代表高校副校長・教頭研で道教委説明〈上〉 要望聴取し誠実に対応 入選の特別な配慮で要請
(道・道教委 2016-09-16付)

 道教委主催の二十八年度全道代表高校副校長・教頭研究協議会(二日、道庁別館)では、各課等の担当者が所管事項について説明した。入学者選抜で障がいのある生徒とその保護者から特別な配慮を求められた場合、「要望を聞き取るとともに、在籍中学校から支援の状況等を情報収集していただきたい。教育局に相談の上、できることとできないことについて丁寧に説明し、誠実に対応いただきたい」と求めた。教科書選定については、「基本方針」などに基づき公正が確保されていることを対外的に説明できるよう、資料の・整備・保存を行うことを要請した。説明概要はつぎのとおり。

◆高校教育課

【教育課程の編成・実施】

▼教科書採択

 教科書の選定については、二十六年六月九日付教高第四一三号教育長通達「〝道立学校の教科書(中等教育学校の前期課程ならびに特別支援学校の小学部および中学部において使用する教科書を除く)の採択に関する実施要綱〟の施行について」に基づき、適正かつ公正な選定を行っていただいている。

 本年度、需要数の報告期限を延長したのは、二十八年七月十一日付教義第七〇五号通知「教科書の発行に関する臨時措置法施行規則の一部を改正する省令の公布、施行について」で通知したとおり、高校用教科書の採択の公正性・透明性に疑念を生じさせる行為が行われていたことが明らかとなったことを受けて、各学校において、教科書発行者および道教委による調査結果も踏まえ、慎重に審議を行った上で、公正に教科書採択を行うことができるようにしたためである。

 教科書の選定については、各学校の「教科書選定委員会」において、「教科書採択に関する基本方針」および「教科書採択に関する観点」などに基づき公正が確保されていることを、対外的に選定の理由等を説明できるよう、資料を整備・保存していただきたい。

▼教科・科目の授業時数の確保

 一単位当たりの実施すべき各教科・科目の標準の授業時数は、学習指導要領において三十五単位時間と明確に示されている。

 各学校においては、定期的に授業時数を集計し、年間指導計画に照らして、授業の実施状況を確認していただきたい。

 年度当初に予定した授業時数を下回っている場合には、年度末までの授業時数を見通した上で、長期休業を活用するなどして確実に補充を行っていただきたい。

【公立高校入学者選抜】

▼二十九年度道立高校入学者選抜の改善

 二十九年度入選の道立高校の入学者選抜および中等教育学校の入学者選考については、二十八年三月三十日付教高第二三三〇号「二十九年度道立高校入学者選抜の改善について」によって、各道立学校長等宛に通知したとおり、出願者の出願先の選択の幅が広がるよう、当初の出願先が普通科の場合、出願変更先として、従来の、当初出願した課程と同一の課程のほかの高校の普通科または総合学科に加え、同一の課程の理科・数学に関する学科、体育に関する学科または外国語に関する学科も認めることとした。

▼入学者選抜業務におけるミスの防止

 入学者選抜は受検者の一生にかかわるものであることから、各学校においては、二重三重の確実な点検が重要であることを全教職員が十分認識するとともに、校内の入学者選抜実施マニュアルを毎年見直し、必要な改善を図るなど、入学者選抜業務におけるミスの防止に向けた校内体制をあらためて確認していただきたい。

▼特別な配慮

 ことし四月一日から「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(障害者差別解消法)」が施行され、障がいのある方から何らかの配慮を求める意思の表明があった場合には、負担になりすぎない範囲で、社会的障壁を取り除くために必要な合理的な配慮を行うことが求められている。

 特別な配慮を必要とする障がいのある生徒とその保護者から相談を受けた場合には、学力検査および入学後の生活にかかる要望を聞き取るとともに、在籍中学校から中学校での支援の状況等を情報収集していただきたい。その上で、教育局に相談の上、道立高校としてできることとできないことについて丁寧に説明し、誠実に対応いただきたい。

学習習慣定着へ一層の取組を

【各種事業等】

▼道高校学力向上実践事業

 推進校および協力校をつぎのとおり指定した。

▽コアアビリティモデル(Cモデル)=国語、数学、英語、農業、工業、商業、水産の七教科―推進校六校、協力校一四校

▽ベーシックモデル(Bモデル)=国語、数学、英語、地理歴史、公民、理科の六教科一三科目―推進校六校、協力校三五校

▽アドバンストモデル(Aモデル)=国語、数学、英語の三教科―推進校三校、協力校九校

◇教材作成

 本年度は、昨年度までの事業(「道高校学力向上推進事業」)における学力テストの実施結果を検証し、教材や学力テスト等を作成し、実践研究を行う。

 推進校においては、「全道協議会」(年二回、札幌市)への教員の派遣および、「教科・科目別教材等作成会議」の開催、協力校においては、「全道協議会」および推進校で開催する「教科・科目別作成会議」への教員の派遣について、配慮いただきたい。

