子どもが主人公の学校を 道教組の当面闘争方針概要(関係団体 2016-09-16付)
道教組の第二十九回中央委員会(十日、札幌市内北海道労働センター)で決定した当面闘争方針の概要はつぎのとおり。
【二〇一六年度後半期の運動の重点課題】
▼憲法改悪、集団的自衛権の行使を容認する安保関連法案の発動を許さず、憲法を生かす政治の実現を目指し、憲法・子どもの権利条約に立脚し、それが息づく学校・職場を目指す
▼改悪教育基本法の具体化である安倍「教育再生」にかかわって、とりわけ「改訂学習指導要領」の学習を重ね、子どもたちの全面発達の中に豊かな学びと真の生きる力を育てる教育課程づくりに取り組む
▼いじめ・自殺・不登校・児童虐待など、子どもと教育の危機を打開し、子どもたちが安心して学べる学校と社会を目指す
▼上からの教育改革に負けない学校づくりを軸とした教育運動を他団体とともに全道に広げ、北海道の教育に責任をもつ教職員組合をつくるため、組織維持・強化・拡大に取り組む
▼北海道の子どもたちの命を守るため、学校の耐震化、防災・避難訓練の見直し、安全な学校給食、原発ゼロに向けた取組を進める
▼学校づくりを破壊する学校職員人事評価制度のねらいを許さず、子どもが主人公で協力・協働(共同)の学校づくりを前進させる
▼以上の課題解決・要求実現に向けて、全道各地の教職員の会・道退教・道高教組とも連帯しながら取組を強化する
【運動の具体的進め方】
▼憲法に立脚し、「戦争法案」の成立を許さず、平和と民主主義を守る課題
▼憲法に立脚し、民主教育を父母・国民とともに前進させる課題
▽憲法改悪と一体の安倍「教育再生」を許さず、子どもの成長・発達を保障する民主的教育を進める。
①安倍「教育再生」が憲法改悪攻撃と一体化したものであり、「戦争する国」「世界で一番企業が活躍しやすい国」を支える人材育成を批判し、教育本来の目的は「人格の完成」にあるということを、国民的理解になるよう取り組む。
②次期学習指導要領のもつ矛盾について、批判検討を進める。この問題について、職場・地域でも大いに学習を広げ、子どもの実態を生かした教育課程づくり、豊かな学びと基礎学力を保障するための授業づくりを追究する。
③教育活動全体を通して強調される道徳教育のねらいをつかみ、徳目主義に陥らず、民主的市民道徳が身に付くように授業づくりを追究する。特に、いじめ問題など、今日的課題を重視する。
④ゼロトレランスや「スタンダード」など管理と統制の教育ではなく、子どもの命、人権を何よりも大切にする学校を目指す。
⑤「日の丸・君が代」の押しつけに反対するとともに、職務命令を出させない学校づくりを追求する。そして、「日の丸・君が代」の押しつけに反対するとともに、「君が代」の授業実践を重視する。
⑥文部科学省が行う全国一斉学力テストの悉皆調査や道教委の行き過ぎた学力テスト体制に反対し、教師と子どもたちを学力競争から守るたたかいを進める。
⑦中学生・高校生を対象とした、自衛隊によるリクルート活動が強化され、学校現場に配慮のない事例については、問題点を分析し、道教委や自衛隊に抗議することも検討する。
▽へき地の教師・子どもたちの教育条件を守る立場から、今後も、教職員の要求を大切に取りまとめ、道教委や各局との交渉を大切にする。とりわけ、へき地における教員不足が目立ち、教員採用数の適正化を求める。
▽学校職員人事評価制度については、本質的に何が問題なのかをつかむため、分会・支部・単組での学習を重視する。また、非教育的な差別賃金の意図を職場に入れさせないためにも、協力・協働(共同)の民主的な学校づくりを進める。
▽二〇一六年度教育研究全道集会(札幌)の成功を目指し、各地での教研活動を進める。一学期から二学期にかけて取り組んだ教研活動の成果を十一月の合同教研に持ち寄ろう。道教組として、今、困難をかかえながらも日々の教育実践に立ち向かっている職場の教職員とともに激励し合いながら、豊かな学びを追究していくこと。
特に、若い教職員は、授業で悩みながら苦労している。各地の若手教職員を激励し、若手の実践をアドバイスして、秋の合研へレポートにまとめる作業を応援しよう。
そして、教科だけではなく、学校の文化活動、「道徳」の工夫、「君が代」の実践、地域を通して学ぶ総合学習、今日的課題の原発やエネルギー問題、主権者教育などの教材化を進めよう。
▽行政研修の押しつけに反対し、教育研究の自由を守る取組を進める。
①十年研修については、大学での研修の促進など、研修内容の改善充実と対象者への負担軽減を求める。また、個人の都合を無視した休み中の一方的な研修には改善を求める。
②初任者研修について、「指導教員」を固定化し、定数・非常勤講師配置の劣悪化につながる「拠点校方式」の中止を求める。
③長期休業中の研修の制限、特に、道教委通達・通知をも無視する出勤の押しつけや、研修会参加の際の主催団体による差別をやめさせる。
④教員免許更新制については、教員に受講料の負担・地方からの交通費・宿泊費など過大な負担を強いる、世界にまれな制度であり、廃止を求める。
▽子ども・保護者・地域の願いに応える学校づくりを進める。
▽特別支援教育の充実については、どの子にもゆきとどいた教育を進めるという視点からとらえる。
