残食率改善に向けた見直しの観点―道教委
(道・道教委 2016-07-26付)

 道教委は、市町村教委や各学校が学校給食の残食率改善に向けた取組を推進するため、「残食率の改善に向けた見直しの観点 適切な栄養管理と食に関する指導の充実に向けて」=二十日付1面既報=を取りまとめた。「適切な栄養管理」「食に関する指導」の二つの観点から、改善に向けたポイントなどを示している。概要はつぎのとおり。

Ⅰ 適切な栄養管理に向けた見直しの観点

 学校給食は、児童生徒に必要な栄養量や食事内容を考慮して提供されていることから、児童生徒が残さず食べることが大切であり、おいしくて魅力ある給食の提供のために様々な工夫をする必要がある。

 こうした考えのもと、学校および共同調理場(以下「学校等」という)において、適切な栄養管理を進めていくための重要な観点として、つぎの項目が挙げられる。

 なお、見直しに向けた取組を進めるに当たっては、以下に掲げる項目を参考として、それぞれの学校等で課題等を把握しながら、課題に応じた対応策等を検討し、できることから行うことが大切である。

▼適正な提供量―児童生徒の体格や生活活動などの実態を考慮した提供量となっているか

▼献立の工夫―児童生徒にとって魅力ある献立、生きた教材として活用できる献立となっているか

▼調理の工夫―おいしい給食となるよう調理作業を標準化し、適温の給食を提供しているか

▼残食量の把握―毎日、給食の残食量を把握しているか

▽適正な提供量について

〈学校給食の栄養管理に関する調査の結果から〉

・文部科学省告示「学校給食摂取基準」(以下「学校給食摂取基準」という)をそのまま運用と回答している学校の割合が高くなっている。また、そのまま運用している理由は、独自の基準を策定していないと回答した学校が八一%以上ある。

・「学校給食摂取基準」は、小学校は三区分で栄養量が示されているが、小学校で全学年同じ量で配食と回答した学校が一〇%以上ある。

(1)「学校給食摂取基準」の弾力的な適用

 学校給食の栄養内容は、文科省告示「学校給食実施基準」(二十五年一部改正)に「学校給食摂取基準」として示されている。

 「学校給食摂取基準」は、児童生徒一人一回当たりの全国的な平均値を示したものであり、年齢別平均的な体格および活動状況を前提としているため、それと大きく異なる児童生徒の集団の場合、不足や過剰を生じる可能性がある。

 このため、適用に当たっては、個々の児童生徒の健康状態および生活活動の実態ならびに地域の実情等に十分配慮し、弾力的に適用することが必要である。

〈改善に向けたポイント〉

 学校給食を実施する学校等の設置者は、対象児童生徒の推定エネルギー必要量から算出した各学年区分のエネルギー量等の基準を作成するとともに、学校給食の摂取状況の実態等を勘案し、それぞれの学校における学校給食の提供量が適正かどうかの見直しを行う必要がある。

(2)適正な配食量

 各学校等で「学校給食摂取基準」等を踏まえて作成された献立に基づき、調理された給食は、各学級等ごとに児童生徒に合った適正な量を配食することが大切である。

〈改善に向けたポイント〉

ア 主食について

 米飯、パン、麺類の量は、各学校等のエネルギー量(炭水化物によるエネルギーの比率五〇~七〇%)の基準に合わせ、各学年または小学校三区分(低学年・中学年・高学年)および中学校の各区分ごとに段階的に提供する。

イ 個数付け以外の副食(汁物、主菜、副菜等)について

①汁物、主菜、副菜等は、それぞれ全体量を計量し、各学年または小学校三区分(低学年・中学年・高学年)および中学校の各区分ごとの配食比率に基づき、算出した量を各学級の食缶に計量して配食するなど適正な量を提供する。