◇学力テスト

 学力テストおよび学習状況等調査は、二十九年二~三月に、すべての道立高校一年生(登別明日中等教育学校は四回生)を対象に実施する予定。

 各学校においては、実施に向けて日程等の検討を進めていただきたい。

◇授業実践講座

 教科指導講座および進学指導講座を、つぎのとおり実施する予定。

 また、本年度、新たにICTの活用に関する実践講座を開催する予定。

 各学校においては、会場の提供や講師となるスペシャリストの派遣について、配慮いただきたい。

▽教科指導講座

①期日=九月~十二月の期間の一日間

②会場=全道二十会場程度(国語、地歴歴史・公民、数学、理科、英語について、それぞれ道内四ブロックで開催)

③内容=アクティブ・ラーニングの視点に基づいた実践的な教科指導力の向上を図る研究授業や研究協議、ワークショップ等

▽進学指導講座

①期日=九月~十二月の期間の一日間

②会場=全道六会場(国語、数学、英語について、各二会場で開催)

▽ICT活用講座

①期日=九月~十二月の期間の一日間

②会場=全道一会場(石狩管内)

◇ハイレベル学習セミナー

 これまで、一月に深川市(ネイパル深川)で実施してきたセミナーをメインセミナー(全道セミナー)とし、新たに、全道四ヵ所で地区セミナーを開催する。

 地区セミナーについては、セミナー拠点校が決定したあと、地区セミナーの開催要項を発出するので、生徒に対し、参加について積極的に働きかけていただきたい。

▽全道セミナー

①期日=二十九年一月五日~八日(三泊四日)

②会場=ネイパル深川(深川市)

③対象=選抜性の高い大学への進学を目指す道立高校一年生および中等教育学校四回生

▽地区セミナー

①期日=七月~二十九年三月(一日×三回)

②会場=道内四会場(拠点校)

③対象=選抜性の高い大学への進学を目指す道立高校生および中等教育学校生

◇学習サポート

 希望のあった道立高校の中から指定校八校を決定し、学習支援員八人を配置。

 指定校においては、学習支援員を効果的に活用し、学習の定着や学習意欲が十分でない生徒に対する支援の充実に努めていただきたい。

▼二十七年度「道高校学習状況等調査」

 二十八年二月十五日から三月末日にかけて、二百三十二校(全日制の道立高校二百二校、市町村立高校十六校、定時制の道立高校十二校、市町村立高校三校)、二万八千九百九十八人の生徒が参加して実施した。

 道教育推進計画(改定版)において、すべての生徒が「高校入学前に比べ、学習しようとする意欲が高まった」と回答することや、「長期休業中を除く、授業等が行われた期間に、家庭学習を一度もしない週がある」と回答する生徒がゼロになることを目標指標に掲げている。

 今回の調査では、前年度に比べ、改善の方向にあるとはいえ、特に、学習習慣の定着の状況においては、依然として六割を超える生徒が家庭学習を一度もしない週があると回答している。

 道教委では、基礎・基本の確実な定着を図るためには、家庭における望ましい学習習慣づくりは大切であると考えており、各学校には、高体連・高文連や学校祭、高校入試など、行事が多く続く週においても、生徒が家庭学習に取り組める環境づくりを工夫するとともに、生徒に毎週最低一回は家庭学習の課題を課すなどして、学習習慣を定着させる取組の充実を一層図っていただきたい。

▼学習・指導方法改善に関する指定事業―文部科学省「高校生の基礎学力定着に向けた学習改善のための調査研究事業」

 札幌英藍高校を指定校として、つぎの実践研究を実施。

・北海道の生徒の学習意欲の高揚および家庭学習習慣の定着を目指し、「カリキュラム・マネジメント」の確立および「PDCAサイクル」の構築を図り、その成果を全道の高校等に普及

・「高校基礎学力テスト」(仮称)の導入についての実践研究

 「研究成果発表会」への教員の派遣について、配慮いただきたい。

▼高校生留学促進関連事業

▽「留学フェア」の開催

 留学等に関心のある中高生を対象に、留学経験者の体験講話や留学斡旋団体等による説明や留学相談を実施

・九月十日(土)、道立北見体育センター―実施済

・九月二十四日(土)、旭川トーヨーホテル

・十月一日(土)、渡島総合振興局

▼地域医療を支える人づくりプロジェクト事業

◇メディカル・キャンプ・セミナー

 本年度のセミナーは終了。生徒の参加および講師の派遣、生徒の帰着報告等に対する協力に感謝する。

 セミナーの様子は、高校教育課ウェブページに掲載している。

 次年度は、八月七日(月)~十日(木)の日程で実施する予定で計画中。

◇高校生メディカル講座

 同事業の実施要綱の改正によって、一昨年度から、同事業の指定校九校のほか、指定校のない六管内においては協力校によって実施することとした。

 関係の学校の協力に感謝申し上げる。

◇地域医療体験事業

 高校生メディカル講座と同様に、同事業の実施要綱の改正によって、一昨年度から、同事業の指定校九校のほか、指定校のない六管内においては協力校によって実施することとした。

