1定道議会予算特別委の質問・答弁概要(28年3月18日)(道議会 2016-06-13付)
一定道議会予算特別委員会第二分科会(三月十八日開催)における須田靖子委員(民主党・道民連合)の質問、および柴田達夫教育長、杉本昭則学校教育監、梶浦仁学校教育局長、佐藤和彦特別支援教育担当局長、今村欣子総務課法制・行政管理担当課長、加賀学施設課長、岸小夜子義務教育課長、岩渕隆義務教育課教育環境支援担当課長、小原直哉特別支援教育課長、竹林亨学校教育局参事(生徒指導・学校安全)、相馬哲也新しい高校づくり推進室参事(改革推進)の答弁の概要はつぎのとおり(役職などはすべて当時)。
◆学力向上について
須田委員 OECD(経済協力開発機構)加盟国に実施される、子どもの知識・技能・問題解決力などを測る国際学力調査はPISAと称されている。二〇〇〇年から三年ごとに調査されているが、日本はどのような状況となっているのか伺う。
岸義務教育課長 PISA調査について。OECDでは、義務教育修了段階の十五歳の生徒が、それまでに身に付けてきた知識や技能を、実生活の様々な場面で直面する課題にどの程度活用できるかを測ることを目的として、PISA調査という国際的な学習到達度調査を二〇〇〇年から三年おきに実施している。
結果が公表されている最も新しい調査は、二〇一二年調査であり、OECD加盟国三十四ヵ国を含めた全六十五ヵ国が参加して、数学的リテラシー、読解力、科学的リテラシーの三分野で実施され、日本は、無作為に抽出された百九十一校の約六千四百人の高校一年生が調査に参加し、どの分野においても、前回実施された二〇〇九年調査よりも平均得点が高く、六十五ヵ国中、数学的リテラシーは七位、読解力は四位、科学的リテラシーは四位となっている。
須田委員 全国学力テストについては、一九六四年に終了している。そして、二〇〇七年に再開しているが、その理由はどのようになっているのか伺う。
岸義務教育課長 全国的な学力調査について。昭和三十六年から三十九年において、中学校で悉皆の調査が実施されて以来、平成十九年に四十三年ぶりに悉皆の調査が実施された背景には、十五年(二〇〇三年)に実施されたPISA調査において、わが国の児童生徒の学力や学習意欲の低下傾向がみられたことや、十七年の中央教育審議会において、義務教育における機会均等や全国的な水準の維持向上の観点から、義務教育の質を保障する仕組みを構築するために、「子どもたちの学習到達度・理解度についての全国的な学力調査を実施することが適当である」と答申されたことがあると認識している。
こうしたことを受けて、全国学力・学習状況調査は、学校教育の現状や課題を十分に把握する調査として、平成十九年度から実施されている。
須田委員 全国学力テストは、調査対象は公立の小学校六年生、中学校三年生、調査内容は、教科に関する調査では、国語、算数・数学、そして理科と定められている。その正答率を全国的に順位付けていると承知しているが、どのような理由で比較しているのか伺う。
岸義務教育課長 全国学力・学習状況調査の結果について。同調査は、義務教育の機会均等とその水準の維持向上のために、各教育委員会や学校が全国的な状況との関係において、児童生徒の学力や学習状況を把握し、教育指導の充実や学習状況の改善に役立てることなどを目的としており、文部科学省では、調査の目的を踏まえ、都道府県ごとの結果を公表している。
―再質問―
須田委員 全国的な状況との関係から学力の状況を把握するとの答弁だったが、学力テストでは道は最下位とか、最下位から脱却したとか、何かと注目されている。
その順位付けの方法だが、全道の学習状況調査の結果報告書をみると、市町村によって調査項目がまちまちで、統一していない様式で、どう優劣が付けられるのか大変疑問である。点数らしきものも見当たらないのだが、どのように順位付けしているのか伺う。
岸義務教育課長 全国学力・学習状況調査の結果について。先ほども申し上げたとおり、文科省では、調査の目的を踏まえ、都道府県ごとに、各教科の平均正答率などを公表している。