②提供頻度の高い料理は、学級ごとの配食表を作成しておくとよい。

▽献立の工夫

〈学校給食の栄養管理に関する調査の結果から〉

・白飯、汁物、副菜の残食率が高くなっている。

・白飯を主食とする献立の場合、煮物やいため物が主菜の時に白飯の残食率が高い傾向にある。

・献立名を加工食品の商品名としている場合、どのような料理か分かりにくいときがある。

(1)食事内容の充実

 献立の作成に当たっては、「学校給食摂取基準」を踏まえつつ、幅広く食品を使用し、多様な調理法を組み合わせた食事内容となるよう配慮する必要がある。

 学校給食は栄養バランスが整っているだけではなく、児童生徒にとって魅力あるおいしいものであることが大切である。

〈改善に向けたポイント〉

ア 各学校等は、文科省の示す「学校給食の標準食品構成表(児童生徒一人一回当たり)」を参考に、地域で提供している食品に配慮した食品構成表を作成し、これをもとに献立を作成する。

イ 特に、白飯を主食とした献立の場合は、副食の内容が児童生徒が嫌いな傾向の組み合わせにならないよう、学校等の残食調査等の結果をもとに、食品の組み合わせや調理方法等の改善、味付けのバランスに配慮した献立を作成する。

ウ 地域の実情や家庭における食生活の実態を把握し、みそ汁のだしの種類の検討や日本型食生活(白飯を主食として、汁物、主菜、副菜を組み合わせた食事)の実践、わが国の伝統的な食文化の継承について十分配慮した献立を作成する。

エ 栄養教諭同士で情報交換を行うなどして、献立内容の多様化に努める。

(2)生きた教材としての活用

 給食の時間をはじめ、各教科等での食に関する指導において、学校給食を活用した効果的な指導が行えるよう、教育的な配慮がなされた献立とすることが必要である。

 栄養教諭等は、献立に使用する食品や献立のねらいを明確にした献立計画を学級担任等に事前に示すなどして、学校給食が教材として活用されるよう配慮することが大切である。

〈改善に向けたポイント〉

ア 総合的な学習の時間等において、栽培した野菜を給食の食材として活用し、全員で味わうことによって、食べ物を大切にする心や感謝の心が培われ、食への関心を高めることができるようにするなど、各教科等の食に関する指導と意図的に関連させた献立となるよう配慮する。

イ 地場産物や郷土料理を積極的に取り入れ、児童生徒が郷土に関心を寄せる心を育むとともに、地域の食文化の継承につながるよう配慮する。

ウ 児童生徒が学校給食を通して、日常または将来の食事づくりにつなげることができるよう、献立名や食品名が明確な献立作成に努める。

エ 選択給食(バイキング給食、セレクト給食等)や予約給食(リザーブ給食等)など、自分に適した食事量や栄養バランスの良い食べ方を体験できるような場を設定するなどの工夫に努める。

(3)児童生徒、教職員、保護者等の意見の反映

 校長および共同調理場長は、教諭、栄養教諭、学校給食調理員、保護者代表等から構成される献立作成委員会を設置し、栄養教諭等が作成した献立の意図を十分に理解し、児童生徒、教職員、保護者等の意見が反映される体制を整えることが大切である。

〈改善に向けたポイント〉

ア 児童生徒のリクエスト献立、児童生徒が考えた料理や献立を取り入れるなど、児童生徒が主体的に学校給食にかかわることができるように努める。

イ 嗜好調査、残食調査、喫食状況等から、児童生徒の嗜好等の把握に努め、献立作成の参考にする。

ウ 保護者や地域の人を対象とした学校給食試食会を開催し、アンケート等で試食会の献立に関することや学校給食の意見、要望等を聞き、その内容を献立作成や調理に反映するようにする。

エ 市町村内の学校給食担当者会議を活用し、献立計画や実施した献立について意見を聞き、その内容を献立作成や調理に反映させる。

▽調理の工夫

〈学校給食の栄養管理に関する調査の結果から〉

・料理区分別の残食率では、主食、汁物、副菜の残食率が高くなっている。

・主菜では、チンジャオロースや八宝菜などのいため物、おでんやマーボー豆腐などの煮物の残食率が高くなっている。

・副菜では、ごま和えやおひたし、ドレッシングサラダなどの和え物、きんぴらや切り干し大根の煮物などの残食率が高くなっている。

(1)調理技術の向上

 調理に当たっては、日によって味にばらつきが生じないよう、調理場の施設・設備、調理機器の性能、調理時間などの諸条件を効率よく使って、調理の手順、調理操作、調理時間、温度などの「標準化」を図ることが大切である。

