支え合える職場づくりを 道特別支援学校長会理事研で五十嵐会長あいさつ
(関係団体 2016-07-08付)

道特別支援学校長会理事研五十嵐会長
あいさつする五十嵐会長

 道特別支援学校長会の二十八年度第一回理事研究協議会(四日、道庁別館)における五十嵐利裕会長=写真=のあいさつ概要はつぎのとおり。

          ◇          ◇          ◇

 六月末から七月にかけ、各管内において道立学校臨時校長会議が開催された。飲酒運転の根絶に向けて、北海道が一丸となって取り組んでおり、教育公務員として正に先頭に立って範を示さなければならない。今月十三日は、条例制定後、初の「飲酒運転根絶の日」であり、各学校において、これまで以上に規範意識を高めたい。道特長会としても、各支部での周知をお願いする。

 先月十六日、道南地域で震度6弱という大変大きな地震があった。翌日午前中には、道南支部長の室岡弘明校長から、支部内の状況を取りまとめ、報告をいただいた。それを受けて、私からは、全特長の事務局に状況を伝えた。熊本に続いてということで、全特長でも心配していたが、特別支援学校関係では、大きな被害なしということで、ひとまず安心していただいた。ただ、群発地震も警戒されるということで、道南地域はもちろんだが、あらためて、すべての特別支援学校で災害に対する備えを十分に心がけたい。

 本年度、新たに四校の特別支援学校が開校した。六月四日に旭川高等支援学校、十一日に新得高等支援学校、十八日に札幌あいの里高等支援学校、そして、十九日に札幌伏見支援学校と、それぞれ在校生の活躍の場を設け、素晴らしい開校式が行われた。主催は道教委であるが、学校現場として、開校から間もない期間での式典の準備は大変だったと思う。一段落がつき、あらためてここから始まる教育活動の充実に期待する。

▼全国特別支援学校長研究大会

 全特長総会・研究大会が六月二十三・二十四日に国立オリンピック記念青少年総合センターで開催され、昨年度の活動報告および本年度の計画が了承された。

 全特長ビジョンでは、共生社会の実現および特別支援教育体制の充実を目指して十の提言を行ってきたが、新たに、「誰もがみんなで運動やスポーツを楽しむことができる共生社会の実現を目指して」を加え、十一の提言とした。

 これは、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックが「多様性と調和」をコンセプトの一つとし、東京大会はすべての人類がお互いの違いを肯定し、受け入れ、認め合うことで、平和を維持し、さらなる発展を遂げることができることに気づく大会、共生社会を育む大会とするという理念を受けたものである。このため、全特長では、オリンピック・パラリンピック特別委員会設置の準備を進め、名称を「みんなdeスポーツ推進委員会」として、活動を推進することが承認された。

 基本問題検討委員会では、昨年度の取組を基本的に継続し、特別支援教育をめぐる近年のキーワードとして、「学習指導要領の改訂」「障害者の権利に関する条約の発効」「インクルーシブ教育システムの構築」「特別支援学校における合理的配慮」の四点を挙げている。

 また、障害種別に共通する課題として、「小・中学校および高校学習指導要領にインクルーシブ教育システムの構築をどのように記入するか」「重複障がい教育の充実」「個別の指導計画や個別の教育支援計画の充実と効果的な活用をどのように進めるか」「特別支援教育における〝アクティブ・ラーニング〟をどのように位置付けるか」「特別支援教育における教科〝道徳〟をどのように位置付けるか」の五点を挙げている。

 道特長としても引き続き全特長と課題等を共有し、校長としての資質を高めたい。

▼特別支援教育にかかわる国の動向

 次期学習指導要領の改訂について、中央教育審議会から、夏ごろには「審議のまとめ」が、そして、年内に答申が出される。特別支援教育部会では、九回にわたる審議が行われ、特別支援学校と小・中・高校等との間で、教育課程が円滑に接続していけるようにしていくことが大きな課題と認識された。

 このため、連続性を図る観点から、特に、重複障がい者等の教育課程の取扱いについて学部・学年間の目標・内容のつながり、知的障がいのある児童生徒のための各教科について、小学校等の各教科の目標・内容との連続性が議論されている。

 具体的には、現行学習指導要領に示されている知的障がいのある児童生徒のための各教科の目標等について、各教科で育成すべき資質・能力や各教科の目標は小・中学校等の改訂に準じ、各教科の各段階の領域ごとに目標設定すること、特別支援学校(知的障がい)小学部における外国語活動を設定できることなど、幅広く検討されている。

 接続、連続性の観点から、小学校等の改訂の動向をしっかりと把握することによって、特別支援教育の動向を理解することが重要である。

▼特別支援教育にかかわる本道の動向

 次期「特別支援教育に関する基本方針」の策定に向けて、道教委では年度内に素案を作成する予定と聞いている。このことについては、道特長会として調査や夏季研究協議会でのシンポジウムなどを通して現行基本方針の検証・評価を行い、道教委に対する意見をまとめていきたいと考えている。

 全特長の取組ともかかわるが、障がい者スポーツを通した相互理解について、本道においても、文部科学省の委託を受けて、学校における交流および共同学習を通じた障がい者理解(心のバリアフリー)の推進に取り組んでいる。

 障がい者スポーツ交流会では、札幌視覚支援学校でブラインドサッカー、岩見沢高等養護学校で車いすカーリングが行われ、他の特別支援学校でも障がい者トップアスリートの講演や体験会などが行われている。ただ、広がりとしてはまだまだという感もあり、道特長会としても積極的に推進していきたい。

▼学校経営にかかわる課題

 道立学校職員人事評価制度の実施によって、各学校において期首面談が行われたことと思う。実際に行ってみて、本校もそうだが、大規模校においては、面談の設定にかなりの困難を伴う。道特長として実情を把握したいと思う。

 また、ストレスチェック制度の施行によって、これから、初めてのチェックが行われる。制度の趣旨を踏まえ、取扱いについては十分な注意が必要である。

 教職員の不祥事について、飲酒運転だけではなく、体罰、セクハラ、金銭事故など、学校の信頼を損なうことがないよう、法令順守に取り組まなければならない。

 特別支援学校においても、本年度、いくつかの事故が報告されている。状況を聞いて思うことは、失敗や心配を言葉に出して言える職場づくりの重要性である。教職員が「すべては子どもたちのために」、支え合える職場づくりを進めていきたい。

 校長の大幅な交代期となり、本道の特別支援教育の一層の充実・発展を目指すために、今後の道特長会の取組の一つ一つが大変重要である。

(関係団体 2016-07-08付)

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