協力共同の視点で運動 川村執行委員長あいさつ概要(関係団体 2016-09-15付)
あいさつする川村執行委員長
協力共同の視点で運動
道教組中央委員会(十日、札幌市内北海道労働センター)における川村安浩執行委員長=写真=のあいさつ概要はつぎのとおり。
◇ ◇ ◇
先ごろからの大雨による影響で、JRの運休が続いている。被害に遭った組合員、教職員をはじめ、各地域の皆さんにお見舞い申し上げるとともに、道教組、道教組共済会として、できる限りの援助を行いたいと思っているので、被害の状況を寄せていただきたい。
先ごろ、道教組初代委員長の小林勝行先生が亡くなった。その訃報に接して、私は、道教組結成のころを思い出していた。
そのころ、「〝本流〟は我ら。戦後教職員組合運動の原点を堅持し、財産を継承する」という言葉がよく語られていた。そこに、私は〝揺るぎない強さ〟を感じていた。教職員組合運動に限らず、様々な教育課題に対しても、ぶれない視点で、しっかりとした土台に立って取組を進める。これこそが、道教組結成に当たっての私たちの構えであった。その〝揺るぎのなさ〟が、道教組の歴史をここまで積み重ねてきた原動力である。
ここ数年、目まぐるしい変化をみせている「教育」。その中で、教職員・子どもが追い込まれているのが現状である。右往左往したり、先がみえなくなったりしがち。教員の誰もが、迷いや不安で苦しくなることが多くなっている。
そんなとき、「道教組の揺るぎなき原点」を思い起こしてみないか。教職員組合運動にとどまらず、自らの教育実践にも自信と展望を与えてくれ、目の前の子どもたちの未来が開けてくる実感を得ることができるであろう。様々な分野において、大変な課題が山積している今、「道教組を語り合おう」と呼びかけたいと思う。
さて、道教組の立脚する原点の一つは、まぎれもなく「日本国憲法」である。
七月の参議院議員選挙の結果、国会では、「改憲勢力」が三分の二を占めることになった。憲法を守る運動は、新たな局面を迎えている。
日本国憲法では、「この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利」とうたっている。
基本的人権は、人間が生まれながらにもつ、誰にも侵されることのない権利。一方、自民党の改憲案にある国民の権利は、国家の都合で制限できることになっている。これでは、「国家から与えられた権利」ということになってしまう。
私たちの権利の一つ一つを、「生まれながらにもつ侵されざるもの」としたときと、「国家の都合で、いつでもどこまでも制限できるもの」としたときとでは、私たちの暮らしはどうなるのか。そんな論議もしてみると、憲法が身近に感じられ、安倍首相がもくろむ憲法改定がどれほどおそろしいものか、理解が深まるのではないだろうか。
改憲勢力が国会で三分の二を占めた状況であるからこそ、広く国民の声として憲法を身近なところから語り合おうではないか。
また、道教組の誇るべき原点、財産として、「協力共同の力」にもふれたい。
道教組は、結成以来、どのような運動にも、「協力共同」の視点を失ったことはない。学校づくりや地域づくり、教職員の生活や権利を守る運動から、国民的課題への取組と、すべての場で「協力共同」を追求しながら運動してきている。
しかし、私たちを取り巻く様々な課題や攻撃、困難は、「協力共同」を阻害しようという方向で降りかかってきている。「協力共同」は、時間も手間もかかる。教職員の多忙化は、職員室の仲間との同僚性を壊し、保護者・地域との距離を開き、様々な分野の仲間たちとの連携を阻害している。「力合わせ」は、日に日に厳しくなってきているのが実感である。
それでも、私たちは、全道各地で「協力共同」の取組をしっかりと根付かせている。道高教組との統一行動や合同教育研究集会開催などは、全道規模ではもちろん、各地の単組、支部レベルでも行われている。さらには、他の労働組合や民主団体と連携した取組も数多く報告されている。
「協力共同」は、私たちに確信と展望、そして、元気を与えてくれる。「協力共同」の力は、これまでの道教組運動の中で実証済み。苦しいからこそ、困難をかかえているからこそ、「協力共同」の視点で、私たちの運動をみつめてみよう。
今回の議案では、まだきちんとまとめられてはいないが、道教組運動と政治とのかかわりについても、最後にふれておきたい。
安保関連法や安倍流「教育再生」の政策、さかのぼれば教育基本法の改悪と、政治のありようが教育や私たちの暮らしに重大な影響を及ぼしているのは明らかである。「政治を変えなければ」の声は、日に日に高まっている。
この間、衆議院北海道五区の補選と、それに続いて参議院選挙が実施された。従来の選挙と変わってきたのは、「安保法制廃止」を求める多くの市民団体からの「野党は共闘」の大きな声にあと押しされ、「野党統一候補」が広く実現したこと。
全教は、憲法に保障されている「政党支持の自由」、労働組合の基本的な原則である「政党からの独立」の観点から、「全教として、いずれの候補に対しても推薦や支持などの機関決定をするものではない」という立場を明確にした。
私たち道教組も、今までと同様に、「選挙に行こう」と声をかけよう、そして、語り合おうと呼びかけた。野党共闘が一定の成果を上げた参院選から、つぎは衆院選となる。戦争をしない政治の実現を目指し、「野党は共闘」と呼びかけている多くの市民団体の声を、私たちは教職員組合、労働組合としてどう受け止め、どう政治に向き合っていくのか、一層丁寧な論議を重ねていく必要がある。
教育実践を進めるのにも、組合の活動をしていくのにも、苦しさや困難さが容赦なく降りかかってきている。この中央委員会が、道教組の原点、よって立つところをみつめ、全道各地の取組を交流し学び合う場となり、皆さんに展望と確信、そして、何より元気をもち帰っていただけるものになることを期待する。
(関係団体 2016-09-15付)
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