根室局公立が学校長会議 根室管内28年度教育推進の重点 子の豊かな成長目指して 「確かな学力定着」など4項目設定 (道・道教委 2016-04-20付)
【根室発】根室教育局は十四日、根室市内道立北方四島交流センターで管内公立学校長会議を開催した。蓑島崇局長=写真=が、本年度の管内教育推進の重点=図参照=を説明。テーマを前年度と同様の「確かで豊かな成長を保障する根室教育の推進」とし、重点として「確かな学力を身に付ける」「健やかな体を育てる」「豊かな心を育てる」「望ましい生活習慣を確立する」の四つを示した。
管内教育推進重点の概要はつぎのとおり。
【はじめに】
各学校では前年度、管内教育推進の重点に基づき、学校経営の改善・充実を図り、創意工夫ある取組を進めていただくとともに、道教委の施策に理解・協力をいただき、あらためて感謝申し上げる。
教育局としては本年度も、こうした取組が一層充実するよう、国の教育改革の動向を注視しつつ、「北海道総合教育大綱」や「北海道教育推進計画」を踏まえ、効果的に事業を展開して成果の発信に努めるとともに、学力・体力の向上など管内の教育課題の解決に向け、校長のリーダーシップのもとで行われる学校改革を全力で支援したいと考えている。
それでは、本年度の管内教育推進の重点について説明する。
【テーマおよび重点について】
はじめに、本年度のテーマについて申し上げる。
テーマについては、中期的・長期的な視点に立って取組の成果を検証するため、少なくとも三年間の取組期間を設けたいと考え、前年度と同様に「確かで豊かな成長を保障する根室教育の推進」とした。
各学校においては、本テーマに基づき、一人ひとりの子どもの確かな成長に向け、学習指導要領で示されている子どもに身に付けさせるべき力を育む教育活動の充実に取り組んでいただきたいと考えている。
また、重点は、前年度同様に四本としているが、重点一については、知識・技能はもとより、思考力、判断力、表現力等を育成するとともに、学習意欲を高めることが重要であるとの観点から、「確かな学力を身に付ける」と変更した。
それでは、四つの重点について説明する。
【重点1 確かな学力を身に付ける】
まず、重点一の「確かな学力を身に付ける」について申し上げる。
前年度の管内における学力等の状況については、小・中学校では全国調査の結果から、全国との差が徐々に縮まるなど、改善の傾向がみられるものの、中学校数学Bで全国との差が大きく広がるなど、中学校数学科における思考力、判断力、表現力等の育成に課題がみられる。
また、高校においては、道教委の調査等から、基礎学力の定着に課題がみられる。
さらに、普段、一日当たり一時間以上勉強する子どもの割合が小・中学校ともに五割程度にとどまるなど、学習習慣の確立も課題であると認識している。
これからの子どもたちには、厳しい挑戦の時代を乗り越え、高い志や意欲をもつ自立した人間として、他者と協働しながら未来をつくり出し、課題を解決する力が求められている。各学校においては、自ら課題を発見し、解決に向けて主体的・協働的に学ぶ学習の充実など、授業改善を図る必要がある。
具体的には、「思考力、判断力、表現力等を育む言語活動の充実を図った授業の充実」「学年ごとの数値目標や取組のスケジュールを位置付けた学校改善プランの作成」など、七項目について確実に取り組んでいただきたい。
教育局としては、「“学校力向上に関する総合実践事業”“高校学力向上実践事業”などの指定校への支援および成果の普及」「指導主事による学校教育指導における、効果的な指導方法等に関する指導助言の充実」「学力向上推進研修会や中学校授業改善セミナーなど、授業改善に資する研修の改善・充実」などに努める。
【重点2 健やかな体を育てる】
つぎに、重点二の「健やかな体を育てる」について申し上げる。
体力は、生きる力の重要な要素としてあらゆる活動の源となるものであり、子どもに運動や外遊び、スポーツの楽しさを実感させ、運動に親しむ機会をつくるなど、運動習慣の定着を図り、体力・運動能力を向上させることが大切である。
各学校では、これまでも新体力テストの結果に基づく体力向上プランの改善・充実や、創意工夫を生かした「一校一実践」などに取り組んでいただいた。
しかしながら、管内の体力等の状況については、前年度の調査において、体力合計点が小・中学校とも全国平均を下回り、全国との差が広がったほか、柔軟性や持久力が低いこと、さらに肥満傾向が高いなどの課題も明らかになっている。
こうしたことを踏まえ、各学校においては、子どもの体力や運動能力等の状況を適切に把握するとともに、学校や地域の実態に応じた取組を一層充実する必要がある。
具体的には、「新体力テストの全学年・全種目の実施および、その結果に基づく数値目標の設定と検証サイクルに基づく点検・取組の強化」「新体力テストで課題がみられる種目に関する運動を積極的に取り入れるなど、体育授業の改善・充実」など、五項目について確実に取り組んでいただきたい。
