道教委・新しいサイエンスカー「夢ラボ わくわくじっけん号」公開 小学生が体験学習満喫(道・道教委 2016-05-23付)
最新機器を搭載し、科学に対する興味・関心を引き出す
どこでも最先端の科学技術を直接体感!!―。観察・実験を通して理科を学ぶ楽しさを知ってもらおうと、道内の学校を移動してまわる最新のサイエンスカーが十二日、江別市内の道立教育研究所で初めて公開された。江別市立文京台小学校の六年生二十一人が、普段目にすることのない実験を間近で観察し、楽しんだ。
道立教育研究所附属理科教育センターでは、へき地・小規模の小・中学校の子どもたちに自然科学に対する関心を高め、科学的な能力・態度を育成するため、昭和四十六年から、科学機器を搭載したサイエンスカーによる移動理科教室を実施している。
サイエンスカーは、初代「コメット号」、昭和五十四年に導入された二代目「コメット号」、平成十年からは「サイエンス・ラボ テラ21」の愛称で活躍。ことし三月まで、延べ一千七百八十校、四万九千二百三十九人の児童生徒を対象に、へき地校での移動理科教室を実施してきた。子どもたちからは、「理科が好きになった」「不思議に思うことが増えて、自分で調べてみたい」などの声が上がり、理科への興味・関心の高まりに貢献している。
サイエンスカーの活用は、今やへき地校での移動理科教室にとどまらず、特別支援学校や放課後子ども教室での移動理科教室、土曜授業推進事業、ブックフェスティバル、JICA研修、サイエンスカー理科教室などと活躍の場を広げてきた。
道教委では、現在の「テラ21」は導入から十八年が経過し、その車体や搭載機器の老朽化が進行していることから、昨年度、サイエンスカーの更新に着手。このほど完成し、披露の運びとなった。
道研では、過去三年間にサイエンスカーで訪問した学校を対象として、新しいサイエンスカーの愛称を公募。五十校、九百七十四人の児童生徒から八百十二点の作品が寄せられた。意味が容易に理解できること、発音しやすいこと、独創的で斬新かつ親しみやすいことなどを基準に選定。北見市立中央小六年の佐々木啓介君の「夢ラボ」と、湧別町立芭露小三年の佐々木雪乃さんの「わくわくじっけん号」を採用し、二作品を組み合わせた「夢ラボ わくわくじっけん号」に決めた。
◆3Dシアターなど最新機器を搭載
新しいサイエンスカーは、“どこでも最先端の科学技術を直接体感!!”をコンセプトに、学校の体育館などを会場として、一度に多様な実験などを効率よく実施できるよう、十四種類の搭載機器はすべて移動可能なユニット型仕様として設計。
また、これまでの大型バスの改造ではなく、十四㌧トラックを改造して製作。後部に昇降機を設置し、搭載機器の搬入を容易にするとともに、車いすでの利用も可能とした。
これまで搭載されていた超伝導実験装置や真空実験装置のほか、新たに、電子顕微鏡やオーロラ発生装置などの最新の機器が数多く搭載されている。
また、3D大型モニターとスクリーンを搭載しており、車内がシアタールームとプラネタリウムに変身。
さらに、四次元デジタル地球儀のダジック・アースで気象や電磁気について学習でき、音の振動を調べるクントの実験装置、放射線を観察する霧箱など、計十四種類の機器を搭載している。
十二日、道研で行われた公開式では、冒頭、道教委の柴田達夫教育長があいさつ。「多くの児童生徒の皆さんにこの新しいサイエンスカーにふれていただき、それをきっかけに、科学、理科が大好きな子どもになってほしい」と呼びかけた。
続いて、あいさつに立った道議会文教委員会の大崎誠子委員長は「このサイエンスカーが、北海道の子どもたちの科学の心を目覚めさせてくれることを期待する」と述べた。
引き続き、柴田教育長、大崎委員長、道研の秋山雅行所長、文京台小の児童二人がテープカットを行い、完成を祝った。
このあと、子どもたちは四班に分かれ、体育館での太陽電池と燃料電池で走るハイブリットカーの試乗、大講義室での3D防災シアターによる津波に関するビデオの視聴、サイエンスカー車内での液体窒素で冷やした超伝導体が磁石のレールに浮く様子や大型手回し発電機による発電、人工オーロラ発生実験などを体験、観察。理セン担当者の説明を聞きながら興味深そうに観察していた。
観察を終えた子どもたちからは、「こんな本格的なのは学校ではできないので、サイエンスカーで実験できてすごくよかった」「理科の勉強をもっと頑張りたいと思った」といった声が聞かれていた。