〈改善に向けたポイント〉

ア 調理の手順の標準化

①基本的には、少量調理の考え方と同じだが、大量調理の特徴である、加熱による蒸発率が低い、温度上昇の速度が緩やか、加熱終了後の余熱が大きい等の特徴を理解して、作業工程を作成する。

②食品の種類や調理法に応じて下ゆでを行ったり、下味を付けるなど、よりおいしい給食になるように工夫する。

イ 調理操作の標準化

①野菜の皮むきは、球根皮剥機にかけるもの、手剥きするものを決め、一回に球根皮剥機に投入する量と操作時間を標準化する。

②肉や魚等の下味の付け方は、それぞれの食品や大きさ等で、調味料の浸透時間が違うことから、作業工程表などの記録をもとに、下味付けを標準化する。

③野菜等の切裁は、調理人数、調理時間、食品の量に応じて機械切りするもの、手切りをするものを決め、切裁機器や包丁を常に切れる状態にしておく。

 また、切り方や大きさ、形などはでき上がりに大きな影響を与えるので、食品の性質や調理方法に適した切り方を選択し、料理に応じて厚さや大きさを標準化する。

④野菜等のゆで方は、食品の性質と調理目的によって、熱湯でゆでるものと水からゆでるものを決め、一度にゆでる量や時間を標準化する。

⑤だし汁のとり方で、汁物等の調味料の量やできあがりの食味が変わってくるので、だしの種類の選択やとり方を標準化する。

※詳細については、調理場における衛生管理&調理技術マニュアル(二十三年三月文科省)を参考にする。

ウ 調理時間の標準化

①配食時間に合わせて、調理に必要な時間を決め、加熱開始の時間やあえ始めの時間を標準化する。

②調理終了から給食までの時間が長時間になることにより生じる味等の変化を考慮し、加熱や調味を行う。

(2)提供時での適温の確保

 温かい料理は温かく、冷たい料理は冷たい状態で食べられるように調理や配食に要する時間を考慮し、調理の手順や開始時間を適切にして調理後二時間以内に喫食できるよう努めることが大切である。

〈改善に向けたポイント〉

ア 作業工程表は、できあがり時間から逆算してタイムスケジュールを設定することで、調理終了から喫食までの時間を短縮することができる。

イ 調理開始前に作業工程表等を用いて綿密な打ち合わせを行い、調理のシミュレーションや学校給食調理員の共通理解を図る。

ウ 保温・保冷性のある食缶や容器等を使用し、学級での配膳までの温度管理を行う。

▽残食量の把握

〈学校給食の栄養管理に関する調査の結果から〉

・学校給食の残食量は約八〇%の学校が毎日把握していると回答しているが、把握していないと回答している学校が約六%あった。

・学校給食に対する児童生徒の意識等について、約二四%の学校が把握していないと回答している。

 学校給食の残食量の把握は、児童生徒の栄養摂取状況や献立作成のねらいが達成されているかなどを確認する上で必要であり、毎日の取組として実施することが大切である。

 また、学校給食に対する児童生徒の意識調査等を実施するなど、児童生徒の実態を踏まえ、残食率の改善状況の目標を設定し、前述に掲げる取組等を通じて、改善に努めていくことが大切である。

〈改善に向けたポイント〉

ア 献立ごとに供給量と残食量を計量して算出した残食率、あるいは、残食量の重量等を給食日誌等に記録し、児童生徒への提供量、献立、調理、適温提供などについて検証を行う。

