メンタルヘルスを高める職場のコミュニケーションづくり №18 メンタルヘルスの保持・増進と学校の危機管理②
(メンタルヘルス 2017-01-17付)

メンタルヘルス18
児童生徒の安全確保とともに、二次被害防止へ日常的な危機管理と心構えが大切になる

 教職員のメンタルを確保するためには、日常的な危機管理の心構えと予防が重要です。教職員のメンタルヘルスの保持・増進と危機管理を管理監督者の視点から説明します。

◆責任は自分にあると考える

 事故の発生を報告されると、感情的になり該当の教職員を責めてしまうことがあります。しかし、どんなに叱責しても事故の解決にはなりません。そればかりか、教職員のメンタルヘルスを低下させることになります。報告を受けた管理監督者がなすべきことは、即座に児童生徒の安全確保と被害の拡大をくい止めることです。危機対応に対する学校のリーダーは教職員の責任を問うのではなく、自分の指導にも問題があったのではないかと考えることによって、具体的で組織的な対処・対応がみえてきます。

◆学校リーダーの采配

 危機管理の対処・対応で事態を判断し指示を出すのは、事務長や副校長、教頭、教職員ではありません。学校のリーダーである校長です。特に、緊急性が高い事態には緊急かつ的確な対応が求められます。

 まず、緊急時には何よりも児童生徒の安全確保と被害の拡大を防ぐため、置かれている状況を的確に把握することです。

 状況把握を十分しないまま慌てて対応すると、被害が拡散し拡大する可能性があります。同時に学校の最高責任者である校長が、教育委員会および道教委へ事故の一報を入れます。

 つぎに、個人レベルで対応するのではなく、組織レベルで対応することを徹底して教職員へ指示することです。個人の考えで対応すると、思いもよらぬ問題が発生する場合があります。

 さらに、教職員の役割分担を明確にし、役割に従い活動するよう指示します。特に、知り得た情報は教頭へ集約するようにさせます。情報が分散すると、的確な手を打つことができなくなります。また、マスコミなど外部の窓口を教頭に一本化することです。

 教育委員会や道教委への第二報は、知り得た状況と学校の対応を校長および副校長が報告します。教頭は緊急事態発生後、時系列に文書にまとめ市教委や道教委へ提出の準備をしますが、弁明、弁解や主観的な内容ではなく客観的事実を中心に報告文書にまとめます。また、校長が前面に出て対応する姿は、教職員に信頼と安心感を与え、メンタルヘルスを損なうことは少なくなります。

◆二次被害を防ぐ

 一通りの対応とともに、学校のリーダーが頭に入れておかなければならないのは、二次被害の防止です。二次被害の防止のためには、事故の全体像ではなく最小限の報告をしたり、虚偽の報告をするといったことがないように注意をすることが大切です。また、対応の遅れや情報の漏れ、間違った情報による対応なども二次被害を生み事態を拡大させます。

 二次被害の回避のためには、緊急事態の対応の目的である、児童生徒の安全を守ることをいつも念頭に置き、優先順位を熟慮し対応しなければなりません。

(公立学校共済組合北海道支部学校支援アドバイザー・石垣則昭)

(メンタルヘルス 2017-01-17付)

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