メンタルヘルスを高める職場のコミュニケーションづくり №19 学校リーダーが陥りやすいコミュニケーション・ミス(メンタルヘルス 2017-02-13付)
日ごろから校内を見回ったり、職員室で会話をするなど、教職員にとって顔の見える学校リーダーの存在は教職員に安心感を与え、そのアドバイスは大きな成長の源です。
学校リーダーは、自身が目指す学校づくりを進め、教職員に学校経営の方針の説明や個人へのアドバイスなど様々な働きかけをします。しかし、よかれと思って行っているこれらの言動の中には、教職員にとっては理解しづらくストレスとなってしまうものもあります。今号では、学校リーダーが陥りがちなコミュニケーション・ミスの実例を取り上げます。
◆「組織づくり」を第一とした教職員とのコミュニケーション
学校リーダーが、職員室や事務室で雑談するなど、自然体で明るく振る舞うことは、職場のコミュニケーションの活発化や、情報交流がスムーズに行われる職場づくりの基本です。しかし、それが特定の個人との関係だけのものであっては、学校を組織として機能させていくことはできません。
学校リーダーが仕事について個別に話しかけ、その大切さを理解させ円滑な学校の運営を進める基本には「人づくり」があることを忘れてはなりません。
内容によっては、主任などの個人への対応だけではなく、分掌や学年組織に委ねたり、「その件は〇〇さんと一緒に相談することにしましょう」などと声をかけたりするなど、学校の組織づくりを常に念頭に置いた働きかけが大切です。
「リーダーが変われば職場が変わる」と言われます。組織を意識した教職員とのコミュニケーションは、職場の良い風土として根づきます。
◆職員室や事務室での自分の話はほどほどに
残念ですが職員室や事務室で、「私の若いころは…」「昨日は夜遅くまで〇〇さんと一緒に…」といった話をする学校リーダーがいます。興味をもったり、とりあえず話を聞かなければと感じたりした教職員は、はじめのうちはパソコンの手を緩めて耳を傾けてくれるかもしれませんが、繰り返しとなると学校リーダーとしての信頼を失いかねません。
◆前向きな声がけが教職員へのやる気と勇気を与える
教職員に同調するかのように、忙しい教職員に「どうして、こんな仕事をしなければならないのだろうね」「〇〇さんは本当に苦労しているね。適当でいいからね」といった言葉がけは、仕事をしている教職員から反感を買い失望させます。むしろ、「忙しい中ありがとうございます。今の頑張りは子どもたちのためであり、〇〇さんにとっても将来役立つはずです。困ったことがあったら言ってください」などといった前向きな声がけは、教職員にやる気と勇気を与えます。
◆教職員の良さを理解できる学校リーダー
学校リーダーの中には、自分の都合や感情だけで教職員を評価してしまう人がいます。学校リーダーの仕事は、子どもたちにとってより良い教育を進めるために教職員の力を引き出し、それを結集させることです。「〇〇先生はこういうところがあるから」「〇〇先生は、こういう失敗があるので」など、教職員の力を多面的にみるのではなく、一部の側面だけをみて経営を進めることは、自ら学校づくりを遠ざけることになります。
(公立学校共済組合北海道支部学校支援アドバイザー・石垣則昭)
(メンタルヘルス 2017-02-13付)
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