新しいサイエンスカーは本年度、小学校、中学校、特別支援学校、高校合わせ三十校を訪問する予定。道研では、移動理科教室に加え、夏、冬に実施している親と子の理科教室、中学生の科学実験教室、小学校の教員を対象に地方で開催する理科研修講座などでの活用を計画しており、子どもたちが自然環境に対する興味・関心を一層高めていくため、活用を拡大していく方針だ。
この記事の他の写真
ハイブリッドカーに試乗し、目を輝かせる児童
3Dシアターで津波に関するビデオを視聴し、防災意識を高めた
テープカットを行い、新サイエンスカーの完成を祝った
(道・道教委 2016-05-23付)
その他の記事( 道・道教委)
将来見据えた改革要請 道教委が高・特新任校長研
道教委は二十三・二十四日、札幌市内の道第二水産ビルで二十八年度公立高校および特別支援学校新任校長研修会を開いた=写真=。初日の開会式であいさつに立った高校教育課の河原範毅課長は「信頼される...(2016-05-26) 全て読む
28年度日高管内教育推進の重点 目的達成へ実践積み上げ 資質・能力の確実な育成目指し
【浦河発】日高教育局は四月中旬、浦河町総合文化会館で二十八年度管内公立小・中学校長会議を開催した。赤間幸人局長が本年度管内教育推進の重点を説明。「今と未来を生きる日高の子どもたちに届ける日...(2016-05-26) 全て読む
次期教育長計策定へ審議開始 地域全体で環境づくりを 第1回道教育推進会議開く
本年度から条例化された道教育推進会議の第一回会議が二十三日、札幌市内の道第二水産ビルで開かれた。道教委の柴田達夫教育長からの諮問を受け、次期道教育長期総合計画の策定についての検討を始めた。...(2016-05-25) 全て読む
建設業の魅力を知って! 小・中・高対象にPR講座 道建設部が開催呼びかけ
道建設部は、社会資本整備や除雪、災害時の対応など、地域の安全・安心を守る上で大きな役割を果たす建設業の魅力を知ってもらおうと、全道の小・中・高校に「建設業PR講座」の開催を呼びかけている。...(2016-05-25) 全て読む
地域医療支える人づくり事業―道教委 岩見沢東など9校指定(28~30年度) 第2学年でも医進類型設置可能に
道教委は、「地域医療を支える人づくりプロジェクト事業」の医進類型指定校(二十八~三十年度)に岩見沢東高校など九校、協力校(二十八年度)に札幌西高校など六校を指定した。医進類型指定校において...(2016-05-23) 全て読む
高・特校長会議の道教委所管事項説明(5) ストレスチェック実施へ 特定検診の受診など促進
◆成田教育職員局長 【給与課所管事項】 ▼学校職員人事評価結果の給与への活用 地方公務員法の改正に伴い、ことし四月一日から学校職員人事評価制度の運用が開始されたが、評価結果の給与への...(2016-05-20) 全て読む
高・特校長会議の道教委所管事項説明(4) 各種事業の積極的活用を 配置計画案は6月上旬提示
◆土井新しい高校づくり推進室長 ▼高校配置計画 本年度は、すでに決定済の二十九年度、三十年度の配置計画に、三十一年度の計画を加えた三年間の計画を策定するものであり、例年同様、六月上旬に...(2016-05-20) 全て読む
28年度巡回指導教員活用事業―道教委 12管内に24人を配置 本務校24校、兼務校39校で事業展開
道教委は、巡回指導教員活用事業の本年度巡回指導教員を決定した。豊富な経験と高い専門性、実践的な指導力をもつ巡回指導教員が、学力向上に積極的に取り組む複数の学校を巡回し、若手教員の指導力を高...(2016-05-20) 全て読む
親学セミナーが好評―今日的課題の解決へ空知局 幅広い学習機会を提供 前年度38回開催し1500人参加
【岩見沢発】空知教育局は、保護者や地域住民を対象に、学習習慣の定着に向けた「空知親学セミナー」を展開している。市町教委、PTAや学校等の要請のもと、幅広いテーマで講義やワークショップを設け...(2016-05-20) 全て読む
道立高校間連携の本年度実施校―道教委 斜里・小清水など4組8校 随時申請可能、活用呼びかけ
道教委は、道立高校間連携の本年度実施校四組八校を決めた。近隣の道立高校が連携し、相互に教員を派遣することによって教育活動を一層充実する事業。斜里高校と小清水高校の連携では、斜里から商業の教...(2016-05-19) 全て読む