①教職員定数増を求める運動を進める。
②すべての障がい児への豊かな教育を進めるため、「特別支援教育支援員」の増員と有効な活用を含めた、制度面の充実に向け、道・市町村教委に要求する。
③養護学校の過密・過大問題を解消するため、障害児学校に「設置基準」策定を求める要請を行う。
▽教育の機会均等を踏みにじる義務教育費国庫負担を二分の一に戻すことを求め、教育全国署名運動の前進・強化に努める。ことしも、北海道連絡会としての目標は八万筆。そして、教育条件整備を求め、道・市町村教委に対する要請を強める。
▽小学校小規模校における定数改善、養護教諭・事務職員の全校配置・複数配置などに向け、道教委に、「二〇一七年度定員・教育予算要求書」を提出する。
▽子どもの減少を理由とした、機械的な学校統廃合計画に反対し、保護者や地域の声を受け止めながら検討することを求める。
▼原発ゼロ・泊原発再稼働反対、安心・安全な学校を目指して
▼生活と権利を守るたたかい
▽道財政危機を理由とした賃金削減を再開させず、道民本位の道財政の再建、道民生活を守る課題と一体的に賃金改善を求める。
①道人事委員会勧告に向け、道・道教委に要求書を提出し、職場・地域からの要求署名運動を基礎に、職場からの交渉要員も募りながら、その強化を図る。
②生活実態に見合った寒冷地手当の増額を求める要求運動の強化を図る。
③給与に差をつける成果主義賃金に反対し、全教職員の処遇改善を求める。
▽公務員賃金削減に反対し、公務・公共サービスの充実、労働基本権の回復を目指す運動を強める。
▽教職員の健康を守り、多忙化を解消し、子どもたちにゆきとどいた教育を保障する条件整備の運動を進める。
①労働基本権回復の学習を進め、今後、職場交渉による勤務条件にかかわる交渉を行えるよう、準備を進める。
②教職員の労働条件と子どもたちの教育条件を統一してとらえ、時間外勤務や多忙化解消の方策について、道教委の方針や取組を補強する。道立学校総括安全衛生委員会へ組合要求を反映させるよう積極的に参加し、実効あるものにする。
③道教組「労安特別委員会」を機能させ、労安学習の推進と労安体制の具体化を図る。労働安全衛生法を学び、職場のブラック化総点検と働きやすい職場環境づくりに取り組む。
④道教委が推奨する月二回の「ノー残業デー」を徹底するため、分会としても取り組む。際限のない部活動への教職員のかかわりについて、各職場でも教職員の過重労働軽減の観点から議論していく。
⑤他県の先進的取組に学びながら、勤務の割り振り変更、労働環境の改善に努める。
⑥道教組作成の「教職員の権利一覧」などを使い、職場での権利学習を進める。
▽国民が安心できる年金制度の確立、消費税増税反対、最低賃金の引き上げなどを一六秋季闘争、一七春闘の柱に位置付け、職場・地域からの共同の取組を発展させる。
▼人事要求実現、民主的人事行政確立の課題
▽地域に根ざした管内教育の推進、教職員の自主的・創造的教育活動の保障、民主的学校運営と適正な教職員集団の確立、教職員の生活・勤務条件の改善を基本目標に、人事要求の実現を目指し、道教組各構成組織での取組を進める。
▽道教委、教育局への人事要求では、「民主・公平・公開」の原則に立った人事行政の確立を求める。他管異動や道立学校への人事要求の集約は十二月までに行う。
▽事務職員の格付基準の見直しによる機械的人事が行われないようにするとともに、本人の希望と納得に基づく人事の実現を目指す。
▽再任用については、他の公務員と比べ、採用率が低く、看過できない状況がある。年金と接続しない状況があるからこそ、希望者全員の任用に向け、新たな制度設計を求めるとともに、各管内の実態を把握し、要求実現に向けて取り組む。
▽定数内臨時教職員の解消を図るよう要求する。年度内に期限付教職員の欠員が多く、欠員のまま推移することは許されない。道教委に改善を求める。
▽教職経験の考慮、地域枠採用の問題点など、教員採用選考制度の改善を求める。
▽教員採用試験については、広い北海道での受験区分による受験地の振り分けを改善するよう求める。
▽広域人事については、本人の希望と納得に基づき進めること、制度について、今後も改善するよう求める。
▼組織維持・強化・拡大の課題
▽自分たちの要求(やってみたいこと)を大切にした組合活動を出発点にし、楽しむ活動・学ぶ活動を重視する。
▽「全教組織建設三ヵ年計画」「道労連組織拡大中期五ヵ年計画」を踏まえ、前年度減少分を早期に回復し、目標の一割拡大を実現するため、つながりと対話を重視する。
▽十二月の沖縄大集会「ゆいま~る」に向けた特段の取組を重視する。
▽「つながりのための五千円」や「集い合い促進費」の活用を進め、気軽に声をかけ、道教組を知ってもらう取組を各地で進める。
▽組織拡大と道教組共済・『クレスコ』拡大を統一的に進める。
▽一人ひとりの教職員が孤立させられているときだからこそ、子ども・教職員が大切にされる「学校づくり」を目指し、組織維持・強化・拡大に特段の力を入れる。
(関係団体 2016-09-16付)
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