道教委では、本道の調査結果については、全国的な状況との関係において分析し、教育指導や学習状況の課題と改善策を明らかにしており、他県と比べた順位付けは行っていない。
須田委員 道は、これまで学力向上に向けた取組は、どう行ってきたのか伺う。
岸義務教育課長 学力向上の取組について。本道の子どもたちの学力向上のためには、授業改善とともに、望ましい生活習慣を確立することが重要であり、道教委では、これまで、チャレンジテストの実施、また、道内のすべての小・中学校で中心となって学力向上に取り組んでいる教員を対象にした研修会の実施、さらには、退職教員などや学生ボランティアを活用した学習サポートの実施など、市町村教委や学校の学力向上の取組を積極的に支援するほか、保護者などを対象にした「子どもたちの学力について考える会」の開催など、生活習慣の確立に向け取り組んできた。
須田委員 学力とは、数値で測ることができる、表れるものだけではないと考える。子どもには、計り知れない多岐にわたる資質が備わっていると考えるが、数値に表れない学力をどう見いだしていくのか伺う。
梶浦学校教育局長 子どもの学力について。学校教育においては、確かな学力や豊かな心、健やかな体などの生きる力の育成に向け、知・徳・体のバランスのとれた教育活動を展開することが大切であると考えている。
全国学力・学習状況調査では、教科に関する調査だけではなく、児童生徒に対する質問紙調査を実施し、「国語や算数・数学の勉強は好きか」という質問や、「ものごとを最後までやり遂げて、うれしかったことがあるか」という質問などを通して、学習に対する関心・意欲・態度や自尊意識などについても把握できるようになっており、各学校では、こうした調査結果を活用し、教育活動の改善につなげることが大切であると考えている。
須田委員 子どもの貧困対策ということで、学習支援として「子ども未来塾」を市町村で行っていると承知している。二十七年度は三十市町村で開設しているが、どのような基準で選択したのか伺う。
岩渕義務教育課教育環境支援担当課長 学習支援について。子ども未来塾は、学校支援地域本部の取組として、二十七年度から、学習が遅れがちな小・中学生などを対象に、大学生や退職教員などが放課後などにおける学習支援を行うものであり、道内三十市町村において実施している。
この子ども未来塾は、国の補助事業であり、実施要領に基づいて事業の実施希望を募ったところ、三十市町村が希望し、国へ申請したあと、希望したすべての市町村が決定された。
須田委員 国では、全国版「子ども未来塾」の地域未来塾を現在二千ヵ所開設から、二十八年度には三千ヵ所と目標を出している。これを受けて、道はどう全道展開していくのか伺う。
岩渕義務教育課教育環境支援担当課長 今後の方向性について。国においては、ICTの活用などによって学習支援を一層促進する考えのもと、子ども未来塾を、三十一年度までに、全国の五〇%に当たる五千の中学校区で開設することを目標としている。
道教委としては、現在、来年度の事業の申請などを取りまとめているが、今後とも、未来塾の実施市町村の取組状況を周知するなどして、より多くの市町村が学習支援に取り組むことができるよう働きかけていく考えである。
―指摘―
須田委員 やはり、子どもたちがそういった問題を理解して問題を解ける喜びは、大切なことと思う。こういった取組は、保健福祉でも行っているので、連携した取組、事業の拡大もこれから行っていっていただきたいと思う。
須田委員 先日視察した、秋田県大館市では、学力向上の取組として、ふるさとキャリア教育を挙げていた。各学校は、特徴のある取組をしていて、その結果が全国トップレベルの学力につながっていると説明があった。
視察した釈迦内小学校では、地元のひまわりの種を取り出して、子どもたちがオイルやお茶をつくり、販売し、次期の資金にしているという取組を、地域と一緒に行っている。児童、学校、地域の方々と活動をともにするということで、社会性も身に付く。この取組について、どうとらえているのか伺う。
