道立近代美術館・「ゴジラ展」が開幕 実物スーツなど690点展示 特美とデザインの世界を紹介
(道・道教委 2016-09-16付)

特別展「ゴジラ展」ゴジラ
大迫力のゴジラが眼前にそびえる

 怪獣の代名詞的存在として、日本だけでなく世界的に根強い人気を誇るゴジラ。その造形や特撮映画製作の秘密に迫る特別展「ゴジラ展 特撮映画のヴィジョンとデザイン」が九日、道立近代美術館で始まった。映画第一作「ゴジラ」から第二十八作「ゴジラ FINAL WARS」まで、撮影に使われた現物やデザイン画、撮影用ミニチュアセットの図面、記録写真などの資料約六百九十点を展示し、ゴジラの秘密と魅力に迫る。開幕初日から熱心なファンが詰めかけていた。十月二十三日まで。

 一九五四(昭和二九)年に公開された東宝映画「ゴジラ」は、“ミニチュアと合成を駆使した迫真の撮影”“水爆実験の影響で怪獣が生まれる”、という人類規模の災厄を生んだ科学技術への警鐘を鳴らす比類ない作品だった。

 映画は、第一作から現在公開中の「シン・ゴジラ」まで日本で通算二十九本、米国でも二本の作品が製作された。

 映画は、多くのジャンルの人たちの手によってつくり上げられるものだが、特別展では「特美(特殊美術、特撮美術)」とデザインの仕事に焦点を当て、「不死身の大怪獣vs美術館」のコンセプトのもと、ゴジラのもつ限りない魅力に迫る。

 展示はプロローグと四章で構成。プロローグでは、平成ゴジラスーツ(ぬいぐるみ、着ぐるみ)の実物と、第一作から「昭和」「平成」「ミレニアム」シリーズの最終作(二〇〇四年)まで、全二十八作の歴代ゴジラの顔と姿を写真によって紹介。

 平成ゴジラスーツは、一九九五(平成七)年の「ゴジラvsデストロイア」の撮影に用いられたもの。頭部は小さめで、歯は二列、手足や尾は太く、体は全体に量感豊か。それぞれ時代の特徴を備え、そのスタイルを変化させてきたゴジラスーツには、製作者の思いが込められている。

 第Ⅰ章では、映画「ゴジラ」の第一作にスポットを当て、製作の経緯、特にゴジラの形が生み出されるまでの過程を、特殊技術(特技監督)の円谷英二氏を筆頭に、製作に携わった人物や台本、ビクトリアルスケッチ(絵コンテ)、造形と撮影時の記録写真などによって紹介する。

 第Ⅱ章では、シリーズ第二十七作「ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS」(二〇〇三年)の撮影で使われたゴジラとメカゴジラのスーツ、そのもととなったデザイン画、特美のデザイン画やセット図面、撮影現場の記録写真などによって、ゴジラ映画におけるものづくりの過程をたどる。特撮美術デザイナー・三池敏夫氏による撮影現場の記録写真のスライド上映も開催している。

 第Ⅲ章では、第二作「ゴジラの逆襲」(一九五五年)から第二十八作「ゴジラ FINAL WARS」(二〇〇四年)までを昭和、平成、ミレニアムの三期に分け、それぞれの時代を担った制作者やデザイナーたちの「特美」「デザイン」「造形」の世界を紹介。

 「怪獣大戦争」(一九六五年)のときにつくられ、その後も建物を踏み潰すシーンなどで使われた「ゴジラ大サイズ足」、一九九四(平成六)年公開の「ゴジラvsスペースゴジラ」の撮影で使用されたスペースゴジラスーツ、ミレニアムシリーズで使われたゴジラ、キングギドラやガイダンのスーツ、三期それぞれの作品のデザイン画が数多く展示されている。

 第Ⅳ章では、映画ポスターの原画やゴジラ映画から発想を受けたイラスト、立体造形などを展示。

 ほかに、合成技術でゴジラと記念撮影ができるコーナーや、公開中の「シン・ゴジラ」で導入が試みられたアニトロニクス(機械操作で動く生物模型)と東京駅のミニチュアセットも展示している。

 観覧料は、一般一千三百円、高大生七百円、中学生五百円。小学生以下無料(要保護者同伴)。

 休館日は毎週月曜日(九月十九日・十月十日を除く)と九月二十日(火)・十月十一日(火)。

 問い合わせは同館(電話〇一一―644―六八八二)まで。

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