教育局としては、「体力向上先導的総合実践事業や体力向上パートナーシップ形成事業など、体力向上にかかわる指定事業の成果の普及」「小学校体育実技講習会の開催や、体育専科教員活用事業の成果の普及など、体育の授業改善に資する研修の改善・充実」「親子で元気アップ・プログラムを活用した研修会の実施や効果的な運動を紹介する資料の作成・配布」など、体力向上の取組の啓発などに努める。
【重点3 豊かな心を育てる】
つぎに、重点三の「豊かな心を育てる」について申し上げる。
子どもたちをめぐっては、規範意識や社会性の低下、いじめや暴力行為等の問題行動の増加など、様々な課題が指摘されおり、子どもたちに思いやりの心や美しいものに感動する心などを育むとともに、自らの生き方を主体的に考えることができる力を育成することが重要である。
とりわけ、いじめについては「いじめの芽は、どの子どもにも生じ得る」という強い認識に立ち、いじめが起きない学校・学級経営を行うとともに、いじめの疑いがある場合には、スピード感をもって組織的に取り組むことが大切である。
各学校においては、これまでも、いじめ等の未然防止、早期発見・早期解消に向けた体制の整備をはじめ、子ども理解支援ツール「ほっと」やアンケート等を活用した積極的な教育相談の実施などに取り組んでいただいた。
こうした取組が行われているものの、昨年度の児童生徒質問紙調査の結果から、管内の中学校の状況として、「いじめはどんなことがあっても絶対に許されない」と回答した生徒の割合が七割程度にとどまるなど、課題がみられる。
こうした状況を踏まえ、各学校においては、道徳教育等の充実はもとより、子どもが主体となったいじめの根絶の取組を一層充実する必要がある。
具体的には、「市町における子ども会議の開催や学校における児童生徒会等が中心となったいじめの未然防止に関する取組の実施など、望ましい人間関係の形成について児童生徒が主体的に考える機会の設定」「若手教員などを対象とした生徒指導上の諸問題への対応をテーマとした実践的な研修の実施」など、五項目について確実に取り組んでいただきたい。
教育局としては、「望ましい人間関係の形成について児童生徒が主体的に考える、“どさんこ☆子ども根室地区会議”の改善・充実」「いじめ未然防止プログラム事業や中一ギャップ問題未然防止事業など生徒指導に関する指定事業の成果の普及」「道徳教育推進校事業の成果の普及や、道徳教育推進教師研修などの研修の改善・充実」などに努める。
【重点4 望ましい生活習慣を確立する】
最後に、重点四の「望ましい生活習慣を確立する」について申し上げる。
子どもたちの健やかな成長を促し、生きる力を育むためには、学校の教育活動の充実はもとより、家庭や地域の教育力を高め、子どもの学習やスポーツ活動を家庭や地域全体で支援することが大切である。
とりわけ、学校と地域との連携にかかわっては、人口減少・少子高齢化の進行によって地域コミュニティの存続が危ぶまれる中、その危機を克服し地方創生を成し遂げるとともに、地域と一体となって子どもたちを育む観点から、地域とともにある学校づくりの推進が強く求められている。
各学校においては、これまでも家庭学習の充実に向けた学習指導の改善をはじめ、家庭や地域と連携を図り、生活リズムチェックシートを活用した生活習慣の見直しなどに取り組んでいただいた。
しかしながら、各種調査結果から、管内の児童生徒の一日当たりの家庭学習時間が全道・全国と比べて短いことや、携帯電話、スマートフォン等の使用時間が長いなどの課題がみられる。
こうした状況を踏まえ、各学校においては、家庭・地域との連携を一層強め、子どもたちに望ましい生活習慣を確立する必要がある。
具体的には、「説明会への参加や先進校の視察、研修会の実施など、コミュニティ・スクールの導入検討」「早寝・早起き・朝ごはん運動+家庭学習に基づいた指導の徹底」など、五項目について確実に取り組んでいただきたい。
教育局としては、「コミュニティ・スクールの導入にかかる情報提供」「早寝・早起き・朝ごはん運動+家庭学習の一層の推進および成果の普及」「ノーゲームデーの一層の推進および成果の普及」「望ましいインターネット利用に向けた環境醸成事業等の成果の普及」「親子が一緒になって学力・体力向上に向けた取組について学ぶ機会の設定」などに努める。
【結びに】
以上、本年度の管内教育の推進に当たって、四つの重点について説明した。校長には、管内教育の一層の充実に向け、本年度の重点に基づき、家庭、地域、関係機関等と一体となった学校経営に、しっかりと取り組んでいただきたい。
教育者の福沢諭吉は、著書「学問のすすめ」の中で、「未だ試みずして、先ず疑うものは、勇者ではない」という言葉を残した。前例踏襲の慣例等にとらわれることなく、組織のトップリーダーとして、本気と覚悟をもって真正面から学校改革に取り組み、実効性のある取組を積極的に推進していただきたい。
教育局としては、次代を担う人材の育成に向け、市町教委や学校との連携を一層密にしながら、各種事業の実施等に総力を挙げて取り組む。
皆さんの協力を、引き続きお願いする。
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蓑島局長が説明
(道・道教委 2016-04-20付)
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