メンタルヘルスを高める職場のコミュニケーションづくり №20 効率的に仕事を進めるための教職員との関わり方
(メンタルヘルス 2017-02-24付)

 今号はABA理論と言われる応用行動分析(Applied Behavior Analysis)の基本的理論を活用した、学校リーダーの教職員へのかかわり方を説明します。

 応用行動分析とは、すべての行動は、周囲の環境の影響を受けており、環境の刺激に対する反応として行動を起こしているという理論です。

 ここでは、応用行動分析の中核的な考えである様々な気になる行動の、原因を意志の弱さや、能力のせいにしないという考えに基づいた教職員とのかかわりについて説明します。

◆教職員との意思疎通を困難にするレッテル貼り

 教職員が何かに失敗するとついイライラし、「やる気がない」など、相手に対してマイナスのレッテル貼りをしてしまうことがあります。さらに失敗が重なり、再び仕事が上手くいかないときなど、「やはり、やる気がないから」と決めつけてしまいます。

 しかし、なぜやる気がないと決めつけてしまうのでしょうか。明確な根拠ももたず、見た目の思い込みによる評価だけでは、問題や課題は改善されません。

 こうしたことが続けば、ときには思いあまって相手にストレートに感情をぶつけてしまい、そのことにより心を害し、関係が悪化してしまうといった状況が生まれます。

◆同じような失敗を繰り返す教職員とのかかわり

 応用行動分析では、行動そのものを感情でとらえるのではなく、原理でとらえるため、行動の前と後に注目します。

 仕事に取り組むはじめの段階に、その手順をノートなどに書かせ、いつもどの場面でつまずいているかを学校リーダーとともに具体的に探ります。

 一般に、人間の思考や(感情を含め)行動にはクセがあり、いつも同じようなところでつまずきます。その原因を探り教職員に自覚させ、スムーズに仕事を進める方法をアドバイスします。その上で、あらためて仕事を依頼します。そうすることによって、これまでのつまずきがクリアされ仕事が上手くいくようになります。

 しかし、仕事を進める中で、新たなつまずきがみえてくることがあります。このような場合は、当初のつまずきのクリアをまず認め、評価します。

 つまり、最初から万全にできることを望まず、段階的・自覚的につまずきが解消できるようにさせます。さらに、行動のあとに注目し、実際の行動を評価し、成長を認めます。こうしたかかわりによって、能動的な動機付けが強化され、仕事を通したリーダーと教職員との望ましい人間関係が生まれます。

◆ほめることでやる気を引きだす

 応用行動分析でいうほめる行為とは、「ほめる」ことに値する具体的な行為をほめることであり、具体的には能力ではなく努力をほめることです。一方、叱責は具体的な改善方法を示すものではないため、相手は回避の仕方を学ぶだけで仕事の効率化には結び付きません。叱責は人を無力にするなどのデメリットが多く、改善に結び付きません。リーダーとして、教職員とともに考え工夫しながら改善策を生み出していくことは、職場全体の望ましい人間関係づくりにもつながります。

(公立学校共済組合北海道支部学校支援アドバイザー・石垣則昭)

(メンタルヘルス 2017-02-24付)

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