イ 定期的に児童生徒の学校給食の栄養摂取等の状況を評価し、食事内容の改善、充実に努める。

ウ 学校給食を残す理由を把握する等、学校給食に対する児童生徒の意識調査等を実施し、残食率の改善に向けた取組に反映させるなどの取組を進める。

Ⅱ 食に関する指導に向けた見直しの観点

 児童生徒が食に関する正しい知識や望ましい食習慣を身に付け、適切な栄養の摂取による健康の保持増進が図られるよう、給食の時間をはじめ、各教科等の時間において、学校給食を活用した食に関する指導の充実を図ることが大切である。

 適切な栄養管理のもと、学校給食を活用した食に関する指導の充実を図り、学校給食における残食を減らす取組を進めていくための重要な観点として、つぎの項目が挙げられる。

▼配膳時の工夫―児童生徒の体格や生活活動などの実態に合わせた量を配膳しているか

▼食べる時間の確保―児童生徒の食べる時間を十分に確保しているか

▼食に関する指導の充実―給食の時間をはじめ、各教科等の時間において、学校給食を活用した食に関する指導の充実が図られているか

▼食事環境の整備―楽しく会食するための環境づくりのための工夫をしているか

▽配膳時の工夫

〈学校給食の栄養管理に関する調査の結果から〉

・残食率を料理区分別にみると、主食、汁物、副菜の残食率が高くなっている。その要因としては、個数で配膳する料理に比べて、給食当番等が一人分の量を考えて盛り付ける料理の方が残食率が高い傾向がみられることから、盛り残しがそのまま残食となっていることが考えられる。

・主食、特に米飯(白飯)の残食率が高くなっている要因としては、主食の量が、児童生徒の体格や生活活動などの実態に合わせた量(個に応じた量)で配膳されていない学校が多いこと、また、食器の容量が配膳する量に合っていないため、盛り残しが多くなることが考えられる。

・汁物や副菜の残食率が高い要因としては、配膳時に使用する器具類が扱いづらいなど適切でないため、盛り残しが多くなることが考えられる。

(1)基本的な配膳の仕方

 教室に届ける給食については、児童生徒の体格等に合わせて、学級等の人数分等で調整された適正な量を提供することとし、個包装されたパンや麺以外の主食、個数で配膳される以外の副食は、欠席者の分を除き、盛り残しがないように配膳するよう指導することが必要である。

〈改善に向けたポイント〉

ア 一人分の目安量を学級担任等が配膳し、それを見ながら給食当番が配膳できるようにする。

※盛り付ける量が決まっている白飯等の主食は、盛り付け量を写真等で示しておく。

イ 盛り残しの量が多い場合は、学級担任等がグループを回って呼びかけをしたり、盛り付けたりするなどの工夫をする。

ウ 汁物の一人分を一回で盛り付けることができるお玉、副菜などを配膳しやすいトング、御飯茶碗の大きさなど、料理や配膳量に合った食器具を使用するなどの工夫をする。

(2)個に応じた配膳の実施

 同じ学年・学級においても児童生徒の性別や体格、活動量が異なっており、個々の児童生徒に必要な栄養素の量は同一ではないという考え方を踏まえて、「学校給食摂取基準」が策定されているので、個に応じた配膳を行うことが求められている。

〈改善に向けたポイント〉

ア 教室での配膳に当たっては、個人の推定エネルギー必要量によって児童生徒をグループ化し、主食の量を調整するなど工夫する。

イ 学級担任等は偏食や小食の児童生徒については、様子をみながら増量していくなどの配慮に努める。一方、特に低学年は、量を減らすことで嫌いなものを少しでも食べてみようとする意欲をもたせることができるため、学級担任等の状況判断のもと、量の調整を行うことも大切である。

▽食べる時間の確保

〈学校給食の栄養管理に関する調査の結果から〉

・残食率を校種別にみると、中学校(九・八%)よりも小学校(一〇・四%)、特別支援学校では中学部(四・七%)、高等部(三・六%)よりも小学部(一三・五%)の残食率が高くなっている。その要因としては、食べる速度に個人差はあるが、学年が低いほど時間を要するため、食べる時間が残食率に影響していることが考えられる。

