道教委が通常学級における実践事例集作成 特別支援教育の視点生かし モデル校など34校の取組掲載
(道・道教委 2016-04-06付)

道教委実践事例集
特別支援教育の視点を生かした実践事例集(クリックすると拡大表示されます)

 道教委は、『通常の学級における特別支援教育の視点を生かした〝実践事例集〟~一人一人を大切にした学級づくりと、どの子にも分かりやすい授業の充実を目指して』=写真=を作成した。モデル校など三十四校の実践を、校種別に「実態」「背景」「指導や支援の工夫」「その時点の状況」の項目で紹介。言葉の指導や、歴史の学習の工夫などにおけるポイントをまとめている。

 文部科学省委託事業「発達障害理解推進拠点事業」の一環。道内すべての学校において、発達障がいのある子ども一人ひとりが大切にされるとともに、生き生きと力を発揮できる環境づくりをより一層推進するため、新たに実践事例集を作成した。

 事例集では、通常の学級における特別支援教育の視点を生かす考え方について、視覚的な支援やスケジュール提示、短く分かりやすい指示、好意に満ちた言葉がけ、温かい学級づくりなど「全体への配慮」が十分になると、個別の支援がなくても力を発揮できるようになることを説明している。

 次いで、函館聾、美唄養護、紋別養護ひまわり学園分校の支援を受けたモデル校八校のほか、協力校等二十六校の実践を紹介。通常の学級における特別支援教育の視点を生かした取組を、校種別に「実態」「背景」「指導や支援の工夫」「その時点の状況」の項目で提示した。

 幼稚園においては、視覚的な支援、言葉の指導など九事例を提示。言葉の指導の工夫における事例では、きつい言葉をかけてしまう子どもがいる実態に対して、「相手の状況や気持ちに気づかないこと、言葉の意味が分からずに使っている」ことが背景にあるとした。

 このため、「イガイガ言葉はごみ箱へ」「ふわふわ言葉の木」を掲示し、出てきた言葉を知らせ合うなどの実践を行ったことで、話す言葉を意識し、「イガイガ言葉」を注意し合うようになった実践を掲載している。

 小学校の実践は、「友達の長所を見つける」「思いやりのある学級づくり」「授業中の発言のルール」など二十七事例。「学級の約束の提示」では、四月当初に三つの約束を全員で確認し、教室の前方に掲示することで、トラブル発生時など子ども同士で約束を確かめ、仲良くできるようになったことを紹介している。

 中学校では、教室環境や歴史の学習の工夫など十一事例。個別の支援計画に基づき、保健体育の得意な生徒に模範演技をさせることで、みんなの理解が進むとともに、本人も自信をもって、ほかの学習活動に意欲的になったと示している。

 十事例からなる高校では、授業中における指示の工夫、全教科で統一した授業中の配慮などを示すことで生徒が集中するようになったことなどを報告。

 このほか、個別の教育支援計画を活用した引継ぎの例、保護者に特別支援教育について入学当初に説明した例なども紹介している。

 道教委では、二十六年度に作成した『校内研修プログラム』と合わせて校内研修や職員会議、打ち合わせの短い時間などで事例集を活用するよう期待。「各校では必要と思われるページを教職員全員に渡してほしい。一学期中の早い時期に管理職が説明するなど効果的に使って」と求めている。

 事例集は道内の公立学校・園に四部ずつ、市町村教委に三部ずつ、教育局に十部ずつ配布した。

(道・道教委 2016-04-06付)

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