとめ CS導入等の縮減効果期待 調査結果踏まえ道教委が対策検討(関係団体 2016-03-11付)
道小学校長会と道中学校長会は、それぞれ「時間外勤務にかかわる実態と意見」をまとめた。中では、人的配置の必要性を示しているほか、コミュニティ・スクール(CS)の導入、チーム学校の早期実現、部活動の社会教育への移行などが、時間外勤務の縮減につながることを想定。道教委では、「現場の実態を踏まえ、時間外勤務の縮減に向けて具体的対策を検討していきたい」と述べている。
時間外勤務の現状について、道教委の依頼のもと、初めて道小と道中がまとめた。
道小では、「休憩時間の確保がなく時間外勤務が日常化」「少年団の指導による時間外勤務」「定時退勤日・時間外勤務縮減週間の設定」「休日出勤による業務処理」「教職員定数・教育相談員等の増員」「校務支援システム」―の六つの視点でまとめた。
「休憩時間の確保がなく~」では、休憩時間に教材研究、採点業務、資料づくり、生徒指導、家庭への連絡・訪問などをしているほか、職員会議や研修のために確保できていない現状を指摘。公的な会議における変形労働時間の採用、調査物を最低限にすること、時間外手当の可能性についても意見を示した。
「少年団の指導による~」では、実践力のある教員ほど少年団や部活にかかわっており、夕方の少年団の指導後に業務に取りかかることから、長期休業中への振替や地域の指導者の活用を提案している。
「定時退勤日・時間外勤務縮減週間の設定」および「休日出勤による業務処理」については、「定時退勤日や時間外縮減週間を設定しても、業務量が減るわけではない」「個人情報の持ち出しが禁止されており、休日など別の日に仕事をしなければいけない」ことを報告している。
「教職員定数・教育相談員等の増員」では、小規模校における教務主任の負担増、特別な教育的支援を必要とする児童の増、保護者対応にふれ、特別支援教育にかかわる教員や支援員、専門家チーム、臨時職員など人的配置を提案している。
「校務支援システム」では、会議や業務の効率化につながるシステム設計への期待が示された。
◇
一方、道中では、「休憩時間の確保がなく時間外勤務が常態化」「部活動の指導による時間外勤務の常態化」「変形労働時間制の効果」「諸調査・各種報告等の時間外での対応」「学校力を高める人的措置」「学校への多様な要望に対する業務の増加」―の六つの視点からまとめた。
「休憩時間の確保がなく~」では、「学習指導要領の改訂で授業時数が週二十九時間になり、実質毎日六時間授業となったが、放課後の教育活動は欠かすことのできない内容が多く、しわ寄せが休憩時間にきている」とし、制度の抜本的見直しの必要性を指摘。コミュニティ・スクールの導入による学校運営のサポートが、時間外勤務の縮減になると想定している。
「部活動の指導による~」では、勤務時間外の放課後や週休日に部活動が行われている現状を示した上で、「部活動時間の縮減を一気に図ることは難しく、無駄のない合理的な練習方法の工夫・改善によって徐々に改善すべき」としたほか、部活動担当者の手当の充実、チーム学校の早期実現、部活動の社会教育への移行、大会運営に従事する取扱の見直しの可能性についても示した。
「変形労働時間制の効果」では、変形労働時間制の対象業務の拡大によって効果が出ているが、期間内に割り振りできない実態から、柔軟な活用の工夫に期待。
「諸調査・各種報告等の時間外での対応」について、行政から求められる調査・各種報告が年々増加しているため、余裕のある期日設定などを求めている。
「学校力を高める人的措置」では、一部の職員が日常的に時間外勤務を行っていることから、職員配置への配慮、スクールカウンセラーや教材づくりを支援する事務職員、部活動外部指導者などサポート人材を全校に配置するよう期待している。
「学校への多様な要望に対する業務の増加」においても、教職員定数の改善、社会のニーズに応じた学校システムの構築、チーム学校の実現の必要性を呼びかけている。
道教委では、調査結果を踏まえ、「時間外勤務の縮減に向けて具体的対策を検討していきたい」としている。
(関係団体 2016-03-11付)
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