上川中部地区へき複研究大会開く バーチャル学習取り入れ 東神楽町志比内小で算数2授業
(関係団体 2016-11-25付)

上川中部地区へき複研究大会
バーチャル学習を取り入れた1・2年生の算数授業

 【旭川発】二十八年度上川中部地区へき地複式教育研究大会・東神楽町へき地複式教育研究大会が十六日、東神楽町立志比内小学校で開催された。同校の研究主題などに沿って、算数科で二授業を公開。約百人が参加し、ICTを活用した「バーチャル学習」を間接指導に取り入れた授業実践などについて研鑚を積んだ。

 上川へき地・複式教育研究連盟(田中和敏委員長)、東神楽町へき地・複式教育研究連盟(内村めぐみ委員長)主催、上川へき複連中部地区(内村めぐみ委員長)が主管。

 上川へき複連の研究主題は、「主体的・創造的に学び、豊かな心でたくましく ふるさとを切り拓く子どもの育成~へき地・複式教育の特性を生かし、児童生徒一人ひとりの未来に〝生きる力〟をはぐくむ学校・学級経営と学習指導の充実をめざして」。

 町へき複連は、「主体的に学び 豊かな心で たくましく生きる子どもの育成」を研究主題に掲げている。

 同校は、研究主題に「確かな学力を身に付け、新しい時代を生き抜く志比内っ子の育成~少人数・複式学級における学習指導の充実を目指して」を掲げた。①学習過程②学習指導③身に付けた知識と技能の習熟・活用―の三点の工夫を研究内容に設定。算数科を題材に二十七年度から三ヵ年計画で研究を進めている。

 うち、学習過程では、「問題→前時の学習との違いの確認→課題→解決の見通しをもつ→個人思考→発表・交流→まとめ→習熟→振り返り」の流れを基本に、全学年で統一した。

 学習指導については、パソコンやipadを活用し、パワーポイントによる「バーチャル学習」を実施。一人学級の児童が個人思考の場面で、仮想のクラスメートとかかわることで、作業手順の確認と、思考の広がりを促した。

 この日は、一・二年生、五・六年生の算数を公開。うち、一・二年生(石坂優樹教諭、児童数一年生一人・二年生三人)で、バーチャル学習を取り入れた授業を展開した。

 一年生「ひきざん」は、十時間扱いの四時間目。繰り下がりのある減法計算を、減加法や減減法を用いてブロックや言葉、式、図を使って説明することとした。

 二年生「かけ算」は十七時間扱いの十六時間目。九九が適用できるように、まとまりを分割したり移動したりする工夫を考えることをねらった。

 石坂教諭ははじめに、一年生にバーチャル学習で前時の習熟問題に取り組ませたあと、問題「十二引く三の計算の仕方を考えよう」に取り組ませた。

 その間、二年生には、「チョコレートを食べたら、(五×六のマス目のうち、左上の六マスが空白)のこりました。チョコレートは何個ありますか?」と問題を提示。児童たちに答えの予想と前時の学習との違いを考えさせた上で、「やり方を工夫し、九九を使って説明しよう」と提起した。

 二年生が個人思考している間、石坂教諭は一年生に前時との学習の違いなどを尋ね、課題として、「図や式、言葉を使って、計算しよう」と投げかけた。

 一年生は、ブロックを使って問題を解き、バーチャル学習で仮想クラスメートの考え方を確認。二年生は学習リーダーによる進行のもと、ホワイトボードに問題を解く考え方をまとめた。石坂教諭は一年生と二年生を同時に間接指導した。

 つぎに、石坂教諭は一年生の直接指導に移り、問題の解き方と仮想クラスメートの考え方について説明させた。児童は「十二から二を引くと十。さらに、十から一を引くと九になる」と発表。続いて、習熟問題「十一引く四」に取り組んだ。

 石坂教諭は、二年生に対し、ホワイトボードをもとに考えを発表するよう促した。児童たちは「上下に分けて、三×五と三×三を足し算する」などと答えた。

 対して、石坂教諭は「左の三つをずらして六×四で計算できるね」と、児童と異なった考えを紹介。「分けたり、ずらしたりして同じ数のまとまりをつくると九九で求められる」とまとめ、児童に習熟問題に取り組ませた。おわりに、一・二年生で学習の振り返りを行った。

 授業後は開会式に移り、内村委員長があいさつ。「山村留学・特認校の同校は、へき地校の特色を生かし、子どもたちが夢と希望をもって努力できる取組を進めている。同校の実践を通し、大会が互いに高め合う場になれば」と期待を寄せた。

 このあと、研究発表や研究協議を行い、参加者は研究の充実に努めた。

(関係団体 2016-11-25付)

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