札幌市教委が市立高校教育改革方針案公表 特色ある学校目指して 単位互換や少人数指導など―29~38年度
(市町村 2016-11-29付)

 札幌市教委は、二十九年度以降十年を見据えた市立高校教育改革方針案を公表した。基本理念のほか、五年間の具体的施策を示したもの。市立高校単位互換システムの構築や学級削減など、少人数での授業実施や特色ある教育の推進を図る。=概要は8面掲載=

 同案は、社会の状況が変化している中で、市立高校における今後の教育の在り方など教育改革の方向性を示すもの。二十九年度から十年間程度の基本理念を示す「札幌市立高校教育改革ビジョン」と、二十九年度から三十三年度まで、三十四年度から三十八年度までの各五年間で取り組む具体的施策を示した「札幌市立高校教育改革実行プラン(第一期・第二期)」で構成。改革実行プランの第二期については三十二・三十三年度ころの策定を予定している。

 改革ビジョンでは、目指す生徒像や市立高校の将来像を示しているほか、基本的方向性として「生徒の個性や能力を伸ばす質の高い教育の充実」「社会に開かれた教育活動の推進」「学校の取組を支える仕組みの構築」の三点に沿って教育改革を行っていくこととしている。

 改革実行プラン(第一期)では、市立高校単位互換システムの構築に向けて準備を進め、二十九年度から試行的に運用するなど選択の幅の広い教育を提供していく。

 また、中学校卒業者数の減少が大きい三十二・三十三年度に札幌南部(中央・豊平・南エリア、白石・厚別・清田エリア)の地域の学校で合計四学級の削減を実施。学級削減によって生じる施設の余剰等を活用して、少人数での授業の実施や特色ある教育の実践など、教育内容を充実していく。

 市教委では、来年一~二月にパブリックコメントを実施し、三月中の成案を目指す。

◆市立高校教育改革方針案概要

 同案の概要はつぎのとおり。

【札幌市立高校教育改革ビジョン】

▽目指す生徒像=①夢や希望の実現に向かって、主体的に学び、探究する生徒②個性や多様性への寛容さを持ち、他者と協働し、新しい価値を創造する生徒③積極的に社会と関わり貢献する生徒

▽市立高校の将来像=①生徒の主体的で探究的な学びを促す、魅力ある学びの場②様々な差異を越えて、多様な生徒が共に学び、支え合い、成長することができる学びの場③地域、企業など社会との関わりを通して成長できる、社会に開かれた学びの場

▽今後十年間で目指す生徒像や市立高校の将来像の実現に向けた三つの基本的方向性=①生徒の個性や能力を伸ばす質の高い教育の充実②社会に開かれた教育活動の推進③学校の取組を支える仕組みの構築

【札幌市立高校教育改革実行プラン(第一期)】

▼生徒の個性や能力を伸ばす質の高い教育の充実

▽生涯にわたって活用できる力の育成=①基礎的な知識・技能の習得と生かす力や主体性・協働性を育む学びの充実

▽各学校の特色化の充実=①多様な特色ある教育プログラムの提供②学校間連携・授業連携の推進(重点)③学習成果を発表する機会の設定(重点)

▽市高スタンダードの展開(全校共通の取組)=①学校教育相談体制の充実(重点)②進路探究学習の充実③国際理解教育の充実

▽教員の資質・能力の向上=①教員の授業力向上のための研修体制の充実

▽特色ある学びを支える環境の充実=①学校規模適正化に伴う教育充実

▼社会に開かれた教育活動の推進

▽地域資源を生かした教育の展開=①地域や企業、大学等と連携した教育の充実

▽地域に貢献する人材の育成=①地域の魅力や課題と結びつけた学習の推進

◇学校の取組を支える仕組みの構築

▽広報活動の充実=①様々なメディア・機会を通じた広報活動の強化②学校の広報活動を支援する組織体制の整備(重点)

▽外部との相互連携を進める仕組みづくり=①地域や企業等との相互連携の推進②学校と地域・企業等をつなぐ組織体制の整備(重点)

(市町村 2016-11-29付)

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