岸義務教育課長 秋田県大館市の取組について。大館市では、各学校の実態に応じて、大館のもの・ひと・ことに直接ふれ、ふるさとへの愛着心を育てる教育を進めることとし、例えば、幼・保、小・中学校の子どもたちが、それぞれの発達の段階に応じ、地域の象徴であるひまわりの種まき、収穫、ひまわり油の製造、販売までを、企業や農家などと連携しながら行うなど、「ふるさとキャリア教育」を進めていると承知しており、こうした地域での様々な活動を通して、子どもたちが、将来の生き方や進路に夢や目標をもち、その実現に向けて意欲的に取り組むといった成果が期待できるものと考えている。
須田委員 ふるさとキャリア教育は、道も取り組んでいると思うが、学力向上にどうかかわっているのか伺う。
杉本学校教育監 小中高一貫ふるさとキャリア教育推進事業について。道教委が二十七年度から取り組んでいる小中高一貫ふるさとキャリア教育推進事業は、子どもたちが地域の良さや地域で生活を営むことの意義などについて理解を深め、地域の未来を担う人材として成長することを目指して、地域の特性や教育資源を生かしたキャリア教育を小・中・高が一貫した取組として地域の方々と連携して推進するものであって、こうした取組を通して、児童生徒の地域や社会に対する興味・関心を深めるとともに、将来、社会の中で自分の役割を果たしながら、自分らしい生き方を実現しようとする意欲を高めることにつながると考えている。
◆ICT教育について
須田委員 遠隔授業の状況と今後に向けてだが、今、人口減少問題ということで、地域はますます少子化社会へと進行していくことが想定される。離島や少人数学校などでは、ICTを活用した遠隔授業は期待されるものと考える。現状は、どのような状況にあるのか伺う。
相馬新しい高校づくり推進室参事(改革推進) 遠隔授業の状況について。道教委においては、二十五年度から四年間の予定で、文科省の指定を受け、郡部や離島にある小規模校の教育水準の維持・向上を図るため、小規模校五校に対して、七校の研究協力校から、遠隔システムによって授業を配信し、遠隔授業による単位認定の在り方などについて、研究開発に取り組んでいる。
こうした取組と並行して、地域キャンパス校とセンター校間で、出張授業を補完するための遠隔授業の拡大に取り組んでいる。
須田委員 遠隔授業では、教科として、認定されることとなったと聞く。認定の要件について、どのようなものがあるのか伺う。
相馬新しい高校づくり推進室参事(改革推進) 単位認定の要件について。国においては、本道の研究開発の成果なども踏まえ、二十七年四月に文科省令の改正を行い、遠隔授業の単位認定を可能としており、遠隔授業を実施するに当たっては、同時かつ双方向的に行われること、受信側の教室に当該高校の教員を配置すること、評価は、配信側の教員が、必要に応じて、受信側の教員の協力を得ながら行うこと、卒業に必要な七十四単位のうち、三十六単位以下とすることなど一定の要件が定められている。
須田委員 十一年の高校学習指導要領改訂によって、すべての高校で「情報」が必須科目になった。同時に、情報高校が設置可能となったが、今、情報の分野は広がって、これから情報教育は期待される分野であると考える。専門学校ではなくて、高度な専門性をもった情報高校の設置も考えられるが、見解を伺う。
相馬新しい高校づくり推進室参事(改革推進) 情報教育について。今日、情報技術が急速に進展する中で、生徒には、適切にICTを活用し、情報社会を安心・安全に生き抜くための能力や態度を育成することが求められている。
こうした状況を踏まえ、普通科高校などにおいては、教科「情報」において、情報に関する基礎的・基本的な知識と技能を習得させ、現代社会における情報の意義や役割などの理解を深めるとともに、工業や商業などの職業学科においては、「情報技術科」や「情報処理科」などの学科を設置し、コンピューターの原理やプログラムなど、専門的な知識や技能を身に付けることができる教育課程を編成し、専門的職業人として活躍できる人材の育成に努めている。
道教委としては、引き続き、各学校の学科構成などに応じた情報教育を推進し、基礎的・基本的な知識・技能はもとより、情報技術の進展に対応した教育内容の改善を図りながら、進路実現につながる高度な専門性を身に付けることのできる教育活動の充実に努めていく考えである。
