高等聾が心のバリアフリー推進事業―文科省指定 障がい者スポーツ身近に アスリート招き講演や体験
(学校 2016-10-04付)

高等聾心のバリアフリー推進事業
高等聾と札幌聖心女子学院高校の生徒が、バスケットと車いすバスケットを体験した

 【小樽発】高等聾学校(佐藤靖典校長)は九月中旬、「学校における交流および共同学習を通じた障がい者理解(心のバリアフリー)推進事業」を行った。札幌聖心女子学院高校の生徒二十人と同校一学年生徒十五人が参加。障がい者スポーツを体験し、交流を深めた。

 心のバリアフリー推進事業は、道教委が実施する文部科学省委託事業で、障がいのある子どもとない子どもが一緒にスポーツを行うことによって、障がいに対する理解の促進と障がいのある子どもの社会参画への意欲を高めることが目的。同校は本年度モデル校に指定され、障がい者トップアスリートの体験談を聞き、スポーツを通した交流・共同学習を実施する。

 この日、二十年余り交流が続く札幌聖心女子学院高校の生徒二十人と同校一学年生徒十五人が参加。障がい者アスリートとして札幌ノースウインドの岩崎圭介氏、レバンガ北海道バスケットボールアカデミーコーチの安宅寛法氏を迎えて、講演と体験会を行った。

 開会式では、佐藤校長が「毎年行われる交流だが、ことしは特別にノースウインドの選手とレバンガ北海道のコーチの講演を聞くことができ、実際にバスケットも体験できる」と紹介した。

 札幌ノースウインドの岩崎氏は「皆さんに一番伝えたいことは、車いすバスケットと出会い学んだことは、立てないこと、歩けないことが一番の障がいなのではなく、歩けないことで自分には無理だと思ってしまうことが一番の障がい」と強調。「皆さんにはいろいろなことに挑戦してほしい」と手話を交え、伝えた。

 レバンガ北海道の安宅氏は「トップアスリートに必要な“気持ちの強さ”について」をテーマに、様々な経験の中で“気持ちのコントロール”が自分のパフォーマンスに影響するのか、克服するために必要なこととして、「練習を重ね、できることに集中し、仲間を鼓舞しながら自分を高める」などとアドバイスした

 講演のあと、両校の生徒たちはバスケットと車いすバスケットを体験=写真=。初めての車いすに悪戦苦闘しながらも楽しんでいた。生徒は、「初めて車いすに乗り、ボールをゴールに入れるのはとっても難しかった。それを簡単にゴールに入れている選手は素晴らしい」「普段経験することのできないことを、今回の交流でいくつも経験できた。障がいのある人のことが分かった気がする」などと感想を話し、充実した時間を振り返っていた。

 同校では「今回、障がい者スポーツの実体験を取り入れ、生徒の交流もスムーズになった。今後もプログラムを工夫して、生徒それぞれの成長と相互の交流を促進できるような機会を設けていきたい」と話していた。

(学校 2016-10-04付)

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