・「学校給食で出されたものを残さず食べているか」や「なぜ残すのか」など学校給食に対する児童生徒の意識調査等について、約二四%の学校が把握していないと回答している。二十二年度の文科省の「児童生徒の食事状況等調査」では、児童生徒の残す理由として、「きらいなものがあるから」が最も多いが、次いで「量が多すぎるから」「給食の時間が短いから」となっており、食べる時間が残食率に影響していることが考えられる。

 給食指導は、準備、会食、後片付けなどの一連の実践活動を通して、毎日継続して行うことによって、児童生徒に正しい食事の取り方や望ましい食習慣を身に付けさせることができる。

 給食の時間の設定に当たっては、ゆとりをもって食事や指導ができるよう時間の確保に努める必要があり、学校給食に対する児童生徒の意識調査等で給食を残す理由が「給食時間が短いから」という回答がないよう、食べる時間を確保する工夫や配慮が必要である。

〈改善に向けたポイント〉

ア 学級担任、教科担任等は授業が給食の時間に食い込むことがないように努める。

イ 児童生徒が協力して運搬や配膳を行うなど、効率よく給食準備ができるように工夫する。

①給食の準備、食事、後片付けの時間の目安を決める。

②小学校低学年では給食当番の仕事や準備、後片付けが上手にできるよう指導する。また、高学年では一人ひとりが自主的に食事の準備や後片付けを行い、思いやりや責任をもって活動ができるよう指導する。

ウ 児童生徒がゆとりをもって会話を楽しみながら、食事を味わうことができるよう、テレビ放送を見ながら食事をさせたり、食事に集中できなくなる放送等を行ったりしないように配慮する。

▽食に関する指導の充実

〈学校給食の栄養管理に関する調査の結果から〉

・全道の残食率の平均は、小・中学校全体で一〇・三%、特別支援学校では六・七%となっているが、各学校の残食率は〇%から三〇%超までとばらつきがみられ、児童生徒に望ましい食習慣と実践力を身に付けさせる指導の充実が必要と考える。

・対象児童生徒の年齢・性別の身長データ、身体活動状況等から推定エネルギー必要量を算出し、エネルギー、たんぱく質、脂肪について独自の基準値を策定して運用している学校は、特別支援学校は約二三%となっているが、全体では一〇%に満たない状況である。個に応じた食事の量を提供することで、児童生徒が身体の発達や活動量に応じて食事をとる必要性について理解することにつながる。

・主食ではパンや麺類よりも米飯、特に白飯の残食率が高くなっており、小・中学校はいずれも一四%を超えている。二十二年度の文科省の「児童生徒の食事状況等調査」では、「ごはんとおかずをかわるがわる食べる」ことに気を付けている児童生徒が約六〇%となっており、ごはんとおかずを上手に食べられず、ごはんを残してしまう児童生徒が多くなってきていることが考えられる。

・小・中学校の汁物の残食率は一五・二%、副菜の残食率は一四・六%と主菜の八・四%より高く、主菜の中でも煮物やいため物の残食率が焼き物や揚げ物より高くなっている。また、単品料理では肉料理よりも魚料理の残食率が高いなど、児童生徒の嗜好に偏りがみられる。

(1)給食の時間における食に関する指導

 給食の時間における指導は、給食の準備、会食、後片付けなどの一連の指導を、実際の活動を通して繰り返し行う給食指導のほか、楽しく食事をすることや健康に良い食事の取り方、自然の恩恵などへの感謝、食料事情などを指導することによって、児童生徒に対し、食事の重要性や心身の健康について理解を深め、食べ物を大切にする心や感謝の気持ちを育むことなどを通じて、残食量の改善につなげていくよう、指導の充実に努めることが大切である。

 また、「食事」という体験を通して、教科等で得た知識を具体的に確認したり、深めたりすることができるよう、献立等の工夫を通して教科等と関連付けた指導を進める。

〈改善に向けたポイント〉

ア 望ましい栄養や食事の取り方の指導

①自分の体や活動量に合った一食分の必要量を理解させ、健康の保持増進のため、栄養バランスのとれた食事と併せて、適切な運動、休養および睡眠が必要であることを理解させる。