須田委員 小中高生の携帯電話の利用状況について、学校への持ち込みは許可しているのか。また、有害な番組にアクセス不可能にするフィルタリングを、調査では半分も行っていないということだが、有害な番組にアクセスすることによって、不当な高い使用料の請求があったり、性被害に遭ったりするなどが後を絶たない現状があり、対応が急がれると思う。小・中学生が携帯やタブレット端末を使う場合、契約時には、窓口においてフィルタリングを義務化するなど、今、法改正が必要と考えるが、見解を伺う。
竹林学校教育局参事(生徒指導・学校安全) 携帯電話などの利用状況について。道教委では、二十一年二月、道立学校および市町村教委に対し、「学校における携帯電話の取扱いなどについて」を通知し、その中で、小・中学校においては、学校への持ち込みは原則禁止とすべきであること、高校においては、持ち込み禁止が望ましいが、認める場合は校内における取扱いなどのルールを定めることなどの基本的な考え方等を示している。
また、フィルタリングにかかわって、道教委では、道立高校に対して、生徒が、学校や家庭におけるスマートフォンなどの使用についてのルールを守ることや、フィルタリングの解除などを行わないよう指導するほか、道および道警と連携し、電気通信事業者に対して、新規契約者のフィルタリング設定の促進を強く要請してきている。
また、電気通信事業者にとどまらず、インターネットに接続が可能なスマートフォンやゲーム機などに対するフィルタリングサービスの提供義務の対象範囲の拡大などについて国に対して、引き続き要望していく。
―意見―
須田委員 国に対して引き続き強く要望していただきたい。
須田委員 空き教室については、放課後児童クラブや地域の必要性から活用されていると受け止めている。
また、道立高校においては、中学校卒業者の減少に伴う学級減によって空き教室が生じている。
こういった教室については、多目的教室や特別教室などに、学校として転用して使用しているということであるが、今後、このような空き教室を地域の方々が利用することができれば、地域の活性化や学校と地域の結びつきを深めることに有効ではないかと考える。
地域の方から直接要望もあったが、例えば、地域の絵画や工芸サークルといった活動などで希望があれば、空き教室の利用について、どう取り扱われるのか伺う。また、空き教室の活用について、道教委はどのように考えているのか伺う。
加賀施設課長 空き教室の利用などについて。学校施設の取得および管理、処分について規定している教育財産規則第一〇条では「学校の用途や目的を妨げない限度において、社会教育法に定める音楽、演劇、美術そのほかの芸術の発表会の開催およびその奨励などの利用に供するときなどに学校施設の利用を認めることができる」としている。
また、空き教室の活用については、文科省において、学びの場である学校を中心とした地域コミュニティーの拠点の形成を推進する観点から、その促進を図ることとしている。
道教委としては、教育活動や学校運営に支障がない範囲で空き教室を地域活動に利用していただくことは、地域の活性化につながるとともに、地域の方々との交流を通して、子どもたちの社会性が身に付くことも期待できることから、地域のニーズを十分踏まえながら、有効に活用されるよう、道立学校はもとより、市町村教委に周知していく。
―指摘―
須田委員 空き教室の地域への開放は、文科省も推進しているということなので、ぜひ、早く周知していただきたい。
◆特別支援学校スクールバス
須田委員 道内の特別支援学校においては、自主通学が極めて困難な児童生徒の通学手段を確保するためにスクールバスが導入された。
また、スクールバスに乗務するバス運転技術員および学校介護員については、学校職員として従事していたが、十三年ごろから現業職員の見直しが始まり、二十年度から道の技能労務職員であるバス運転技術員が、二十六年度からは、学校介護員が、順次職務替となってきていると承知している。