 関係の学校の協力に感謝申し上げる。

 なお、高校生メディカル講座および地域医療体験事業とも、開催に当たっては、実施校において、生徒の参加および管内のほかの高校への参加の呼びかけについて特段の配意をいただきたい。

▼U―18未来フォーラム事業

 同事業は、道内の高校生がICTを活用して海外の高校等との交流を通した外国語による発表や討論などの言語活動にかかる指導方法の実践研究を行う。

 現在、実践研究を行う拠点校、および海外の学校を調整中である。

 同事業は、英語を使う機会の増加や海外の同世代の人とのコミュニケーションによって、英語の学習意欲の向上が期待されることから、拠点校以外の学校においては、拠点校が行う地区フォーラムへの参加など本事業に積極的に参加いただきたい。

 拠点校の代表生徒および教員が一堂に会する全道フォーラムを開催し、各拠点校の取組の発表や拠点校同士の情報交換を通じて互いの交流を深め、共有化を図るなどの取組を計画している。

▼英語教育

 「CAN―DOリスト」形式での学習到達目標の設定や、授業における英語担当教員の英語の使用、ならびに英語担当教員の積極的な外部検定試験の受験など、教員および生徒の英語力向上に向けた取組を推進するよう取り組んでいただきたい。

▼SGH中間成果報告会

 公立学校では、登別明日中等教育学校が指定校を継続するとともに、札幌国際情報高校および滝川西高校がSGHアソシエイトに選定されている。指定校の取組や成果等については、ウェブページを通じて公開するほか、二十九年一月二十三日に、道内のSGH指定校の生徒による中間成果発表会を実施する。

 準備が整い次第、各教育局を通じて周知するので、教員の参加について配慮いただくようお願いする。

▼海外からの教育旅行の受け入れ

 国際交流部局等と連携し、道内への教育旅行を希望する海外の学校の情報を各学校に情報提供するとともに、受け入れた学校の成果を高校教育課のホームページに掲載する予定である。

▼科学の甲子園北海道大会

①目的=数学、理科、科学技術等の知識・技能を用いて、チームで日常生活と関連付けながら科学的に問題を解決する力を競うことによって、生徒等の科学的に探究する能力の向上を図るとともに、科学技術等に対する興味・関心を高める。

②一次予選=十月十日(月)午前十時、札幌西高校・室蘭栄高校・函館中部高校・旭川西高校・北見北斗高校・釧路湖陵高校・根室高校

③決勝大会=十二月十日(土)午前十時、札幌啓成高校

▼北海道環境学習フェア2016

①目的=北海道のかけがえのない自然環境の次世代への継承や持続可能な社会の構築を目指し、本道の豊かな自然を守っていこうとする意欲と、環境問題について自ら考え、主体的に環境に配慮して行動しようとする態度を育成する。

②期日=十月十五日(土)

③会場=北見工業大学

④対象=小学生・中学生・高校生・大学生・一般

⑤内容=ポスター発表、基調講演・学齢別体験型学習会(小学生)、学齢別体験型環境学習会

29年度中に通級実施校を検討

【高校における特別支援教育(文科省指定事業)】

 文科省の「個々の能力・才能を伸ばす特別支援教育研究開発事業」については、本年度、上士幌高校が指定最終年度、本別高校、大樹高校が指定二年目となり、高校等において、現行の小・中学校の通級による指導と同様の障がいによる学習上または生活上の困難を改善・克服するための指導を行うための特別な教育課程の編成・実施に関する研究開発に取り組んでいる。

 指定校の指導事例や成果については、昨年同様、本年度の「教育課程編成・実施の手引」に掲載する予定である。各学校において、指定校の取組を参考に、高校における特別支援教育の充実を図っていただきたい。

 文科省では、三十年度から高校における通級の制度の運用を開始することとしている。道教委としては、三十年度の制度の運用開始に向けて、二十九年度中に通級を実施する学校の検討を進めていく予定である。

【政治的教養を育む教育(主権者教育)】

 政治的教養を育む教育については、二十七年度三年生に対し、すべての道立高校において、実施されている。

 参議院議員通常選挙を終えたものの、本年度中に選挙が予定される地方自治体もあることから、引き続き、国が作成した副教材『私たちが拓く日本の未来』や道教委が作成した資料を活用するなどして、生徒が、公職選挙法改正の趣旨について理解を深め、有権者として選挙に対する意識を高めることができるよう、政治的教養を育む教育を一層充実するよう留意いただきたい。

 なお、政治的な問題を授業で取り扱う際の留意事項については、二十八年八月二十九日付事務連絡「高校等における政治的教養の教育について」のとおり、教職員は、その言動が生徒の人格形成に与える影響が極めて大きいことに留意し、学校の内外を問わず、その地位を利用して特定の政治的立場に立って児童生徒に接することのないよう、留意いただきたい。

(道・道教委 2016-09-16付)

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