②栄養バランスをよくするためには、好き嫌いなく食べることが必要であることを理解させ、一口でも食べてみるように指導する。

③お昼の校内放送を実施する場合は、食事や食欲と関連する音楽や献立の紹介を行うなど、児童会活動等とも連携を図りながら工夫する。

イ 食べ物を大切にする心や感謝の気持ちを育む

①学校給食ができるまでの過程を知らせることを通して、食生活が生産者をはじめ多くの人々の苦労や努力に支えられていることを理解させ、感謝の気持ちをもつことや残さず食べようとする心を育てる。

②給食で使われている地域の産物や郷土料理、行事食などを通して、食料の生産はすべて自然の恩恵の上に成り立っていることを理解させ、食べ物を大切にする心を育てる。

③食べ物がなくて飢えている人がたくさんいる国があることなどに目を向けさせることを通して、食べ物を大切にする心を育てる。

④食事のあいさつは、食に関しての感謝の気持ちの表現であることを理解させ、心を込めてあいさつができるように指導する。

ウ 正しい食べ方を指導

①正しく食器を並べ、御飯とおかずを交互に食べることによって、どちらもおいしく食べられることや栄養をバランスよくとることができることを理解させ、好ましい食べ方が身に付くよう指導する。

②食事のときに汚い話や気持ちが悪くなる話は避けるなど、マナーを考え、会話を楽しみながら気持ちよく会食するように指導する。

エ 学級担任等の役割

①給食の準備から後片付けまでの一連の指導の中で、配膳方法、食器の並べ方、はしの使い方、食事のマナーなど、繰り返し指導を行うことにより望ましい食事の取り方を習得させる。

②積極的に児童生徒の食事のグループに入り、一緒に楽しく食事をすることを通して、個々の児童生徒に対し、理解を深めるとともに食に関する指導の充実に努める。

オ 栄養教諭等の役割

 献立のねらいを明確にした献立計画をあらかじめ学級担任等に示すとともに、使用している食品に含まれている栄養素や伝搬の由来、産地などの情報を提供するなどして、学級担任等が給食の時間や教科等において、学校給食を教材として活用する取組が充実されるよう工夫に努める。

(2)教科等の時間における食に関する指導

 学級担任が教科等の時間に残食の課題を取り上げ、残食の状況等の情報をもとにした課題解決を図る指導を栄養教諭等と連携して行うなど、教科等と給食の時間における食に関する指導を密接に関連付けた指導を行い、児童生徒に対し、食に関する正しい知識や実践力を身に付けさせる。

(3)個別指導

 偏食の指導に当たっては、保護者との連絡を密にし、児童生徒の生育歴、家庭の食事に関する傾向など可能な情報を把握し、児童生徒の気持ちを十分配慮しながら時間をかけて指導する。

▽食事環境の整備

 給食の時間は、学級の仲間や教師と和やかで楽しい会食をするなど、学校生活の中で、緊張から解放され、気分転換を図ったり、午後に向けての活力を生み出したりすることができる時間でもある。

 そのため、食事にふさわしい環境を整え、ゆとりある落ち着いた雰囲気の中で食事をとることが大切であり、こうした環境づくりは食欲を増進させ、食べ物の消化や吸収をよくすることにもつながる。

〈改善に向けたポイント〉

ア 給食当番以外の児童生徒に対しては、空気の入れ換えや教室のごみ拾い、グループづくり、教室の環境を整えてから手洗いをするなど、みんなで気持ちよく食事ができる環境づくりに努めるよう指導する。

イ 空き教室を活用したランチルームの整備、黒板カーテン、テーブルクロス、お花等の装飾などの工夫をする。

ウ 献立に合わせた食べやすく適切な食器具を、学年の発達の段階等に配慮して提供する。

(道・道教委 2016-07-26付)

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