これらによって、スクールバスの民間委託化が実施されると承知している。また、運行契約にかかる入札においては、応札するバス事業者は例年少ないと聞いている。
そこで、スクールバス運行について以下数点伺う。
スクールバス運行契約は、一般競争入札によって行っていると承知しているが、入札結果が不落札のために、随意契約にならざるを得ない状況もあると聞いている。
そこで、道内の特別支援学校の過去三年間の入札状況について伺う。
小原特別支援教育課長 入札の状況について。特別支援学校のスクールバスの運行契約にかかる入札は、教育局において実施していて、不落札となった場合は、最低価格の入札者と協議を行い、随意契約を行っている。
過去三ヵ年で、不落札になり、随意契約を行ったのは、二十五年度は十四校中四校、二十六年度は十五校中五校、二十七年度は十五校中五校であり、三年続けて随意契約となっている学校はない状況である。
須田委員 二十七年度の入札の結果においては、五校で随意契約となっているが、そもそも不落札となる要因をどのように考えているのか。
また、入札するバス事業者が一者だけのことが多いことは承知しているが、どうして複数の事業者が入札に参加しないのか併せて伺う。
小原特別支援教育課長 不落札などの要因について。その要因については、一概には申し上げられないが、スクールバス運行契約の予定価格は、道運輸局の公示単価に基づき、運行距離と時間などから運賃を積算し、さらに、必要な介助添乗員の員数に応じた人件費を加え算定しており、こうして算定した予定価格に対して、地域によっては、バス事業者の入札の算定額が上回っている事例がみられる。
また、二十七年度の入札において、参加者が一者であったのは、十五校中十四校であったが、車イス昇降用リフトの設置や車イス乗車スペースの確保などの車両改造が必要であること、学校近隣にバス事業者の本社または営業所などがあり、緊急時の対応が可能であることなどを入札要件としていることから、参加資格を有する事業者が少ない状況であると認識している。
須田委員 二十八年度のスクールバス運行については、運行契約の事業者がまだ決まっていない学校もあると聞いているが、各学校の現在の入札の執行状況を伺う。
小原特別支援教育課長 二十八年度の入札執行状況について。スクールバスを運行している十五校のうち、すでに入札が終わり、契約した学校は一校で、十八日が入札日となっている学校が一校、残り十三校については、三月二十二日以降の入札を行うこととしている。
須田委員 現在、スクールバス運行の添乗介助業務については、学校介護員から民間委託の介助添乗員へと切り替えが進められており、二十七年、道教委では、スクールバス運行にかかる保護者などへのアンケート調査を実施したと聞いている。
このアンケート調査の目的、そして実施方法、結果に基づく改善はどのように取り組んできたのか伺う。
佐藤特別支援教育担当局長 アンケート調査について。道教委では、二十七年九月にスクールバスの運行の現状を把握し、安心・安全な業務実施に資することを目的として実態調査を実施した。
実施方法については、学校からは、バス車内での事故などの実態を把握するとともに、バス事業者に対しては「介助添乗員の任用や研修」、保護者に対しては「添乗介助業務に関する不安や要望」について、アンケートによる調査を行った。
アンケート結果では、添乗介助業務について、バス事業者からは、児童生徒の障がい特性の理解を一層深める研修機会が不足している、また、保護者からは、バス乗車時の保護者や教職員との情報の引き継ぎが不十分であるなどの回答が多く、今後とも、バス事業者による研修の充実などを通じて、介助添乗員のさらなる資質の向上が必要であると考えている。
―意見―
須田委員 ぜひ、アンケートの結果を取り入れていただきたいと思う。
須田委員 スクールバスには、肢体不自由者であったり、重度の障がいがあるなどの児童生徒が乗車している。これらの児童生徒に対する添乗介護業務を行うためには、障がいの特性を理解した上で、児童生徒に対応することが大切であり、そのためには研修などを通して専門性を身に付ける必要があると考える。
