異業種体験で成長実感! 札幌市教委の教員長期社会体験研修―参加者に聞く②(市町村 2016-11-30付)
動物によって摂取する餌の量・栄養は異なる。香取教諭は人間も違いがあることを認める大切さに気付いたと話す
札幌市教委が実施している教員長期社会体験研修。本年度は、澄川小学校の千葉珠紀教諭、緑丘小学校の香取晴子教諭の二人が約六ヵ月間にわたり、㈱コンサドーレのホームタウン事業部、札幌市円山動物園で研修してきた。教職では得られない経験を積んだ二人に、研修の成果などを聞いた。
◆動物とのふれあいで、多くの〝気づき〟 円山動物園でイベントに奔走~緑丘小・香取教諭
基本理念「人と動物と環境の絆をつくる動物園」のもと、市民の憩いの場として愛され続けている札幌市円山動物園。香取教諭は教員生活十二年目を迎えるに当たって、「自分を変えるチャンスになる」との確信を胸に、動物の飼育・観察やイベント業務などに従事した。
動物の生態から学習
最初の二ヵ月間は動物の生態や飼育方法を学ぶため、飼育員と園内の各施設を回った。餌切り、掃除など、一見簡単そうな作業でも実際に取り組んでみるとその難しさを痛感。「子どもは経験が少なく、初めてすることがたくさんある。当たり前のことが難しいということに気づいた」と振り返る。
小・中学生向け教育プログラムの飼料庫案内に同行した際、冷凍されたねずみやひよこなどを間の当たりに。命は、別の命の犠牲の上に成り立っていることにあらためて気づかされるとともに、摂取する餌の量・栄養が動物によって違うことを学んだ。「人間にも違いがあるように、互いを認め合って理解することや命の大切さを伝えていきたい」と話す。
「自分で考えたり調べたりして、子どもたちが興味をもつきっかけづくりになれば」という思いで作成したワークシートには、教師の経験が生かされた。動物の一部を撮影した写真のほか、その特徴や観察時の着眼点をちりばめるなどウォークラリーを楽しめる内容にすることを心がけた。
◇夏はイベントで多忙
七月下旬から八月末にかけてはイベント業務が立て込み、多忙な日々が続く。園内の夜間公開「夜の動物園」では、人間と動物のバランス力や握力などを比較する「体力測定オリンピック」の企画を任され、取り上げる動物の選定から調べ作業まですべて自分の手で行った。決められた時間で余裕をもって段取りを立て、仕事を進めていくことの大切さを身に染みて感じたという。
今秋をもって閉鎖・解体となった熱帯動物館を、四十分でめぐるバックヤードツアーのガイドを務めた経験が今も印象深い。はじめは、日によって異なる客の人数や年齢層、反応に戸惑うことも。しかし、何度も練習を重ねていくうちに自信をもって臨めるようになり、「話し方や順序を調整しながらお客さんに楽しんでもらえる工夫を盛り込むことができた」と笑顔をみせる。
ツアー終了後、参加者から「楽しかったです」「この機会に参加できて良かった」などと声をかけられた。「反応がダイレクトにくるやりごたえがあるのは学級経営と同じ。軌道修正する力や対応力は授業づくりに役立つと思った」と、教壇に立つ自身の姿を重ねた。
◇研修生かし教材づくり
研修終了前には、子どもたちの憧れの職業でもある飼育員として働いてみて感じたことや学んだことを洗い出す作業に没頭した。児童が楽しく動物について知ることができるよう、研修中にしたためてきたノートをもとに○×クイズや全校朝会用の資料を作成。また、バックヤードツアーでの説明と写真も冊子にまとめ、自身の足跡を動物園に残した。
動物とのふれ合いを通して、担任をもつ責任の重さや児童と信頼関係をつくる大切さを再確認。多くの人とかかわる中で、これまで気付くことができなかった視点を得た充実感をかみしめるとともに、「子どもの気持ちに寄り添った指導で、一人ひとりが生き生きと活動できるような学級をつくっていきたい」と気を引き締めた。
現在は学校に復帰し、二年生の担任を受けもつ香取教諭。大好きな動物と過ごした半年間の経験を、授業などに還元すべく日々業務に励んでいる。
(市町村 2016-11-30付)
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