【解説】虐待死6割超がゼロ歳児
(解説 2016-09-23付)

 二十六年度に虐待(心中を除く)によって死亡した十八歳未満の子どもは、前年度より八人多い四十四人だったことが、虐待による死亡事例等を分析・検証する厚生労働省の専門委員会の第十二次報告で明らかになった。このうち、六割以上がゼロ歳児で、これまでで最も高い割合となった。同委員会は「初期対応で見落しなく、児童相談所と市町村が連携を深める体制整備」などを提言した。

 厚労省が、関係都道府県(指定都市および児童相談所設置市を含む)に調査票を送付し、回答を集計。

 二十六年度に心中以外の虐待によって死亡したのは四十四人で、前年度より八人増加。死亡した子どもの年齢は、ゼロ歳児が二十七人(六一・四%)と最も多く、このうち十五人は出産直後に遺棄されて死亡していた。

 虐待の種類は、「身体的虐待」が二十四人(五四・五%)、「ネグレクト」が十五人(三四・一%)のほか、東京都西東京市で、中学二年の男子生徒が父親から「二十四時間以内に自殺しろ」などと迫られ、命を絶った事件を、統計を取り始めた十五年度以降、「心理的虐待」による死亡例として、初めて認定した。

 主たる加害者は、「実母」が二十八人(六三・六%)と最も多く、次いで、「実父」が三人(六・八%)だった。

 亡くなった四十四人の子どもの実母が抱えていた問題(複数回答)としては、「望まない妊娠」が最多の二十四人で五四・五%を占め、過去十一回の検証の平均割合(二一・七%)を大きく上回った。妊婦健診を受診していない母親も十八人いた。加害の動機は、「子どもの存在の拒否・否定」が十四人、「保護を怠った」が五人、「しつけのつもり」が四人など。

 心中による子どもの死亡は二十七人だった。

(解説 2016-09-23付)

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