しかしながら、バス事業者が、雇用している介助添乗員がこのような専門性を身に付けるのは容易なことではなく、バス事業者の行う研修の実施に当たっては、バス事業者と学校の連携が重要であると考える。
そこで、バス事業者と学校がどのように連携して研修計画を立て、実施しているのか伺う。
小原特別支援教育課長 研修の実施などについて。教育局とバス事業者が締結するスクールバス運行契約に基づき、学校はバス事業者に対して、必要な協力や安全運行上の助言を行うこととしており、バス事業者は事前に学校と協議の上、研修計画書を作成し、介助添乗員に必要な知識や技能を身に付けるために研修を行い研修実施後には、教育局に対し実施報告書を提出することとしている。
須田委員 特別支援学校の児童生徒にとっての安心・安全なスクールバス運行の確保について、どのように考えているのか伺う。
杉本学校教育監 特別支援学校のスクールバスの運行について。道教委としては、児童生徒の安全を確保し、保護者が安心してスクールバスを利用できるよう、運行体制を整備する必要があると考えている。
このため、バス事業者が実施する介助添乗員に対する研修の充実、改善を支援するため、運行を行うに当たっての事前研修や児童生徒の障がい特性に応じた対応、さらには、教員との情報共有の進め方などを掲載した事例集を新たに作成し、配布するとともに、こうしたバス事業者による研修に加えて、二十八年度からは、新たに学校が実施する研修に介助添乗員を参加させるなど、バス事業者と学校が一層連携し安心・安全なスクールバスの運行に努める考えである。
―意見―
須田委員 ぜひとも安心・安全なスクールバス運行に努めていっていただきたい。
◆いじめ防止対策について
須田委員 いじめはあってはならないことと誰もが思うことである。しかし、つぎつぎと事象が現れ、自ら命を絶つという悲惨な現実が報告されている。
いじめを行う本人が、反対にいじめられる側に立つというような複雑な構図にもなっている。解決するには根気強い取組が必要であり、対策を追究していきたいと考える。
いじめ防止は、早期発見ということが早期解決に結びつくものと考える。できれば未然防止が最も解決の近道ではあると考える。いじめ防止に対する道のこれまでの取組を伺う。
竹林学校教育局参事(生徒指導・学校安全) いじめの防止について。道教委ではこれまで、市町村教委や学校に対し、学校教育全体を通じた道徳教育や心の教育の充実、定期的なアンケート調査や教育相談の実、「いじめを速やかに解消した事例集」の作成・配布など、いじめの未然防止、早期発見・早期対応の取組を進めてきている。
また、二十六年度から取り組んでいる研究指定校での実践をもとに、いじめが起こりにくい学校づくりに向けた具体的な取組を掲載した「いじめ未然防止モデルプログラム」を作成・配布し、各学校に活用を促すほか、二十七年度から、新たに、ICTを活用した「教育カウンセリング」や、児童生徒や保護者等からの相談を受け付け、問題の解決への支援につなげる「子ども相談支援センター」など、相談体制の充実を図るなどして、いじめの未然防止、早期発見・早期対応について支援を進めてきている。
―意見―
須田委員 「子ども相談支援センター」は、一千五百件の相談件数があり、その半数が児童生徒本人からとのことである。このセンターの存在を広く周知して、救済の道を開いていっていただきたい。
須田委員 法改正によって、いじめの重大事態が発覚した場合、知事、市町村へ報告が義務付けられている。「児童等の生命、心身または財産に重大な被害が生じた疑い」があるときにおいてだが、一五%が報告されていなかった。情報共有がいじめ防止に対する有効な解決策と考えられている。報告しないことで隠蔽され、いじめ自体が隠されている。事実を明らかにするということから、いじめ防止に解決の道を開くことができると考える。見解を伺う。
また、小学校、中学校、高校においては、いじめ発見のきっかけになるのはアンケート調査が一番に挙げられている。アンケート調査は重要な役割を果たしていると考える。今後も、いじめ発見に向けたアンケート調査の充実、継続が求められるが、見解を伺う。
竹林学校教育局参事(生徒指導・学校安全) いじめに関する情報共有について。「いじめ防止対策推進法」では、「学校は、在籍する児童生徒などがいじめを受けていると思われるときは、速やかに、当該児童生徒にかかるいじめの事実の有無の確認を行うための措置を講ずるとともに、その結果を学校の設置者に報告するものとする」と定められており、いじめが生じた際には、個人情報の取扱いに留意しつつ、校内に情報をとどめることなく、保護者などに対して、正確な情報提供を行うことが保護者や地域住民の信頼を確保することとなり、いじめの解決につながるものと考えている。
また、いじめの把握のためのアンケートについては、すべての校種において、いじめの発見のきっかけの半数以上がこの調査によるとの結果が出ており、道内のすべての小・中・高校および特別支援学校で、六月と十一月の年二回実施し、実態把握に生かしている。
道教委としては、今後も、いじめの早期発見・早期対応に向け、引き続き、アンケート調査に必要な工夫を加えながら、継続して実施していく考えである。
―意見―
須田委員 ぜひ、継続した取組を続けていただきたい。
須田委員 私は数年前、ノルウェーに海外視察に行った際、学校仲裁所制度を取り入れた小学校を訪問した。学校でいじめやトラブルが発生したときに、高学年の生徒が仲裁の役を取りもち、問題解決の道筋を見つけていた。手に負えない場合には教師の力を借り、解決に結び付けていた。子どもたちだけで話し合い、納得することを重要視している。このような子どもたちが主体的に行う活動を取り入れることも有効策と考えるが、見解を伺う。
竹林学校教育局参事(生徒指導・学校安全) 子どもたちの主体的な活動について。いじめの未然防止に向けては、児童生徒が自らいじめの問題について学び、主体的に考え、いじめの防止に取り組むことが重要と考えている。
こうしたことから、道教委では、二十三年度から、児童生徒が自らいじめの問題について考え、協議する場として、昨年十月に開催した「どさんこ☆子ども全道サミット」では、「いじめを防ぐためにできること」をテーマに協議を行い、いじめのない学校づくりを推進するための「全道サミット行動宣言」を取りまとめ、道内の各学校に向け、発信している。
また、道内の学校では、児童会や生徒会が中心となり、いじめ防止のキャンペーンを実施したり、生徒がほかの生徒の相談に応じて支援を行うピア・サポートの取組などが進められている。
道教委では、これらの取組の成果を報告書に取りまとめ、全道の学校に周知するとともに、今後とも、いじめの根絶に向けた児童生徒の主体的な活動が積極的に推進されるよう取り組んでいく。
―意見―
須田委員 ぜひ、この児童生徒の主体的な活動も広めていただきたい。
須田委員 総合教育会議が創設されたと聞くが、いじめ対策にどうかかわっていくのかを伺う。また、開催状況とどのような意見が出されてきたのか伺う。
今村総務課法制・行政管理担当課長 いじめ防止に関し、道総合教育会議の開催状況などについて。知事が主宰する総合教育会議は、学力・体力の向上、いじめの解消など、様々な教育課題の解決に向けて、知事と道教委が教育政策の方向性を共有し、一致して、教育行政を進めていくための仕組みである。
本年度は、六月十七日、八月二十六日、十月二十一日に開催され、会議では北海道総合教育大綱の策定に向けて、本道教育の目指す姿、基本的な考え方、重点的な取組などについて意見交換が行われ、いじめ問題などへの取組については、学校・家庭・地域行政そのほかすべての関係者が連携し、社会全体で進めるいじめ防止に向けた取組、子ども相談支援センターの設置など関係諸機関の連携による相談体制の充実などが教育大綱に盛り込まれた。
道教委では、この教育大綱のもと、各種施策に取り組んでいるところであり、複雑な人間関係や心の問題から起こるいじめ問題をはじめ、様々な課題について、保健福祉局などの行政を担う知事部局と総合教育会議などの場で協議するなど、引き続き、密接に連携して取り組んでいく。
須田委員 いじめを根絶するためには、多方面からあらゆる手法を用いて根気強く取り組む必要がある。小さないじめの芽を見逃さず、学校、家庭、地域と一丸となって見守ることは働きかけることが大切と考えるが、いじめ根絶に向けた教育長の決意を伺う。
柴田教育長 いじめの防止にかかる今後の取組について。「北海道いじめ防止基本方針」では、いじめの問題への対応にかかわって、学校および教職員は、「児童生徒のささいな変化・兆候であっても、いじめとの関連を常に考慮して、早い段階からかかわりをもち、いじめを看過したり軽視したりすることなく、いじめの認知に努める」こととしている。
このため、道教委では、これまでも、いじめなどの早期発見・早期対応のため、児童生徒や保護者などからの相談に対し、問題解決につながるよう支援を行う『子ども相談支援センター』を開設するほか、『いじめを速やかに解消した事例集』の作成・配布や、各管内で行われる生徒指導研究協議会における指導・助言などに取り組んできた。
今後、道教委としては、これらの取組の一層の充実を図るとともに、新学期に向けて、いじめ根絶に向けたメッセージを広く発信するなどして学校、家庭、地域、行政が一体となったいじめの根絶に向けた取組の一層の強化に努めていく。
―指摘―
須田委員 一連の教育課題について、質問してきたが、特に、いじめの問題については、知事、教育長ともに行政執行方針に載せていることから、しっかりと取り組んでいっていただきたい。
いじめの問題は、新しい問題ではなく、記録をみると四十年前から起きている。この間、教育現場では、反省や教訓を生かしてこなかった、そのまま現在に至っているということになる。二十五年に「いじめ防止対策推進法」が制定されたが、法律ができても、いじめがなくなるわけでない。問題解決できるわけではない。
背景には、学校、家庭、社会、そして各々の要因があり、複雑に絡み合っている。問題点を根気よく解決に向けてこれからも取り組み続けていただきたいと思う。
(道議会 2016-06-13付)
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一定道議会予算特別委員会(三月十八日開催)における池本柳次委員(北海道結志会)の質問、および柴田達夫教育長、成田祥介新しい高校づくり推進室長、馬橋功教職員課長、相馬哲也新しい高校づくり推進...(2016-06-16) 全て読む
道議会文教委員会(28年6月7日) 中・高の9割超が部活動休養日設定―児童生徒に向き合う時間の確保で質疑
七日の道議会文教委員会では、教員が児童生徒に向き合う時間の確保と部活動指導にかかわる質疑が行われた。 伊賀治康教職員課服務担当課長は、道教委が二十一年度に策定した「教育職員の時間外勤務...(2016-06-09) 全て読む
道議会文教委員会(28年6月7日) 中学生の6割加入、2~3時間で活動―公立中学校の運動部活動で質疑
道議会文教委員会が七日に開かれ、部活動の在り方について質疑が行われた。 川澄宗之介委員(民進党・道民連合)の質問を受け、道教委は部活動の実施状況などを説明した。 道教委が実施した二...(2016-06-09) 全て読む
1定道議会予算特別委の質問・答弁概要(28年3月18日)
一定道議会予算特別委員会(三月十八日開催)における阿知良寛美委員(公明党)の質問、および柴田達夫教育長、山本広海教育部長、秋山雅行総務政策局長、成田直彦生涯学習推進局長、堀本厚健康・体育課...(2016-06-07) 全て読む
1定道議会予算特別委の質問・答弁概要(28年3月18日)
一定道議会予算特別委員会(三月十八日開催)における藤沢澄雄委員(自民党・道民会議)の質問、および柴田達夫教育長、杉本昭則学校教育監、秋山雅行総務政策局長、梶浦仁学校教育局長、桜井康仁教育政...(2016-06-02) 全て読む
1定道議会予算特別委の質問・答弁概要(28年3月18日)
一定道議会予算特別委員会(三月十八日開催)における中野秀敏委員(自民党・道民会議)、白川祥二委員(北海道結志会)の質問、および柴田達夫教育長、梶浦仁学校教育局長、岸小夜子義務教育課長、小原...(2016-06-01) 全て読む